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阿鼻叫喚
あびきょうかん
  1. 災害などにあって激しく泣きわめく様子。「阿鼻」は仏教でいう八大地獄のひとつで、最も厳しいとされる阿鼻地獄のこと。「叫喚」は泣き叫ぶことであるが、八大地獄のひとつでもある。
作家
作品

芥川龍之介

【邪宗門】

たとい今生こんじょうでは、いかなる栄華えいがを極めようとも、天上皇帝の御教みおしえもとるものは、一旦命終めいしゅうの時に及んで、たちまち阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄にち、不断の業火ごうかに皮肉を焼かれて、尽未来じんみらいまで吠え居ろうぞ。

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坂口安吾

【安吾巷談 熱海復興】

  宇佐美で身動きできなくなったが、網代あじろでドッと押しこみ突きこみ、 阿鼻叫喚、十分ちかくも停車して、ムリムタイにみんな乗りこんでしまったのは、網代の漁師のアンチャン連だ。かくて乗客の苦悶の悲鳴にふくらみながら、電車は来ノ宮につく。


終電車の一つ前の電車にのって伊東へ戻った。満員スシ詰め、死ものぐるいに押しこまれて来ノ宮へ吐きだされた幾つかの電車のヤジウマの大半が終電車に殺到すると見てとったからで、事実、私たちの電車は、満員ではあったが、ギュウ/\詰めではなかった。さすればヤジウマの大半が終電事につめかけたわけで、罹災者の乗りこむ者も多いから、終電車の 阿鼻叫喚が思いやられた次第であった。

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太宰治

【人間失格】

 いまは自分には、幸福も不幸もありません。
 ただ、一さいは過ぎて行きます。
 自分がいままで 阿鼻叫喚で生きて来た所謂「人間」の世界に於いて、たった一つ、真理らしく思われたのは、それだけでした。
 ただ、一さいは過ぎて行きます。
 自分はことし、二十七になります。白髪がめっきりふえたので、たいていの人から、四十以上に見られます。

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太宰治

【二十世紀旗手 ――(生れて、すみません。)】

 青い浴衣に赤い絞り染めの兵古帯へこおびすがたのあなたのお供、その日、樹蔭でそっとネガのプレートあけて見て、そこには、ただ一色の乳白、首ふって不満顔、知らぬふりしてもとのさやにおさめていたのに、その夜の現像室は、阿鼻叫喚あびきょうかん、種板みごとに黒一色、無智の犯人たちまちばれて、その日より以後、あなたは私に、胴乱もたせては呉れなかった。

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正岡子規

【墨汁一滴】

 疼痛烈はげしき時は右に向きても痛く左に向きても痛く仰向になりても痛く、まるで阿鼻叫喚あびきょうかんの地獄もかくやと思はるるばかりの事に候。

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泉鏡花

【星女郎】

 ああ、硫黄いおうにおいもせず、あおい火も吹出さず、大釜おおがまに湯玉の散るのも聞えはしないが、こんな山には、ともすると地獄谷というのがあって、阿鼻叫喚あびきょうかんが風のめぐるごとくに響くと聞く……さては……わかい女が先刻さっき――
(ここは地獄ですもの。)

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岡本綺堂

【半七捕物帳 熊の死骸】

 こうした怖ろしい阿鼻叫喚あびきょうかんのまん中へ飛び込んだ二人は、いくら物馴れていてもさすがに面喰らって、あとへも先へも行かれなくなった。うっかりしていれば自分らの眉へも火が付きそうなので、ふたりは火の粉の雨をくぐりながら、互いの名を呼んだ。

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中里介山

【大菩薩峠 お銀様の巻】

 百蔵一人がエライわけではないけれど、百蔵一人のために大混乱を引起して、その大混乱が阿鼻叫喚あびきょうかんの世界に変ろうとする時でありました。肝腎の百蔵はいつのまにか、群衆の頭を踏み越えて、蓆張(むしろば)りの見世物小屋の丸太を伝って屋根から屋根を逃げて行きます。

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林不忘

【丹下左膳 こけ猿の巻】

 阿鼻叫喚あびきょうかんをどこ吹く風と聞き流して、群衆を馬蹄にかけ、やっと門前までのしあがってきた源三郎の一行――。
 見ると。

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国枝史郎

【剣侠】

 白刃! 閃き! 悲鳴! 怒声! 仆れる音! 逃げつ追いつ、追いつ逃げつする姿!
 混乱混戦の場となったが、この時宿しゅくもいよいよ混乱! 混乱以上に 阿鼻叫喚の焦熱地獄となりまさり火事の焔の熱気に堪えかね、空地へ耕地へ……耕地へ耕地へと、さながら怒濤の崩れる如く、百、二百、三百、四百! 老幼男女家畜までが、この耕地へ逃げ出して来た。

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海野十三

【空襲葬送曲】

 大地が裂けるような物音が、あちらでも、こちらでもした。それは、ひっきりなしに、米軍が投げおとす爆弾の、炸裂さくれつする響だった。そのたびごとに、
「キャーッ」
「こ、こ、こ、殺してれッ」
「あーれーッ」
 と、此の世の声とは思えぬ恐ろしい悲鳴が聞えた。阿鼻叫喚あびきょうかんとは、正に、その夜のことだったろう。

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桐生悠々

【関東防空大演習を嗤う】

如何に冷静なれ、沈着なれと言い聞かせても、また平生如何に訓練されていても、まさかの時には、恐怖の本能は如何ともすること能わず、逃げ惑う市民の狼狽目に見るが如く、投下された爆弾が火災を起す以外に、各所に火を失し、そこに 阿鼻叫喚の一大修羅場を演じ、関東地方大震災当時と同様の惨状を呈するだろうとも、想像されるからである。

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野上豊一郎

【ヴェルダン】

 そこから道を隔てて向側の窪地は、ラヴァン・ド・ラ・モール(死の谷)と名づけられ、今は灌木が深深と茂ってるけれども、その当時は死屍累々の恐ろしい光景を呈した所だという。私は道ばたに咲き出た松虫草の花やひるがおの花に明るい陽光の降り濺いでる静寂の中に彳んで、 阿鼻叫喚の修羅の光景を実感して見ようとしたけれども、あまりにも平和な今の環境は全くそれを不可能にした。

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Last updated : 2022/11/23