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文人墨客
ぶんじんぼっかく
作家
作品

芥川龍之介

【東西問答】

問 風流ふうりうに就いて意見を。
答 風流と云ふ事をどう解釈するかは、文人墨客ぶんじんぼくかくの風流は、先づ日永ひながの遊戯である。南画南画と云ふけれど、二三の天才をのぞいたほかは、大部分下らないものと云つて差支さしつかへない。僕はああ云ふ風流をもてあそびたくない。僕の尊敬する東洋趣味は、(前の東洋種と混合してはいけない)人麻呂ひとまろの歌を生み、玉畹ぎよくゑんの蘭を生み、芭蕉ばせをの句を生んだ精神である。煎茶せんちや宗匠さうしやうや、漢詩人などの東洋趣味と、一緒いつしよにされて堪るものではない。

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太宰治

【惜別】

「そうかも知れません。真の愛国者は、かえって国の悪口を言うものですからね。しかし、僕は所謂いわゆる西湖十景よりは、浙江の田舎いなかの平凡な運河の風景を、ずっと愛しています。僕には、わが国の文人墨客たちの騒ぐ名所が、一つとしていいと思われないのです。銭塘せんとうの大潮は、さすがに少し興奮しますが、あとは、だめです。僕は、あの人たちを信用していないのです。あの人たちは、あなたの国でいう道楽者と同じです。彼等は、文章を現実から遊離させて、堕落させてしまいました。」

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太宰治

【令嬢アユ】

温泉宿の一室に於いて、床柱を背負って泰然たいぜんとおさまり、机の上には原稿用紙をひろげ、もの憂げに煙草のけむりの行末を眺め、長髪を掻き上げて、軽くせきばらいするところなど、すでに一個の文人墨客の風情がある。けれども、その、むだなポオズにも、すぐ疲れて来る様子で、立ち上って散歩に出かける。宿から釣竿つりざおを借りて、渓流の山女やまめ釣りを試みる時もある。

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幸田露伴

【水の東京】

一年の中に夕の潮は秋の潮最も大にして、一月の中に満月の夜の潮はまた最も大に、加之しかも月の上る頃はこのあたりにては潮のさし来る勢最も盛なる時なれば、東京広しといへども仲秋の月見にはこのあたりに上越したる好き地あるべくもあらず。人もしこころみに仲秋船をうかめてこのあたりに月を賞しなば、必ずや河も平生ひごろの河にあらず月も平生の月にあらざるを覚えて、今までかゝる好風景の地を知らで過ぐしゝをうらむるならん。いにしえより文人墨客の輩綾瀬以上に遡らずして、たまたまかゝる地あるを知らざりしかば、詩文に載せられて世に現るゝことなく、以て今日に至りしならん。

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寺田寅彦

【亮の追憶】

私が物心ついてからの春田は、ほとんどいつ行っても絵をかいているか書を習っていた。かきながら楊枝ようじを縦に口の中へ立てたのをかむ癖があった。当時のいわゆる文人墨客の群れがしばしばその家に会しては酒をのんで寄せがきをやっていたりした。一方ではまた当時の自由党員として地方政客の間にも往来し、後には県農会の会頭とか、副会頭とか、そういう公務にもたずさわっていたようであるが、そういう方面の春田居士しゅんでんこじは私の頭にほとんど残っていない。

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坂口安吾

【オモチャ箱】

一般にあの小説家あの詩人はてんで実務に向かないなどゝ同業者にまで思はれ易い人物も案外さうではないもので、詩人などには変に非現実的な詩をものしたり厭世的な詩を書いたりしてゐるくせに、御当人の性癖は事務家よりも現実的な人が多いものだ。文学そのものが人間的なものなのだから、根はさうあるべきもので、文人墨客といふ言葉は近代文学の文人には有り得ず、世俗の人々よりもむしろ根は世俗的現実的なものだ。


 庄吉は近代作家の鬼の目、即物性、現実的な眼識があるから、もとより這般しやはんの真相は感じもし、知つてもゐた。そのくせ時代の通念がその自覚に信念を与へてくれず、自信がなくて、彼は徒らに趣味的な文人墨客的気質の方に偏執し、真実の自我、文学の真相を自信をもつて知り得ない。
  だから金が欲しくてたまらなくとも、通俗雑誌には書かないとか、雑文を書いちやいけないとか、注文をつけてきたからイヤだとか、まことの思ひとウラハラなことを言つて、徒らに空虚に純粋ぶる。

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水上瀧太郎

【貝殼追放 愚者の鼻息】

 匿名好きの吉村忠雄氏又は次郎生は、水上瀧太郎の匿名を何故か威たけだかに詰問してゐる。見聞の狹い「卑賤民」は雅號は單に下の名前丈を變へるものだと考へてゐるが、東西古今を問はず、幾多の文人墨客の中には全姓名に變名を換へ用ゐた例がいくらもある。ピエル・ロテイ、ジヨオジ・サンドなどいふのも筆技名(ノン・ド・プリユム)である。

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岡本綺堂

【青蛙堂鬼談】

 まことにお恥かしいことでございますが、その頃わたくしの家は吉原の廓内くるわうちにありまして、引手ひきて茶屋を商売にいたしておりました。江戸の昔には、吉原の妓楼ぎろうや引手茶屋の主人にもなかなか風流人がございまして、俳諧をやったり書画をいじくったりして、いわゆる文人墨客ぶんじんぼっかくというような人たちとお附合いをしたものでございます。わたくしの祖父や父もまずそのお仲間でございまして、歌麿のかいた屏風だとか、抱一ほういつ上人のかいた掛軸だとかいうようなものが沢山たくさんにしまってありました。

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Last updated : 2022/11/23