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風声鶴唳
ふうせいかくれい
作家
作品

島崎藤村

【夜明け前 第一部下】

この諏訪藩の用人は田沼侯を評して言った。浪士らの勢いのさかんな時は二十里ずつの距離の外に屏息(へいそく)し、徐行逗留(とうりゅう)してあえて近づこうともせず、いわゆる風声鶴唳(ふうせいかくれい)にも胆(きも)が身に添わなかったほどでありながら、いったん浪士らが金沢藩に降(くだ)ったと見ると、虎の威を借りて刑戮(けいりく)をほしいままにするとはなんという卑怯(ひきょう)さだと。

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幸田露伴

【運命】

 帝のかたえには黄子澄こうしちょう斉泰せいたいあり、諸藩を削奪さくだつするの意、いかでこれ無くしてまん。燕王えんおうかたえには僧道衍どうえん袁珙えんこうあり、秘謀を醞醸うんじょうするの事、いかでこれ無くして已まん。二者の間、既にかくごとし、風声鶴唳ふうせいかくれい、人あい驚かんと欲し、剣光火影かえい、世ようやまさに乱れんとす。

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菊池寛

【乱世】

 格之介を除いた十二人の人々は、その年の四月、なんのお咎めもなく無事に帰藩を許された。  格之介の逃亡の理由が分かるにつれ、桑名藩士も官軍の人たちも、格之介が風声鶴唳ふうせいかくれいにおどろいて逃走を企て、捨てぬでもよい命を捨てたことを冷笑した。  が、どうして格之介をわらうことができよう。彼は確かに、自分の首が載る獄門台が作られるのを見ていたのである。

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太宰治

【禁酒の心】

「おい、それでは、そろそろ、あの一目盛をはじめるからな、玄関をしめて、錠(じょう)をおろして、それから雨戸もしめてしまいなさい。人に見られて、羨(うら)やましがられても具合いが悪いからな。」なにも一目盛の晩酌を、うらやましがる人も無いのに、そこは精神、吝嗇卑小になっているものだから、それこそ風声鶴唳(ふうせいかくれい)にも心を驚かし、外の足音にもいちいち肝(きも)を冷やして、何かしら自分がひどい大罪でも犯しているような気持になり、世間の誰もかれもみんな自分を恨みに恨んでいるような言うべからざる恐怖と不安と絶望と忿懣(ふんまん)と怨嗟(えんさ)と祈りと、実に複雑な心境で部屋の電気を暗くして背中を丸め、チビリチビリと酒をなめるようにして飲んでいる。

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林不忘

【口笛を吹く武士】

「またですか。私はまた、この本所の万屋で小豆(あずき)屋善兵衛というやつ、それがじつは、赤浪の化けたのだと聞かされたことがあります。たしか、かんざし四(よ)五郎とか、五五郎とか――しかし、埓(らち)もない。そうどこにも、ここにも、赤浪が潜んでおってたまるものですか。そんなことをいえば、出入りの商人や御用聞きも、片っ端から赤浪だろうし、第一、そういうあなたこそ、赤穂浪士の錚々たるものかも知れませんな、あっはっはっは、いや、風声鶴唳(かくれい)、風声鶴唳――。」  小林は、手文庫から、元赤穂藩の名鑑を取り出して、畳のうえにひろげて見ていたが、つと一個処を指さして、 「ほら、ここにある。前原伊助(いすけ)宗房(むねふさ)、中小姓、兼金奉行、十石三人扶持――。」

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Last updated : 2022/11/23