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一望千里
いちぼうせんり
作家
作品

田中英光

【オリンポスの果実】

――ハワイを過ぎ、桑港(サンフランシスコ)も近くなると、今更(いまさら)のように、自分は日本選手だ、という気持を感じて来ました。
 その頃(ころ)、ぼくは、人知れず、閑(ひま)さえあれば、バック台を引いて、練習をしていました。ようやく静まってきた波のうねりをみながら、一望千里、涯(はて)しない大洋の碧(あお)さに、甘(あま)い少年の感傷を注いで、スライドの滑(すべ)る音をきいていたのも、忘れられぬ思い出であります。

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小熊秀雄

【小熊秀雄全集 ―3― 詩集2 中期詩篇

片言のロシア語で答へた、
――タワリシチ  (同志)
  マルクス   (マルクスよ)
  ヤポンスキイ (日本人は)
  マアリンケ  (小さくて)
  ホダホダ   (駄目だ、駄目だ)
私と彼とは
声を合してハッハと笑つた
日本人の人柄は
一望千里の大きな思想を
もち扱ひ兼ねてゐる

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坂口安吾

【模範少年に疑義あり】

 私らのところは焼野原のまんなかに三十軒ほど焼け残つてゐる。これがどうして焼け残つたかといふと、例の七八名の不良少年組の方が、猛火のまんなかに踏みとゞまつて消してくれたのだ。私らのところがやられた時は風のない日だから、命をまとに踏みとゞまる者があれば消すことができたのだが、前々の例で死ぬのが怖しいから消さずに逃げて綺麗に一望千里の焼野になつたので、私らの小地区だけ不良少年組が救つたのである。

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佐藤惣之助

【荒磯の興味】

釣友大久保鯛生君は八丈島から伊豆の荒磯に潜水し、よく魚の習性を研究しているが、特にクロダイの鋭敏な生態は、殆ど神秘以上だといっている。そうなると都会の一室でホルマリン漬の魚を解剖しているだけでは、釣れる魚の生存形態なぞは本当に解らないといってよい。
 一望千里、波浪と岩礁のみの荒磯も、その海底は千変万化で、海流に洗われて深く、浅くさまざまな現象を持っている、そこへ四季の魚が寄り、石ダイやブダイは同じ所に生棲し、鮑やその他の貝や、ウツボや海蛇と共に生活しているのであるから、理科学的に調査したら、恐らく凄じいものがあるだろう。その小さい科学的な知識を前提として、私達の磯釣は成立するのである。

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石川三四郎

【浪】

自分の心がすぐに兒童に反映します。兒童は自分の鏡の如くです。世に教師殊に小學校教師ほど生き甲斐のある生活が他にあらうかと私は感じました。私は眞に感激の中で一ヶ年を過ごしました。殊に村童達と野に行き山に遊ぶ時などは天國を感じさせられました。ワラビとりに相馬山に登つて一望千里の關東平野をながめた時の感興は、今も忘れられません。はるかに霞をへだてて銀の線の如く見えるのは、わが幼ななじみの利根川ではないか、すべては夢の國に遊ぶごとく感じさせられるのでありました。

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モオパッサン
秋田滋訳

【初雪】

 長いクロワゼットの散歩路が、あおあおとした海に沿うて、ゆるやかな弧を描いている。遥か右のほうに当って、エストゥレルの山塊がながく海のなかに突き出て眼界を遮り、一望千里の眺めはないが、奇々妙々を極めた嶺岑(みね)をいくつとなく擁するその山姿は、いかにも南国へ来たことを思わせる、うつくしい眺めであった。
 頭を囘(めぐ)らして右のほうを望むと、サント・マルグリット島とサント・オノラ島が、波のうえにぽっかり浮び、樅(もみ)の木に蔽われたその島の背を二つ見せている。

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佐々木味津三

【右門捕物帖 七化け役者】

将軍家ご名代としての格式を備えたお出迎えなんだから、お気に入りの右門主従がこれにお従い申しあげたのは当然なことなので、しかるに、いつ、いかなる場所へ行っても、およそあいきょう者は例のおしゃべり屋伝六です。おりからの夕なぎに、品川あたり一帯の海面は、まこと文字どおり一望千里、ところどころ真帆片帆を絵のように浮かべて、きららかな金波銀波をいろどりながら、いとなごやかに初夏の情景を添えていたものでしたから、そこには伊豆守様をはじめ、お歴々がお控えなさっているというのに、場所がらもわきまえず、たちまちお株を始めました。

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小栗虫太郎

【人外魔境 地軸二万哩】

 まず、そこまでの炎熱の高原。大地は灼熱し、溶鉱炉の中のよう。きらきら光る塩の、晦(くら)むような眩(まば)ゆさのなか。
 その、土中の塩分がしだいに殖えてゆくのが、地獄の焦土のようなまっ赭(か)な色から、しだいに死体のような灰黄色に変ってゆく。やがて塩の沙漠の外れまできたのである。そこは、一望千里という形容もない。晃耀(こうよう)というか陽炎というか、起伏も地平線もみな、閃きのなかに消えている。ただ、天地一帯を覆う、色のない焔の海。
「そろそろ、儂らも焼けてきそうな気がするよ」

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Last updated : 2022/11/23