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無能無力
むのうむりょく
能力や才能、体力、勢力、資力などがなく役に立たないこと。
作家
作品

夏目漱石

【門】

彼は依然として無能無力に鎖ざされた扉の前に取り残された。彼は平生自分の分別を 便たよりに生きて来た。その分別が今は彼にたたったのを口惜くちおしく思った。そうして始から取捨も商量もれない愚なものの一徹一図をうらやんだ。もしくは信念にあつい善男善女の、知慧も忘れ思議も浮ばぬ精進しょうじんの程度を崇高と仰いだ。

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夏目漱石

【それから】

 此所で彼はいつのジレンマに達した。彼は自分と三千代との関係を、直線的に自然の命ずる通り発展させるか、又は全然その反対にでて、何も知らぬ昔に返るか。何方どっちかにしなければ生活の意義を失ったものと等しいと考えた。その他のあらゆる中途半端の方法は、いつわりに始って、偽に終るより外に道はない。ことごとく社会的に安全であって、悉く自己に対して無能無力である。と考えた。
 彼は三千代と自分の関係を、天意によって、――彼はそれを天意としか考え得られなかった。――醗酵はっこうさせる事の社会的危険を承知していた。

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坂口安吾

【梟雄】

 道三は腹を立てた。そして、その子孫たる土岐頼芸よりよしを国外へ追放した。しかし、すでに無能無力だった土岐氏の家名や血を奪う必要はなかった。その代り、頼芸の愛妾を奪って自分の女房にしたのである。
 道三は新しい血をためすために、最大の権力をふるった。その血は、彼の領内が掃き清められたお寺の院内のように清潔であることを欲しているようであった。

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種田山頭火

【私を語る ――(消息に代えて)――】

 征服の世界であり、闘争の時代である。人間が自然を征服しようとする。人と人とが血みどろになって掴み合うている。
 敵か味方か、勝つか敗けるか、殺すか殺されるか、――白雲は峯頭に起るも、或は庵中閑打坐は許されないであろう。しかも私は、無能無力の私は、時代錯誤的性情の持主である私は、巷に立ってラッパを吹くほどの意力も持っていない。私は私に籠る、時代錯誤的生活に沈潜する。『空』の世界、『遊化』の寂光土に精進するより外ないのである。

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種田山頭火

【其中日記 (十一)】

――戦争は、私のやうなものにも、心理的にまた経済的にこたえる、私は所詮、無能無力で、積極的に生産的に働くことは出来ないから、せめて消極的にでも、自己を正しうし、愚を守らう、酒も出来るだけ慎んで、精一杯詩作しよう、――それが私の奉公である。
――所詮、無能無力、そして我がまゝ気まゝ、これでは苦しむのがあたりまへでせう、みんな身から出た錆で、どうしようもありません、人生は苦悩の連続ですね。――

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Last updated : 2022/11/23