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無理無体
むりむたい
作家
作品

芥川龍之介

【アグニの神】

「この阿魔あまめ。まだ剛情を張る気だな。よし、よし、それなら約束通り、一思いに命をとってやるぞ」
 婆さんはナイフを振り上げました。もう一分間遅れても、妙子の命はなくなります。遠藤は咄嗟とっさに身を起すと、錠のかかった入口の戸を無理無体に明けようとしました。が、戸は容易に破れません。いくら押しても、叩いても、手の皮が けるばかりです。

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芥川龍之介

【鼠小僧次郎吉】

胡麻の蠅の奴め、驚きやがるめえ事か、慌てて振り放さうとする所を、夜具を頭から押つかぶせての、まんまとおれがその上へ馬乗りになつてしまつたのよ。するとあの意気地なしめ、無理無体に夜具の下から、 つらだけ外へ出したと思ふと、「ひ、ひ、人殺し」と、烏骨鶏をこつけいが時でもつくりやしめえし、奇体きてえな声を立てやがつた。

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有島武郎

【或る女(前編)】

 玄関に送って出た細君の目には涙がたまっていた。それを見ると、人はよく無意味な涙を流すものだと葉子は思った。けれどもあの涙も内田が無理無体にしぼり出させるようなものだと思い直すと、心臓の鼓動が止まるほど葉子の心はかっとなった。

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石川啄木

【鳥影】

『で御座いますからね。』とお柳が引取つた。『これが(おとがひで信吾を指して)退屈をしまして、去年なんぞは貴下あなた、まだ二十日も休暇やすみが残つてるのに無理無体に東京に帰つた様な訳で御座いましてね。

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幸田露伴

【五重塔】

すべては我等の矛の餌なれば、剣の餌なれば斧の餌なれば、讚して後に利器えものひ、よき餌をつくりし彼等を笑へ、嬲らるゝだけ彼等を嬲れ、急に屠るな嬲り殺せ、活しながらに一枚皮を剥ぎ取れ、肉を剥ぎとれ、彼等が心臓しんを鞠として蹴よ、枳棘からたちをもて脊をてよ、歎息の呼吸涙の水、動悸の血の音悲鳴の声、其等をすべて人間ひとより取れ、残忍の外快楽なし、酷烈ならずば汝等疾く死ね、れよ進めよ、無法に住して放逸無慚無理無体れ立て暴れ立て進め進め、神とも戦へぶつをも擲け、道理をやぶつて壊りすてなば天下は我等がものなるぞと、

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富ノ沢麟太郎

【あめんちあ】

「死ぬぞ! おれは死ぬぞ!」
 彼は死期の間に迫って来ているかのように叫んだ。 そうして俺はこの「死」を嚥下えんかしたかのように、――それは精神を錯乱させながら、おもむろに生物の生命を毒殺するアルカロイドをみ込んだかのように、感じさえした。 否、彼はこの言葉を自分の敵の毒薬と思った。 彼はその敵がこの毒薬を、無理無体に自分の体へ注ぎこんだようにさえ考えた。

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岡本綺堂

【籠釣瓶】

 立花屋の店先には人の垣を築いた。聞き分けのない奴らだと次郎左衛門は憤った。卑怯に逃げ隠れをするのでない。ここで尋常に自滅するというものを、無理無体に引っくくって生き恥をさらさせようとする。それならばこっちにも料簡がある。最後の邪魔をする奴は片っ端から切りまくって、一旦はここを落ち延びて、人の見ないところで心静かに籠釣瓶を抱いて死のうと、彼は八橋を切った刀の 血糊ちのりをなめて、階子の上がり口に仁王立におうだちに突っ立って敵を待っていた。

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島崎藤村

【藁草履】

 源は暁前よあけまえに起されて、馬小屋へ仕度に参りましたが、馬はさすがに昨日の残酷な目を忘れません。の声のする暗い隅の方へとかく逡巡しりごみばかりして、いつもの元気もなく出渋るやつを、無理無体に外へ引出しました。お隅の萎れた身体は くらの上に乗せ、足は動かさないようにしっかと馬の胴へ括付くくりつけました。母親おふくろ油火カンテラを突付けて見せる――お隅は編笠、源は頬冠ほっかぶりです。坂の上り口まで父親に送られて、出ました。

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伊藤左千夫

【野菊の墓】

「そのお手紙をお富が読みましたから、誰も彼も一度に声を立って泣きました。あれの父は男ながら大声して泣くのです。あなたのお母さんは、気がふれはしないかと思うほど、口説くどいて泣く。お前達二人がこれほどの語らいとは知らずに、無理無体に勧めて嫁にやったは悪かった。あア悪いことをした、不憫だった。民や、堪忍して、私は悪かったから堪忍してくれ。

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佐々木味津三

【旗本退屈男 第一話 旗本退屈男】

 それもどうやら四十過ぎた分別盛りらしいのを筆頭に、何れも肩のいかつい二本差しが四人して、たったひとりを追いかけながら、無理無体に野暮な喧嘩を仕掛けているらしい様子でしたから、どう見てもあまりぞっとしない話でしたが、売られた方ももうそうなったならば、いっそ男らしく抜けばいいのにと思われるのに、よくよく見るとこれが無理もないことでした。――年はよくとって十八か九、どこか名のあるお大名の 小姓勤こしょうづとめでもしているとみえて、普通ならばもうとっくに元服していなければならない年頃と思われるのに、まだふっさりとした前髪立まえかみだちの若衆なのです。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2022/11/23