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六根清浄
ろっこんしょうじょう
作家
作品

柴田流星

【残されたる江戸】

 元来が裸一貫の力ずくでやる勝負の見物に、屋根も天井もいったものかは、青空を頭に戴いて小屋も土俵も場所場所に新しくものしてこそ、六根清浄、先祖の宿禰(すくね)にも背かぬというもの、こうなっては行く行く相撲は江戸ッ児の見るものでなくなるかも知れないと、そんじょそこらの勇み肌が中ッ腹でいるそうな。


 さあれこの井戸がえというもの上下貴賤にけじめなく、華族様のお屋敷でも、素町人どもの裏長屋でも、同じ懸け声に同じ賑わい、井戸やが撒く清酒も塩ばなも、畢竟(ひっきょう)は水を浄めの同じしるしに過ぎずして、六根清浄、江戸ッ児はその清新をこれ愛する、清浄をこれ好む、実にかれらは詩をつくらざる気分詩人ではあるまいか。

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石井研堂

【元日の釣】

朝少し早く出かけて、茅舎(ほうしゃ)林園の、尚紫色(むらさき)、濛気(もや)に包まれてる、清い世界を見ながら、田圃道を歩く心地の好いこと、それだけでも、獲物は已(すで)に十分なのです。それから、清江に対して、一意専心、竿頭(さおさき)を望んでる間といふものは、実に無我無心、六根清浄の仏様か神様です。人間以上の動物です。たツた一度試して見給へ。二度目からは、却(かえ)ツて、君が勧めて出るやうにならうから…………。』

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高神覚昇

【般若心経講義】

 次に「処」とは、十二処ということで、「六根」と「六境」といったものです。ところでその六根とは、あの富士山や御嶽(おんたけ)山などへ登る行者たちが、「懺悔(さんげ)懺悔、六根清浄(こんしょうじょう)」と唱える、あの六根で、それは眼、耳、鼻、舌、身の五官、すなわち五根に、「意根」を加えて六根といったので、つまり私どもの身と心のことです。別な語でいえば心身清浄ということが六根清浄です。そこで、この「根」という字ですが、昔から、根とは、識を発(おこ)して境を取る(発識取境(はっしきしゅきょう))の義であるとか、または勝義自在(しょうぎじざい)の義などと、専門的にはずいぶんむずかしく解釈をしておりますが、要するに根とは「草木の根」などという、その根で、根源とか根本とかいう意味です。

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泉鏡花

【多神教】

神職 (彼が言(ことば)のままに、手、足、胴腹(はら)を打返して藁人形を翳(かざ)し見る)血も滴(た)りょう。…藁も肉のように裂けてある。これ、寄るまい。(この時人々の立かかるを掻払(かいはら)う)六根清浄(ろっこんしょうじょう)、澄むらく、浄(きよ)むらく、清らかに、神に仕うる身なればこそ、この邪(よこしま)を手にも取るわ。御身(おみ)たちが悪く近づくと、見たばかりでも筋骨(すじぼね)を悩み煩(わず)らうぞよ。

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種田山頭火

【行乞記 (三)】

 九月一日

朝の汽車でいつしよに戻る、そして河へ飛びこんで泳いだ、かうでもしなければ、身心のおきどころがないのだ、午後また泳いだ、六根清浄六根清浄
二百十日、大震災記念日、昨日の今日だ、つゝましく生活しよう。
今日も夕立がきた、降れ降れ、流せ流せ、洗へ洗へ、すべてを浄化せよ。

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中里介山

【大菩薩峠 禹門三級の巻】

「大山阿夫利山(あふりさん)大権現、大天狗小天狗、町内の若い者」
 そこで米友が馬に乗ると、彼等は以前に、しおれきった小坊主をむりやりに人形に奉って来た時よりは、一層の人気を加えて、再び踊り熱が火の手を加えて、
「大山大聖不動明王、さんげさんげ六根清浄(ろっこんしょうじょう)、さんげさんげ六根清浄
 こうして新手(あらて)を加えた踊りの一隊は、小塚原を勢いよく繰出しました。

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斎藤茂吉

【念珠集】

豪雨が全山を撫(な)でて降つてくるので、笠(かさ)は飛んでしまひ、蓙(ござ)もちぎれさうである。大木の枝が目前でいくつも折れた。それでも先達(せんだつ)はひるまずに六根清浄御山繁盛(ろくこんしやうじやうおやまはんじやう)と唱へて行つた。さうするうち、渡るべき前方の谿は一めんの氷でうづめられてそれが雨で洗はれてすべすべになつてゐる。

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徳冨健次郎

【みみずのたはこと】

去年の夏は照(てり)がつゞいたので、村居六年はじめて雨乞(あまごい)を見た。八幡に打寄って村の男衆が、神酒(みき)をあげ、「六根清浄(ろっこんしょうじょう)………………懺悔(さんげさんげ)」と叫んだあとで若い者が褌(ふんどし)一つになって此二間幅(はば)の大川に飛び込み、肩から水を浴びて「六根清浄」……何とかして「さんげ」と口々に叫んだ。其声は舜旻天(しゅんびんてん)に号泣(ごうきゅう)する声の如くいじらしく耳に響いた。霜の朝など八幡から眺めると、小川の上ばかり水蒸気がほうっと白く騰(た)って、水の行衛(ゆくえ)が田圃はるかに指(ゆび)さゝれる。

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Last updated : 2022/11/23