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世道人心
せどうじんしん
作家
作品

正岡子規

【人々に答ふ】

 ある人(秋田県樺園子かえんし)曰く、万葉の歌は十中八、九まで世道人心に関係あれば善し。古今以後の歌は いたずらに月を賞し花をもてあそぶ。故に取らず。云々。
 答へて曰く、かくの如き事は前にも度々たびたび言ひたれば、今更繰り返すもと思へどなほ少しいふべし。歌は世道人心に関係ある故善きにあらず。世道人心に関する歌にて善きもあり あしきもあり。歌は花月をもてあそびたるがために悪きにあらず。花月を弄びたる歌にて善きもあり悪きもあり。万葉の中には「田子の浦ゆうちいでて見れば真白にぞ不尽ふじ高嶺たかねに雪はふりける」「わかの浦にしお満ちくればかたをなみ蘆辺あしべをさしてたづ鳴きわたる」などといふ歌ありて、人も名歌とし、われらもか思へり。されどこれらは世道人心に何らの関係もなきなり。

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夏目漱石

【文芸の哲学的基礎】

自己が真の意味において一代に伝わり、後世に伝わって、始めて我々が文芸に従事する事の閑事業でない事を自覚するのであります。始めて自己が一個人でない、社会全体の精神の一部分であると云う事実を意識するのであります。始めて文芸が世道人心に至大の関係があるのを悟るのであります。我々は生慾の念から出立して、分化の理想を 今日こんにちまで持続したのでありますから、この理想をある手段によって実現するものは、我々生存の目的を、一層高くかつ大いにした功蹟こうせきのあるものであります。

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芥川龍之介

【文部省の仮名遣改定案について】

我国語調査会の委員諸公は悉聡明練達の士なり。何ぞ大正の聖代にこの暴挙を敢てせむや。僕は正直に白状すれば、諸公の喜劇的精神に尊敬と同情とを有するものなり。然れども、語にこれを言はずや、「常談にも程がある」と。僕は諸公の常談の大規模なるは愛すれども、その世道人心に害あるの事実は認めざる能はず。

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高山樗牛

【美的生活を論ず】

蓋し今の世にありて人生本來の幸福を求めむには、吾人の道徳と知識とは餘りに煩瑣にして又餘りに迂遠なるに過ぐ。の道學先生の如き、若し眞に世道人心の爲に計らむと欲せば、須らく率先して今日の態度を一變せざるべからず。

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寺田寅彦

【錯覚数題】

 この術は決して新しいものではなくて、古い古い昔から、時には偉大なる王者や聖賢により、時にはさらにより多く奸臣かんしんの扇動者によって利用されて来たものである。前者の場合には世道人心を善導し、後者の場合には惨禍と 擾乱じょうらんを巻き起こした例がはなはだ多いようである。いずれもとにかく人間の錯覚を利用するものである。

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北村透谷

【内部生命論】

真正の勧懲は心の経験の上に立たざるべからず、即ち内部の生命インナーライフの上に立たざるべからず、故に内部の生命を認めざる勧懲主義は、到底真正の勧懲なりと云ふべからざるなり。彼等は世道人心を説けり、 すあるが為めに文を草すべきを説けり、世を益するが為めに文を草すべきを説けり、然れども彼等の世道人心主義も、到底偏狭なるポジチビズムの誤謬を免かれざりしなり、未だ根本の生命を知らずして、世道人心を益するの 正鵠せいこくを得るものあらず。

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内村鑑三

【後世への最大遺物】

 一篇のキリスト教的演説、別にこれを一書となすの必要なしと思いしも、前発行者の勧告により、印刷に附して世におおやけにせしに、すでに数千部をいだすにいたれり、ここにおいて余はその多少世道人心裨益ひえきすることもあるを信じ、今また多くの訂正を加えて、再版に附することとはなしぬ、もしこの小冊子にしてなお新福音を宣伝するの機械と[#「機械と」はママ]なるを得ばの幸福何ぞこれにかん。

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和辻哲郎

【古寺巡礼】

 昨夜父は言った。お前の今やっていることは道のためにどれだけ役にたつのか、頽廃した世道人心を救うのにどれだけ貢献することができるのか。この問いには返事ができなかった。五六年前ならイキナリ反撥したかも知れない。

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坂口安吾

【男女の交際について】

 近ごろの世道人心が堕落タイハイしているとか道義が地におちたとか慨嘆するのは当らない。
 昔の平和の時代に比較して人の心だけを言うのが間違いで、このインフレ時代であり、住宅難、動物的雑居生活、停電、食糧難、物資難、交通難、おまけにそこに住む青年たちは戦場へ追いやられて心ならずも人殺しを稼業にしてきた人々であり、他の人々は空襲火災に追いまくられて家財や肉親を失ったような人々である。

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福沢諭吉

【新女大学】

就中なかんずく親族編の如きは、古来日本に行われたる家族道徳の主義を根底より破壊して更らに新主義を注入し、然かも之を居家処世の実際に適用す可しと言う非常の大変化にして、所謂世道人心の革命とも見る可きものなるに、其民法の草案は発布前より早く流布して広く世人の目に触れたるにも拘わらず、其規定に対して曾て異論を唱うるものなきのみか、

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吉川英治

【三国志 桃園の巻】

「ばかをいい給え。それは時代による。あの頃は、しんの世が乱れて項羽のようながさつ者の私議暴論が横行して、天下に定まれる君主もなかった時勢だろ、ゆえに高祖は、あだある者でも、降参すれば、手なずけて用うことに腐心したのである。また、秦の乱世のそれと、今日の黄賊とは、その質がちがう。生きる利なく、窮地に墜ちたがゆえに、降を乞うてきた賊を、あわれみをかけて、救けなどしたら、それはかえってあだを長じさせ、世道人心に、悪業を奨励するようなものではないか。この際、断じて、賊の根を絶たねばいかん」

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Last updated : 2022/11/23