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千万無量
せんまんむりょう
作家
作品

夏目漱石

【草枕】

「女は路に迷いながら、いずこに迷えるかを知らぬさまである。さらわれて空行く人のごとく、ただ不可思議の千万無量――あとがちょっと読みにくいですよ。どうも句にならない。――ただ不可思議の千万無量――何か動詞はないでしょうか」
「動詞なんぞいるものですか、それで沢山です」

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芥川龍之介

【邪宗門】

「されば恋の功徳くどくこそ、千万無量とも申してよかろう。」
 やがて若殿様は、恥しそうに御眼を御伏せになった御姫様から、私の方へ、陶然となすった御顔を御向けになって、
「何と、じいもそう思うであろうな。もっともその方には恋とは申さぬ。が、好物こうぶつの酒ではどうじゃ。」

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北原白秋

【東京景物詩及其他】

君が秘密の日くれどき、
ひとり心につきつめて
そつとさぐりを投げつくる
深き恐怖おそれか、わが涙――
千万無量瞬間たまゆら
雪はちらちらふりしきる。
四十五年十一月

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泉鏡花

【唄立山心中一曲】

はじめは旅行案内を掴出つかみだして、それを投込んで錠を下した時に、うっかり挟んだものと思われる。が、それを心着いた時は――と云って垂々たらたらと額に流るる汗をぬぐって――ただ一瞬間に千万無量万劫ばんごうの煩悩を起した。

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清水紫琴

【心の鬼】

 これに胸を裂かれて、わつと泣入るお糸、ウウームと腕を組みて考へ込む義父、千万無量の胸の思ひに、いづれ一句を出さむよしなし、双方無言の寂寥に、我を忘れて縁側に戯れ居たるお駒と長吉とは、障子の隙よりソッとさし覗きぬ。

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中原中也

【亡弟】

 而も猶、一寸立つて便所に行かうとすると、途中で曲つてゐる梯子段を踏みあやまつて、私は四五段も辷り落ち、ひぢをしたたかり剥いたのだが、驚いてとんで来た医者に、抱き取られながらも、いい気味だいい気味だ、死んだ弟を忘れてゐたから罰が当つたのだと、急にまた千万無量な思ひをするのであつた。心臟よ、ドキドキと鳴れ、肘よ痛め。これが死んだ弟への懺悔の一端ともなれば、ああなんと、嬉しいことであらう!……

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樋口一葉

【雪の日】

姉様お(ねがひ)は珠が事をと。(かす)かに言ひし一言あはれ千万無量の思ひを籠めて、まこと闇路に迷ひぬべき事なるを、引受けし我れ 其甲斐(そのかひ)もなく、世の嗤笑ものわらひに為しも終らば、第一は亡き妹に対し我が薄井の家名に対し、伯母が身は(そもそ)も何とすべき。

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齋藤茂吉

【接吻】

きのふの午後に見た本屋の蔵庫にあるあの心理の雑誌は、いくばくに値切るべきであらうか。あの続きを揃へようとせばライプチヒに註文して貰へばいい、日本にゐる童子は、学校でも遊び友だちは殆どないといふ妻からの便りがあつた。が、おれに似たのかも知れん。云々である。写象は起つて忽ち過ぎ去つた。実は千万無量の写象である。

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坂口安吾

【デカダン文学論】

 自分の罪を考へる、それが文学の中で本当の意味を持つのは、具体的な行為として倫理的に発展して表はれるところにあるので、手をひつくり返して眺めて鬼気迫るなどとは、ボーンといふ千万無量の鐘の思ひと同じこと、海苔をひつくり返して焼いて、味がどうだといふやうな日本の幽霊の一匹にすぎないのである。

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菊池寛

【真珠夫人】

「郵便局! 郵便局なら、僕が行って来て上げましょう。」
 母の後に立っていた青年は、の沈黙を救おうとしてそう云った。
 美奈子は、一寸ちょっと狼狽ろうばいした。託すべき手紙などは持っていなかったからである。
「いゝえ。結構でございますの。」
 美奈子は、平素いつもに似ず、きっぱりと答えた。その拒絶には、彼女の、芽にして、にじられた恋の千万無量の恨が、 こもっていたと云ってもよかった。
 聡明そうめいな瑠璃子には、美奈子の心持が、可なりわかったらしかった。

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吉川英治

【随筆 宮本武蔵】

 そこで彼は、忠利が小田原に着く頃を見計らって箱根の湯本に出向き、或いは最後になるかも知れぬ物語りに、暇乞いの一夜を明かそうとしたのである。しかし沢庵のこの計画も、悪天候と出水にはばまれて、ただ千万無量の恨みを残した。

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Last updated : 2022/11/23