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千載一遇
せんざいいちぐう
作家
作品

夏目漱石

【吾輩は猫である】

さいわいにして苦沙弥先生門下の猫児びょうじとなって朝夕ちょうせき虎皮こひの前にはんべるので先生は無論の事迷亭、寒月乃至ないし東風などと云う広い東京にさえあまり例のない一騎当千の豪傑連の挙止動作を寝ながら拝見するのは吾輩にとって千載一遇の光栄である。御蔭様でこの暑いのに毛袋でつつまれていると云う難儀も忘れて、面白く半日を消光する事が出来るのは感謝の至りである。

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二葉亭四迷

【平凡】

誰も居ぬ留守に、一寸ちょっとらッしゃいよ、と手招ぎされて、驚破すわこそと思う拍子に、自然と体の震い出したのは、即ち武者震いだ。千載一遇の好機会、はずしてなるものか、というような気になって、必死になって武者震いを喰止めて、何喰わぬ顔をして、呼ばれる儘に雪江さんの部屋の前へ行くと、こごんでいた雪江さんが、其時勃然むっくりかおを挙げた。

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徳冨蘆花

【謀叛論(草稿)】

もし政府が神経質で依怙地えこじになって社会主義者を堰かなかったならば、今度の事件も無かったであろう。しかしながら不幸にして皇后陛下は沼津に御出になり、物の役に立つべき面々は皆他界の人になって、廟堂にずらり頭をならべている連中には唯一人の帝王の師たる者もなく、誰一人面を冒して進言する忠臣もなく、あたら君徳を輔佐して陛下を堯舜に致すべき千載一遇せんざいいちぐうの大切なる機会を見す見す看過し、国家百年の大計からいえば眼前十二名の無政府主義者を殺して将来永く無数の無政府主義者を生むべき種を播いてしもうた。

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北原白秋

【竹林生活 ――震災手記断片――】

 静観と沈勇、かうした心状に於て私たちは初めてまことの詩の道に立つことが出来るのである。
 ああ、私の庭のあかい葉鶏頭は葉鶏頭としての営みを、その裂けた土の上にも忘れては居らない。崩れた山の畑にも胡麻は胡麻としての智慧を完全にめぐらしてゐる。
 千載一遇のこの尊い体験を私たちは心から感謝してよい。凡ては鮮やかに生れて来る。

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石川啄木

【渋民村より】

充実なき誇負は由来文化の公敵、真人の蛇蝎視だかつしする所に候。好んで洒盃に走り、祭典に狂する我邦人は或は歴史的因襲として、アルコール的お祭的の国民性格を作り出だしたるに候らはざるか。千載一遇の好機会に当り、同胞にしてし悠久の光栄を計らず、いたづらに一時の旗鼓きこの勝利と浮薄なる外人の称讃に幻惑するが如き挙に出でしめば、吾人ごじんは乃ち伯叔と共に余生を山谷さんこく蕨草けつさう に托し候はむかな。

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田山花袋

【田舎教師】

平生へいぜい政見を異にした政治家も志を一にしてこうに奉じ、金を守るにもっぱらなる資本家も喜んで軍事公債に応じ、挙国一致、千載一遇とに壮烈なる最後をとげた士官や、勇敢なる偉勲いくんを奏した一兵士の記事をもって満たされ、それにつづいて各地方の団隊の熱心なる忠君愛国の状態が見るように記されてある。

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太宰治

【右大臣実朝】

十二月二十六日には、御拝賀の御行列に供奉申上げる光栄の随兵の御撰定がございまして、そもそもこのたびの御儀式の随兵たるべき者は、まづ第一には、幕府譜代の勇士たる事、次には、弓馬の達者、しかしてその三つには容儀神妙の、この三徳を一身に具へてゐなければならぬとの仰せに従ひ、名門の中より特に慎重に撰び挙げられたいづれ劣らぬ容顔美麗、弓箭達者の勇士たちは、来年正月の御拝賀こそ関東無双の晴れの御儀にして殆んど千載一遇とも謂ひつべきか、このたび随兵に加へらるれば、子孫永く武門の面目として語り継がん、まことに本懐至極の事、と互ひに擁して慶祝し合ひ、ひたすら新年を待ちこがれて居られる御様子でございましたけれども、当時、鎌倉の里に於いて、何事も思はず、ただ無心にお喜びになつていらつしやつたのは、おそらく、このお方たちだけでは無かつたらうかと思はれます。

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島崎藤村

【夜明け前 第二部下】

 過ぐる年、東京神田橋かんだばし外での献扇けんせん事件は思いがけないところで半蔵の身に響いて来た。千載一遇とも言うべきこの機会に、村のものはまたまた彼が強い衝動にでも駆られることを恐れるからであった。かつては憂国の過慮から献扇事件までひき起こし、一時は村でもとかくの評判が立った彼のことであるから、どんな粗忽そこつな挙動を繰り返さないものでもあるまいと、ただただわけもなしに気づかうものばかり。

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直木三十五

【南国太平記】

然し――某は、兵道を以て立つ者、兵道を惜む念において、人に譲らぬのみか――好機――好機来、兵道の真価を示す時節来、何れは、お命の縮む御幼君――この大任を果せば、兵道無用の悪評の消ゆるは愚か、島津重宝の秘法として、この軍勝図は、再び世に現れましょう――某の面目は、とにかくとして、兵道家として、千載一遇の機――よって、命をかけ申しましたが――もし、ここで、恩師と、呪法を争えば、必ず、一方は、倒れまする。老いたりと雖も、玄白斎先生の気魄、霊気は、凝って、天地を圧するの概――これを破れば、老師を倒し、某とても、三年の間は持ちますまい。

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吉川英治

【私本太平記 帝獄帖】

「天皇、御山みやまにあり」
 と信じて、本堂釈迦堂の上にひるがえッている錦旗の光彩を、すこしも、疑いなどはしていなかった。
 つたえ聞いて、近郷の比良ひら焼津やいづ、そのほかの山家などから、お味方にと、山へ馳せのぼって来る郷士らも多かった。彼らにすれば、野望を賭ける「時こそ」だった。 千載一遇せんざいいちぐう、この時潮に乗りおくれては――と、錦旗をのぞんで来たものだろう。

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Last updated : 2022/11/23