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潜在意識
せんざいいしき
作家
作品

有島武郎

【生まれいずる悩み】

 しかも浅はかな私ら人間はさると同様に物忘れする。四年五年という歳月は君の記憶を私の心からきれいにぬぐい取ってしまおうとしていたのだ。君はだんだん私の意識のしきいを踏み越えて、潜在意識の奥底に隠れてしまおうとしていたのだ。

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木暮理太郎

【黒部川奥の山旅】

人寰じんかんとの交渉を断続した筈の高い処に、お余り小さいながらも縮図されたる下界が存在し、そこに風雨氷雪の危険と威嚇とに打ち克って、私達の心を威圧し慴伏しょうふくせんとする山岳の絶対権威に抗して、人間最高の精神的努力が微かながらも勝利を叫んでいる。それが潜在意識となって私達に異常の寛ろぎを与えるのであろう。室堂の存在は立山に取りて物質的損害を及ぼすことなしとするも、精神的には少なからず威厳を冒涜しているものと思われる。

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太宰治

【虚構の春】

私、小学生のころ、学芸大会に、鎌倉名所の朗読したことがございまして、その折、練習に練習を重ねて、ほとんど諳誦できるくらいになってしまいました。七里ヶ浜のいそづたい、という、あの文章です。きっと子供ながら、その風景にあこがれ、それがしみついて離れず、潜在意識として残っていて、それが、その鎌倉行になってあらわれたのではなかろうかと考え、わが身を、いじらしく存じました。鎌倉に下車してから私は、女にお金を 財布さいふぐるみ渡してしまいましたが、女は、私の豪華な三徳さんとくの中をのぞいて、あら、たった一枚? と小声でつぶやき、私は身を切られるほど恥かしく思ったのを忘れずに居る。

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倉田百三

【光り合ういのち】

 こういう歌を私たちも口真似で唱った。しかし宗教のことはまだ解らなかったが、私はこのヴァーンスさんという老婦人が好きだった。エヂプトでイスラエルの人民が煉瓦づくりの労役などに酷使される絵を鞭でさしつつ話してくれた。
 こうした幼な心におぼろに印象した断片も決して無駄ではない。その時の霊の片鱗は童心の潜在意識にちゃんと印刻されているのだ。そして後年ある契機にふれるとよみがえって来るのだ。

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竹久夢二

【砂がき】

夕方、街裏を散歩すると、畑をぬけて丘へ上つてゆく白い道が、どうも、いつか歩いたことがある氣がするのだ。そんな筈はない、はじめての土地だ。しかしこの氣がするといふ實感を飜すどんな理由もない。祖先の經驗したことが潜在意識になつて子孫に傳はるというやうなことや、肉體から遊離した靈がふらふらとこの邊を散歩したなどといふことがあるものだらうか。まあ、さうとでもしなければ、説明がつきにくい。

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小林多喜二

【雪の夜】

 少しくると龍介はあやふやな気持で立ち止まった。
 ――彼は自分がズルかったことを意識した。彼は今までちっともこのことには触れずにいながら、潜在意識のようなもので、ここへ来ることを望み、来たのだ。ここは彼のようにルーズな気持を持っているもののくる最後のところだと思うと淋しかった。彼は立ち止まりながら真直ぐ家に帰ろうと考えた。が、彼は昨夜とその前の晩ちょっと寄った女の処へ行ってみたい気持の方が強かった。結局彼はその方へ歩いた

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原口統三

【二十歳のエチュード】

 あの時以来、僕は自分が二十歳をまだ越えない歳ごろにいるということを知っている。

 何でもなかったことが、潜在意識の流れの上に投げこまれた、もともと見当違いのはずの一石によって、思いがけない認識に達するということ。この焦躁感のまじった探究心はますますその悩みと傷口を大きくする。

 僕が青春に背を向けることを歎くまい。

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岡本かの子

【河明り】

だがしそんな話をして、いくらかでも、かえって母親達のような女臭さをあの娘に植えつけは仕ないだろうか、今はあんな娘であるにしても根が女のことだから、今は聞き流していても、それを潜在意識に貯えて、いつ同じ女の根性になって来ないものでも無い……そんな おそれからこれは娘には一切聞かせずに、いっそのことお世話ついでにあなたにだけ聞いて頂こうと思った。世の中の男のなかにはこういう悩みを持つものもあるものだと、了解して頂き度い……と男の口調や態度には律義ななかに頼母たのもしい才気が閃くのだった。

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外村繁

【日を愛しむ】

 素子は今のところでは何の異状もなく、先ずは平穏な日日を送っている。が、そんな安らかな一夜の微酔が、却って不意に、あの恐怖を呼び覚したのではなかろうか。私もあの時は、毒をもって毒を制するつもりであったのであろう。すると、あの恐怖は潜在意識となって、いつも私の頭の中にも潜んでいるもののようである。

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吉川英治

【折々の記】

 農村とか農民とかいひかへてゐる今日でも、なほ一般の潜在意識には脱けきれないものがあるやうである。都會人の輕佻浮薄も嗤ふべきであるが、それには百姓自身の觀念がまだほんとに革まつてゐないことや、自分の天職に自覺を持たないことなどが、原因をなしてゐるのではあるまいか。

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Last updated : 2022/11/23