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善男善女
ぜんなんぜんにょ
作家
作品

夏目漱石

【門】

彼は依然として無能無力に鎖ざされた扉の前に取り残された。彼は平生自分の分別を便たよりに生きて来た。その分別が今は彼にたたったのを口惜くちおしく思った。そうして始から取捨も商量もれない愚なものの一徹一図をうらやんだ。もしくは信念にあつ善男善女の、知慧も忘れ思議も浮ばぬ 精進しょうじんの程度を崇高と仰いだ。

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芥川龍之介

【侏儒の言葉】

 これは何もわたし一人の地上楽園たるばかりではない。同時に又天下に充満した善男善女の地上楽園である。唯古来の詩人や学者はその金色の 瞑想めいそうの中にこう云う光景を夢みなかった。夢みなかったのは別に不思議ではない。こう云う光景は夢みるにさえ、余りに真実の幸福にあふれすぎているからである。

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永井荷風

【伝通院】

 私は記憶している。まだ六ツか七ツの時分、芝の増上寺から移ってこの伝通院の住職になった老僧が、紫の紐をつけた長柄ながえ駕籠かごに乗り、随喜の涙にむせぶ群集の善男善女ぜんなんぜんにょと幾多の僧侶の行列に送られて、あの門の下をくぐって行った目覚しい光景に接した事があった。

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横光利一

【比叡】

彼はその途中で、今年次ぎ次ぎに死んでいった沢山の自分の友人のことを思いながら、ふと、自分が死んでも子供たちはこうして来るであろうと思ったり、そのときは自分はどんな思いで堂の中からのぞくものであろうかと思ったり、世の常の堂へ参る善男善女の胸に浮ぶ考えとどこも違わぬ空想の浮ぶのに、しばらくは閉口しながら子供らの後を追っていった。しかし定雄は千枝子や姉を見ると、彼女らは一向父母の骨の前に出る感慨もなさそうに、あたりの風景を賞しながら楽しげに話しているのを見ると、それではこの中で一番に古風なのは自分であろうかと思ったりした。

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平林初之輔

【祭の夜】

 前日からひきつづき地蔵盆にあたっているので、この日、京の町々は宵のうちから、珍しい人出です。心からの信心でお参りをする善男善女もあれば、暑くてねられぬままに涼みがてらの人たちもあり、ただ人ごみの中へまじっておれば満足の風来坊もあれば、混雑につけこんで何か仕事をしようとたくらんでいる不届き者もないとは限らぬという具合です。

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宮本百合子

【上林からの手紙】

 善光寺を建てた坊さんは、長野の市街が天然にもっている土地の勾配というものを実にうまくとらえ、造形化したものだと思う。見通しの美的効果というものを、敏感に利用している。その勾配を、小旗握った宿屋の番頭に引率された善男善女の大群が、連綿として登り、下りしていて、左右の土産物屋は浅草の仲見世のようである。葡萄を売っている。林檎を売っている。赤や黄色で刷った絵草紙、タオル、木の盆、乾蕎麦や数珠を売っている。門を並べた宿坊の入口では、エプロンをかけた若い女が全く宿屋の女中然として松の樹の下を掃いたりしている。
 参詣人の大群は、日和下駄をはき、真新しい白綿ネルの腰巻きをはためかせ、従順にかたまって動いているが、あの夥しい顔、顔が一つも目に入らず、黄色や牡丹色の徽章ばっかりが灰色の上に浮立ち動いているのは、どうしたものだろう。数が多すぎるばかりでなく、これらの善男善女は一様に或る熱心と放心とのまじり合った表情の中に没せられていて、一人一人の人間らしい目鼻だちの活躍する以前の状態におかれているのであると見える。花じるしばかりで顔や眼のない人間の群は眺めていて悲しみを感じさせた。

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幸田露伴

【連環記】

清閑の池亭のうち、仏前唱名しょうみょう間々あいあいに、筆を執って仏菩薩ぼさつ引接いんじょうけた善男善女往迹おうじゃくを物しずかに記した保胤の旦暮あけくれは、如何に塵界じんかいを超脱した清浄三昧しょうじょうさんまいのものであったろうか。此往生極楽記は其序に見える通り、唐の弘法寺ぐほうじの僧の釈迦才しゃくかさいの浄土論中に、安楽往生者二十人を記したのにならったものであるが、保胤往生の後、大江匡房おおえのまさふさは又保胤の往生伝の先蹤せんしょうを追うて、続本朝往生伝をせんしている。

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菊池寛

【藤十郎の恋】

 東国から、九州四国から、また越路こしじの端からも、本山参りの善男善女ぜんなんぜんにょの群が、ぞろぞろと都をさして続いた。そして彼等も春の都の渦巻の中に、幾日かを過すのであった。

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泉鏡花

【高野聖】

 ことに娘が十六七、女盛おんなざかりとなって来た時分には、薬師様が人助けに先生様のうちへ生れてござったというて、信心渇仰しんじんかつごう 善男善女ぜんなんぜんにょ? 病男病女が我も我もとける。

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石川啄木

【鳥影】

 村に禪寺が二つ、一つは町裏の寶徳寺、一つは下田の喜雲寺、何れも朝から村中の善男善女を其門に集めた。靜子も、母お柳の代理で、養祖母のお政や子供等と共に、午前のうちに參詣に出た。

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Last updated : 2022/11/23