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自己矛盾
じこむじゅん
論理や実践において、自己の中に自己を否定するものを含んでいること。論理や実践において、自分自身を否定するようなものが自分の内に含まれていること。 ⇒ 自家撞着
作家
作品

有島武郎

【惜みなく愛は奪う】

或る人が純粋に本能的の動向によって動く時、誤って本能そのものの歩みよりも更に急ごうとする。そして遂に本能の主潮から逸して、自滅に導く迷路の上を 驀地まっしぐらせ進む。そして遂に何者でもあらぬべく消え去ってしまう。それは悲壮な自己矛盾である。彼の創造的動向が彼を むなしく自滅せしめる。智的生活の世界からこれをながめると、一つの愚かな蹉跌さてつとして眼に映ずるかも知れない。

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三好十郎

【夜の道づれ】

そして、つまり、それは戰爭じやないか。いや、戰爭というものを、なんだなあ、この、どの戰爭が正しくつて、どの戰爭がまちがつているとか、その他、そんなふうな角度から見るんじやなくてさ、戰爭全體をだな、人間というものが人間自身に對して犯した自己矛盾として見る、そういう見方もあろうじやないか。つまりだな、そこに現に生きている一人の特定のドイツ人を、どんなフランス人だつて憎んではいない。その逆もさ。つまり、殺し合わなければならない程、お互いに憎み合つている人間は、どこにも居ない。だのに戰爭を起す。起したとなると、互いに齒をむき出して一度に二千人三千人と殺し合う。……人間の愚かさかも知れんし、人間の歴史の運命みたいなものかも知れんが――とにかく自己矛盾だ。愚かさは初めからわかつているんだ。

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萩原朔太郎

【小説家の俳句 俳人としての芥川龍之介と室生犀星】

 俳人としての室生犀星は、要するに素人庭園師としての室生犀星に外ならない。そしてこのアマチユアの道楽芸が、それ自らまた彼の人物的風貌の表象であり、併せて文学的エスプリの本質なのだ。故にこれを結論すれば、彼の俳句はその造庭術や生活様式と同じく、ヂレツタントの風流であつて、然も「人生そのもの」の実体的表現なのだ。彼がかつて風流論を書き、風流生活、風流即芸術の茶道精神を唱導した所以も此処にあるし、句作を余技と認めながら、しかも余技に非ずと主張する二律反則の自己矛盾も、これによつて疑問なしに諒解できる。

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戸坂潤

【技術の哲学】

 そこで仮に一つの公式を立てて見よう。この「本質的な外見」を何等かの外見と見る代りに何等かの本質自身と見做すならば、それは外見的な現象に捉われる見地である。この見地によれば、技術乃至技術学の中立性こそがその本質でなければならぬ。技術乃至技術学の何等かのイデオロギー的・社会的・政治的・経済的・制約は之に反して、外部から付着によって生じた偶然な現象に過ぎない、ということになる。だがこうした見地の誤謬は、一つの自己矛盾となって現われる。というのは、技術乃至技術学を中立化すことは、一定の時代に於ては、事実上、それ自身技術乃至技術学の一種の政治化乃至イデオロギー化になっているのである。具体的な事実は、勝手な誤謬をこういう風にして暴露する。

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中井正一

【美学入門】

 それは歴史的な聖なる一回性に、私は時間を隔てて、再び連続していることを示すのである。物質の正直さゆえに、私たちは物質的手続きによって歴史感を撃発されるのである。
 映画の連続せるコマは、この連続せる時間の再現である。「時間の再現」そのことが、時間概念とは自己矛盾しているのである。なぜならば再現できない流動しているものが時間なのであるからである。しかも再現されなければ歴史的時間の意識は生じないのである。

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三木清

【哲学入門】

信頼は、元来、主体と主体との間に成立つ関係である。自己の呼び掛けに対して他が必ず応えるであろうと信頼する、その際他のまことが信ぜられており、また応える側においても自己に呼び掛ける者のまことが信ぜられている、即ち信頼は人と人との間に真理が起るということを土台としている。信頼は単に他が変らぬこと、彼の人格の同一性を信ずるというが如きことではない。カントは正直という徳を、不正直であることは自己矛盾に陥るとして説明したが、すべて道徳はかように形式論理をもって説明し得るものでない。道徳的真理は我と汝という全く独立なもの、対立するものの統一の上に成立つのであるが、道徳はすべてかくの如く弁証法的なものである。

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波多野精一

【時と永遠】

主體と他者との共同即ち和合合一はここに見出すべくもない。それどころか、むしろ共同の破棄絶滅こそ徹底したる自然的生の落着く先である。主體性の兩面性はここでは極めて露骨なる自己矛盾として暴露してゐる。更に又時間性及びそれの缺陷や矛盾もここに源を發する。將來(他者)との關係によつて存在を保つ現在(主體)は同じ關係によつて又過去へ非存在へと押遣られる。有はいつも無に歸し、來るものはいつも去り、一切は時の流れに誘はれて果てしなき壞滅の道をたどる。時間性の克服は自然的生のこの自己矛盾よりの解放でなければならぬ。

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西田幾多郎

【絶対矛盾的自己同一】

多と一との矛盾的自己同一として作られたものから作るものへという世界は、現在から現在へと考えられる世界でなければならない。現実は形をち、現実においてあるものは、何処までも決定せられたもの、即ち実在でありながら、矛盾的自己同一的に決定せられたものとして、現実自身の自己矛盾から動き行くものでなければならない。その背後に一を考えることもできない、多を考えることもできない。決定せられることそのことが自己矛盾を含んでいなければならない。

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Last updated : 2022/11/23