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純真無垢
じゅんしんむく
作家
作品

テオフィル・ゴーチエ 芥川龍之介訳

【クラリモンド】

 わしはそれ迄に世間を見た事がなかつた。わしの世界は大学と研究室との壁に限られてゐたのである。尤も「女」と云ふ者があると云ふ事は、漠然と知つてゐたが、わしはわしの思想が此様な題目の上に止る事を許さなかつたので、わしは全く純真無垢な生活をつゞけて来た。一年に二度、わしは、年をとつた からだの弱い母親に逢ふが、此二回の訪問の中に、わしの外界に対する、凡ての関係が含まれてゐたのである。

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太宰治

【右大臣実朝】

大君への忠義の赤心に、理由はございません。将軍家に於いても、ただ二念なく大君の御鴻恩に感泣し、ひたすら忠義の赤誠を披瀝し奉らん純真無垢のお心から、このやうなお歌をお作りになつたので、なんの御他意も無かつたものと私どもには信ぜられるのでございます。

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菊池寛

【二千六百年史抄】

 その撰者は、橘諸兄たちばなのもろえと云ひ、大伴家持おほとものやかもちと云はれ、明確ではないが、長歌短歌およそ四千五百首、上は天皇より下は庶人に至るまで、あらゆる階級の人を含み、宮廷歌集であると共に、民謡集である点に於て、わが国民の一大家族性を示した和歌集たるの観がある。
 その中には、上代国民の剛健素朴な日常生活や、純真無垢な忠君の精神や、天真無縫の感情生活が脈々として流れてゐるのである。「古代日本人を知らんと欲せば万葉集を読め」と云ひたいくらゐである。現代の活字本の万葉集は、甚だ読み易くなつた。何人も一読すべきだと思ふ。

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木村荘八

【鏑木さん雑感】

 例へば名は同じ随筆といつても、大多数の近頃の随筆ものと幸田露伴さんの随筆とでは、その重さや、構へや、格に、大した開きがある。これと同じことで、さしゑも大時代の「清方ゑがく」は、今日いふ「ホン絵」よりも「展覧会制作」よりもずつと純真無垢の、一途に美術的なる、絵らしい絵といつて、然るべきものである。
 鏑木さんはこれを指して平々淡々と「さしゑ」といひ、自分はその出だといつて居られるのである。御自分の実感はそのほかに「さしゑ」を御存知ないから。

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岸田國士

【青年の夢と憂欝 ――力としての文化 第五話】

 予め断つておいたとほり、これは極端な「現実」の悪口で、私自身こんな風に信じてゐるわけでもありませんが、比較的純真無垢にして人を信ずること厚く、学校教育によつて善悪、正邪、美醜を判断する眼を与へられ、人生への希望を、そのまゝ夢として、今日の社会に生きようとする年若き人々の魂は、荒々しく埃にまみれた現実の断片から、そもそも如何なる印象を受けるかといふことです。私が前に行つた「現実」の素描は、そのまゝ彼等の魂に映る「現実」のグロテスクな仮面の羅列に過ぎぬと私は確信するものです。

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小熊秀雄

【託児所をつくれ】


――ひとつサクラ子ちやんの純真無垢の眼をもつて
 どつちのお星さんが光つてゐるか当てゝごらん
 しかしよさう、
 かういふ幼児に真実を言はせるといふ
 大人の押しつけは憎まれるべきだ
 我々大人が真実を言はなければならん
――おぢちやん、何をひとりでしやべつてゐるのよ、
 サクラ子眠くなつたの、おぢちやん何か歌つてよ、
 ママちやんはいつもおやすみのとき
 サクラ子に歌をうたつてくれたの
 かうやつてね、布団をたたいてくれたの

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火野葦平

【糞尿譚】

栄誉ある市庁の役人が、政党にどうして気兼ねせねばならんのか、然し皆くびがこわいのだ、然し、もう僕は恐れんぞ、この間の歎願書問題でも、一途に、俺のやり方が悪いと云う、衛生課長を更迭しろ、と或る者は云っているそうだ。馬鹿にするな、ああ、小森君、握手しよう、可哀そうなのは人民だ、人民こそ純真無垢にして偽らざるものだ、と杉山氏は急にはらはらと落涙した。醒めかけていた酔が急にぶり返して来た彦太郎は、杉山氏の肩を兄貴のように叩き、課長さん、よくわかります、あなたの気持はよくわかります、と、何がわかったのか、しきりに頷き、しっかり握手して揺った。

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久生十蘭

【だいこん】

「みなさんご機嫌いかが」
 あがっていたとみえて、How do you do と Yankee Doodle がごっちゃになり、How doodle do といいかけた。ハアトのジャックに似た美しいひとがサーヴしてあたしを椅子に掛けさせると、みなで馬蹄形にあたしを取まき、そこで相互にゆっくりと観察することになった。
 見わたすところ怖そうな顔はあるが、下品な顔はない。みなおっとりと物静かで、プリンスのようなようすで足を組み、純真無垢海緑色ヴェル・マレの瞳でやさしくあたしを見つめている。困ったことには、三人に一人ぐらいの割合でびっくりするような美しいひとがいる。あたしの黒い瞳はともすればそっちのほうへばかり出かけて行きたがる。

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Last updated : 2022/11/23