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櫛風沐雨
しっぷうもくう
作家
作品

菊池寛

【仇討三態】

「何を仰せらるるのじゃ。一旦、敵を持った者に幸せな者がござろうか。御身様などは、まだいい。御身様は、物心ついた七歳の時から四十七歳の今日まで、人間の定命じょうみょうを敵討ばかりに過した者の悲しみを御存じないのじゃ」
 そういったかと思うと、三十年間の櫛風沐雨 しっぷうもくうで、あかがねのように焼け爛れた幸太郎の双頬そうきょうを、大粒の涙が、ほろりほろりと流れた。
 忠次郎の傷ついた胸が、温かい手でさっと撫でられたように一時になごんでいた。
 二人は、目を見合わしたまま、しばらくは涙を流し合った。

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太宰治

【津軽】

 生れ落ちるとすぐに凶作にたたかれ、雨露をすすつて育つた私たちの祖先の血が、いまの私たちに伝はつてゐないわけは無い。春風駘蕩の美徳もうらやましいものには違ひないが、私はやはり祖先のかなしい血に、出来るだけ見事な花を咲かせるやうに努力するより他には仕方がないやうだ。いたづらに過去の悲惨に歎息せず、N君みたいにその櫛風沐雨の伝統を鷹揚に誇つてゐるはうがいいのかも知れない。しかも津軽だつて、いつまでも昔のやうに酸鼻の地獄絵を繰り返してゐるわけではない。

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石川欣一

【可愛い山】

 ある年の夏、友達三人で西石川に泊った。あしたから山へ入ろうという前晩である。風呂に入り、軽く一杯やって床に入ると、大雨がふって来た。こんなにいい温泉の出るいい宿屋があるのに、俺達は何を好んで櫛風沐雨の生活に身を投じようとするのかとか、何とかゴテゴテいい合ったものだが、翌朝の島々行初発電車には、もうニコニコと乗込む我々であった。

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濱田耕作

【シュリーマン夫人を憶ふ】

 少女ミンナとお伽話の如く未來を契つたハインリヒ・シュリーマンは、彼女を失つて殆ど絶望の淵に沈んだが、トロイの發掘(一八七一年)に著手する二年前、ホメロスの詩の愛誦者であり、又彼の事業に深い同情を捧ぐる年若い希臘の一婦人を、其の生涯の伴侶として娶つたのである。而してトロイやミケーネに、櫛風沐雨苦樂を共にして、遂に曠世の大發見を成就せしめたのは、實にアゼンス名家出たるソフィヤ(Sophia Engastronenas)夫人であつた。彼女は時僅に十七歳の妙齡で、シュリーマンとは三十歳も違ふ娘の樣な若さであつた。

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吉川英治

【新書太閤記 第五分冊】

秀吉は心のうちで大きな嘆息をいだいた。
 畳につかえている半兵衛の手くびの細さ、びんの毛のあたりの肉の薄さ。
(遂に彼の宿痾しゅくあは、不治のものか)
 そう考えて来ると、胸がいたくなってくる。
 もともと病弱な彼を、むりに乱世の中へひき出した者は誰か。櫛風沐雨しっぷうもくうのあいだの幾戦場。また、平時のときでも、内部の経済に外交に、ほとんど安らかな日というものを与えずに、今日まで彼を苦しめ通して来た者は誰か。

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Last updated : 2022/11/23