ものの数え方・助数詞 6,000

ものの数え方 第三版

《 コラム - ちょっと知識 》
“ にんげんをかえせ ”
峠 三吉「原爆詩集」
 大量破壊兵器「原子爆弾」は、実戦として人類史上初めて日本に投下され、広島、長崎で多くの人々が犠牲になりました。1945年(昭和20年)8月のことで、今からの出来事です。
 この時、広島ではおよそ14万人の方が、長崎ではおよそ7万4千人の方が亡くなりました。
 詩人 峠三吉 とうげさんきち は、「原爆詩集」という作品でその悲惨さと悲しみを全世界に訴え、「にんげんをかえせ」で有名な『序』の部分は、その詩碑が広島市平和公園内に建立されています。
 ここに、「原爆詩集」の一部を紹介します。

原爆詩集


峠三吉


——一九四五年八月六日、広島に、九日、長崎に投下された原子爆弾によって命を奪われた人、また現在にいたるまで死の恐怖と苦痛にさいなまれつつある人、そして生きている限り憂悶と悲しみを消すよしもない人、さらに全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧ぐ。

  序

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ


  八月六日

あの閃光が忘れえようか
瞬時に街頭の三万は消え
しつぶされた暗闇の底で
五万の悲鳴は絶え

渦巻くきいろい煙がうすれると
ビルディングは け、橋は くず
満員電車はそのまま
涯しない 瓦礫 がれき と燃えさしの 堆積 たいせき であった広島
やがてボロ切れのような皮膚を垂れた
両手を胸に
くずれた 脳漿 のうしょう を踏み
焼け げた布を腰にまとって
泣きながら群れ歩いた裸体の行列

石地蔵のように散乱した練兵場の屍体
つながれた いかだ いより折り重った河岸の群も
けつく日ざしの下でしだいに屍体とかわり
夕空をつく 火光 かこう の中に
下敷きのまま生きていた母や弟の町のあたりも
焼けうつり

兵器廠 へいきしょう の床の 糞尿 ふんにょう のうえに
のがれ横たわった女学生らの
太鼓腹の、片眼つぶれの、半身あかむけの、丸坊主の
誰がたれとも分らぬ一群の上に朝日がさせば
すでに動くものもなく
異臭 いしゅう のよどんだなかで
かな ダライにとぶ蠅の羽音だけ

三十万の全市をしめた
あの静寂が忘れえようか
そのしずけさの中で
帰らなかった妻や子のしろい 眼窩 がんか
俺たちの心魂をたち割って
込めたねがいを
忘れえようか!


 ●『原爆詩集』全文をお読みになりたい場合はこちらから。
    ●「原爆詩集」(青空文庫より)
 ●こちらの地図で、 核実験で出来た無数のクレーターを見ることが出来ます。
   ●アメリカ・ネバダ州にある核実験場
 ●こちらの地図で、ビキニ環礁の水爆実験の跡を見ることが出来ます。
   ●マーシャル諸島・ビキニ環礁の水爆実験の跡
 ●こちらの地図で、人類史上初の核実験が行われた場所を見ることが出来ます。
   ●アメリカ・ニューメキシコ州「トリニティ・サイト (Trinity Site)」
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