【みんなの知識ちょっと便利帳】ものの数え方・助数詞【や行−よ】

= よ =

もの		数え方
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ようが	洋画	⇒ 絵 [日本画]、⇒ 映画 [邦画]
ようかい	妖怪 [→ お化け]	一匹・一疋、一人（り／たり・にん） [人の状態で]
ようかい	作品を見る【参考】国枝史郎「大鵬のゆくえ」：「妖怪幾匹おられたか、その辺お気を付けられたかな？」「はい私数えましたところ二十一匹かと存ぜられまする……」「さようさよう二十一匹じゃ」【参考】中島敦「悟浄出世」：一人の聡明（そうめい）そうな怪物が、悟浄に向かい、真面目（まじめ）くさって言うた。「真理とはなんぞや？」そして渠（かれ）の返辞をも待たず、嘲笑（ちょうしょう）を口辺に浮かべて大胯（おおまた）に歩み去った。また、一人の妖怪―
ようがさ	洋傘 [→ 傘、→ 雨傘、→ 蝙蝠傘、→ 和傘、→ 唐傘、→ 番傘、→ 日傘、→ 蛇の目傘]	一本、一柄（へい・え・から）、一骨[骨の本数で]
ようがさ	作品を見る【参考】芥川龍之介「わが散文詩」：幾度もわたしを不快にした、あの一本の細巻きの洋傘（こうもり）！わたしは今でも覚えている。【参考】島崎藤村「山陰土産」：夏帽子一つ、洋傘一本、東京を出る前の日に「出来（でき）」で間に合はせて来た編あげの靴も草鞋をはいた思いで、【参考】徳冨蘆花「熊の足跡」：妻児を宿に残して、案内者を頼み、ゲートル、運動靴、洋傘（かさ）一柄（いっぺい）、身軽に出かける。
ようがし	洋菓子	⇒ ケーキ
ようかん	羊羹 [→ 棹物菓子、→ 素甘、→ 州浜・洲浜]	一本、一棹・一竿（さお）、一切（きれ）、一個、一片、一箱、一折（おり）
	【知識】「羊羹のサイズ」羊羹のサイズについて、江戸時代の文献に次のように記されている。『練・蒸および浪花羹ともに長さ六寸、厚さと幅各一寸を一棹とす。けだし家により幅を広く薄くするもあれども、大略同量なり』（下記作品参照）注：長さ六寸＝約18cm　　　厚さ・幅一寸＝約3cm
	作品を見る【参考】泉鏡花「縁結び」：茶を飲みたければ飲むと……羊羹（ようかん）がある。一本五銭ぐらいなんだが、よければお撮（つま）みと【参考】豊島与志雄「狐火」：腹掛の底の三本の栗羊羮の重みが、貨幣の重みみたいに、ずっしりと腹にこたえた。折角貰ってきたんだが、一本を平吉にくれてやるか、と彼は考えた。残りの二本じゃあ家の三人の子供等がまた喧嘩あ初めるかも知んねえ。【参考】喜田川守貞「守貞謾稿巻之三（家宅）」：羊羹　古は羊羹・饅頭ともに、かんと云う。羹なり。《中略》練・蒸および浪花羹ともに長さ六寸、厚さと幅各一寸を一棹とす。けだし家により幅を広く薄くするもあれども、大略同量なり。練羊羹一棹価銀二匁、浪華羹・蒸羊羹各一棹価銀一匁。三都［編集注：三都は、江戸、京都、大阪のこと］ともに同価なり。また京坂は上制といえども蘀包みを専らとし、折を用うことははなはだ稀とす。けだし蘀を巻きて羹の左右にそえ、その上を包みて幅二寸余とす。江戸は稀に蘀包みあれども、単（ひとえ）に包みて広くせず。音物には折入りを専らとするなり。折入り、蘀包みともに一棹入り、二、三棹入りあり。京坂これと同じ。【編集注】「守貞謾稿（もりさだまんこう）」は、天保8年（1837）から慶応3年（1867）まで、30年間にわたって書かれた江戸時代後期の風俗史。 [] 【参考】佐藤垢石「食指談」：文化の大食会のときには、丸屋助兵衛というのが饅頭五十、羊羹七竿、薄皮餅三十、茶十九杯をあおってナンバーワンとなり、【参考】谷崎潤一郎「細雪中巻」：彼女は今、日光からの帰りがけで、お久と一緒に雷門から地下鉄に乗ったのであるが、ちょっと御寮人様にお目に懸って今日のお礼を申さなければと思いまして、尾張町（おわりちょう）で自分だけ下りてお伺い致しました、と、そう云って、これはお嬢ちゃんにと、日光羊羹（ようかん）を三棹（さお）と絵端書とを出した。【参考】正岡子規「明治卅三年十月十五日記事」：今日貰うたる日光羊羹（ようかん）ありという。食意地（くいいじ）のきたなさに、それ貰おうか、と答う。母は羊羹を持ち来りて小刀にて切る。二切を食う。母も食う。時計十二時を打つ。【参考】夏目漱石「虞美人草」：宗近老人は箸（はし）を上げて皿の中から剥（は）ぎ取った羊羹の一片（ひときれ）を手に受けて、独（ひと）りでむしゃむしゃ食う。【参考】豊島与志雄「新妻の手記」：原稿料で、母へ羊羹を一折買い、吉川のために上等の絹靴下を三足買った。
ようかん	洋館 [→ 家]	一戸（こ）、一軒、一棟（むね・とう）、一邸、一宇（う）、一構（かまえ）
ようかん	作品を見る【参考】岸田國士「虹色の幻想（シナリオ）」：海を見おろす丘の中腹に建てられた、大きな構への農家風の邸宅。母屋に続いて、甚だしく不釣合な洋館の一棟が見える。
ようき	容器	一瓶、一缶、一桶、一口（こう・く・くち）、一合（ごう）[蓋のあるもので]、一箪（たん）［円形の竹製で］、一貝（かい・ばい）［貝殻に入れた薬などの容器。主にハマグリの殻］、一曲（まげ）
ようき	※ 素材、形などによって様々です。
ようきゅうじゅう	洋弓銃 [→ クロスボー、→ ボウガン]	一台 ※「ボウガン」は登録商標
ようきょく	謡曲 [→ 謡]	一番、一曲、一節（せつ）、一段
ようきょく	作品を見る【参考】正岡子規「墨汁一滴」：植木屋二人来て病室の前に高き棚を作る。日おさへの役は糸瓜（へちま）殿夕顔殿に頼むつもり。碧梧桐（へきごとう）来て謡曲二番謡（うた）い去る。曰（いは）く清経（きよつね）曰く蟻通（ありどおし）。【参考】森鷗外「渋江抽斎」：少（わか）い頃謡曲を学んだこともある。偶（たまたま）弘前の人村井宗興（そうこう）と相逢うことがあると、抽斎は共に一曲を温習した。【参考】夢野久作「謡曲黒白談」：けれ共何とかして謡曲の御利益を納得させて、あわよくば一曲御所望を云わせてやろうと思う甲種熱心家が「でも高尚ではありませんか」と切り込むと、【参考】与謝野寛、与謝野晶子「巴里より」：博士も何か謡曲の一節（せつ）を謡（うた）われた。
ようきん	揚琴・洋琴・楊琴 [→ 楽器]	一台、一面
よーぐると	ヨーグルト	一瓶、一本、一パック、一匙、一口
ようこうろ	溶鉱炉・熔鉱炉・鎔鉱炉［溶炉・熔炉・鎔炉・高炉］	一基
ようじ	用事	一件、一つ
ようじ	楊枝・楊子 [→ 爪楊枝、→ 房楊枝、→ 黒文字]	一本
	【知識】「黒文字（くろもじ）」という木の枝で作られたことから、楊枝そのものが「黒文字」と呼ばれることがある。 [→ 黒文字]
	作品を見る【参考】芥川龍之介「枯野抄」：一椀の水と一本の羽根楊子とは、既にこの老僕が、用意して置いた所である。彼は二品をおづおづ主人の枕元へ押し並べると、思い出したように又、口を早めて、専念に称名（しょうみょう）を唱え始めた。【参考】三遊亭圓朝鈴木行三校訂・編纂「霧陰伊香保湯煙」：楊枝が四本あります、一本へ歯磨を附けまして歯の齦（もと）と表を磨き、一本の楊枝で下歯の表を磨き、又一本の楊枝で歯の裏を磨き、小さい楊枝が有りまして、これで歯の間々（あいだ／＼）を掃除いたします。【参考】海野十三「鍵から抜け出した女」：だが監禁室にはそんな棒切れは厳禁になっている。いや棒切れどころか、硬いものは釘（くぎ）一本小楊子（こようじ）一本でも許されないのだ。
ようしきべんき	洋式便器 [→ 和式便器、→ 便器]	一据（すえ）、一台、一基 [特に公衆用などで]
ようしきべんき	【知識】『一穴（けつ）』：便器の数を、その形状から「穴（けつ）」と数える場合があることが、業界のカタログなどで確認されています。ちなみに、大便用と小便用を兼ねる便器のことを『一穴』と言います。『一器（き）』：便器の数を「器（き）」と数える場合があることが、業界のカタログなどで確認されています。ただし、『うつわ』である『器（き）』を助数詞として使う物は現時点では他に見当たりません。また、『器（き）』を「ものを数える語」としている辞典類も現時点では見当たりません。情報をお持ちの方がいらっしゃいましたらご連絡ください。
ようしょくいかだ	養殖筏 [→ 筏]	一台、一基、一艘（そう）、一枚、一床（とこ・しょう）
ようしょくいけ	養殖池	一面、一つ
ようしょくだな	養殖棚	一基、一台
ようしょっき	洋食器 [→ 食器]	一個、一枚、一ピース、一客、一口（こう・く・くち）、一組、一揃（そろい）
ようしょっき	【知識】「一ピース」は、一人前の一組・一揃（一セット）の構成を数える際の点数を表す。「ディナー皿」「サラダ皿」「スープ皿」はそれぞれ1ピース、「カップ＆ソーサー」で2ピースの合計5ピースから構成される。【知識】「一客」は、主に接客や特別な機会のために用意したもので。【知識】「カップ」「皿」などの「一組・一揃」は、洋食器では六個（枚）、もしくは十二個（枚）。和食器では五個（枚）、もしくは十個（枚）で。
ようすい	用水 [→ 水路]	一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一流（ながれ）、一道（どう）
ようすい	作品を見る【参考】泉鏡花「ピストルの使い方 ――（前題――楊弓）」： ――その台所まで、もう水の音が聞えるんですって、じゃぶじゃぶと。……美術閣の門の、すぐ向うが高台の町の崖つづきで、その下をお城の用水が瀬を立てて流れます。片側の屋敷町で、川と一筋、どこまでも、古い土塀が続いて、土塀の切目は畠（はたけ）だったり、水田（みずた）だったり。
ようすいき	揚水機 [→ ポンプ]	一台、一基、一本
ようすいそうち	揚水装置 [→ 揚水機]	一台、一基、一本
ようせい	妖精	一人（り／たり・にん）、一匹・一疋
ようせん	用箋 [→ 便箋]	一枚、一葉（よう）、一片、一冊、一綴（つづり）
ようせん	作品を見る【参考】宮本百合子「道標」：封筒から出された手紙は、厚いたたみめをふくらませ、幾枚も重なった用箋の端をぱらっと開きながら、そこに横たわっている。【参考】坂口安吾「狼園」：夜になつた。妹が突然部屋へはいつてきた。手にびら／＼と一枚の用箋をひらめかしてきたが、それを私に読めと言つて差し出した。文面は次の通り。【参考】吉川英治「随筆私本太平記」：この一読者は中野区の某印刷所で鉛版工をしているという十八歳の少年だった。用箋二十数枚の読書感想の末に「ぼくの働いた金でぼくの気持です。どうぞ、どうぞ」と結んであった。
ようせんばさみ	用箋挟 [→ 伝票鋏]	一枚、一冊 [ノート状のもので]
ようそ	要素	一つ、一要素
ようそ	作品を見る【参考】寺田寅彦「歌の口調」：口調というものの最も主要な要素の一つは時間的のリズムであるが、和歌や俳句のようなものでは、これは形式上の約束から既にある範囲内に規定されている。【参考】平林初之輔「二つの文学論」：個々の芸術家を取って考える場合には、これら二つの要素（闘争者と芸術家）が彼らの天びんや、彼らが生活した歴史的環境の異なるに従って、種々様々な組み合わせをとるのであるから、【参考】森林太郎「鼎軒先生」：東洋学者に従えば、保守になり過ぎる、西洋学者に従えば、急激になる、現にある許多の学問上の葛藤や衝突は此二要素が争っているのである、
ようだこ	洋凧 [→ 凧、→ カイト、→ 大凧]	一枚、一連 [連凧]
ようちえん	幼稚園 [→ 保育所・保育園、→ 学校]	一園、一校
ようちゅう	幼虫	一匹・一疋
ようばん	洋盤［→邦盤］	⇒ レコード
ようふく	洋服 [→ 和服]	一着、一枚、一組、一揃
ようふく	作品を見る【参考】太宰治「服装に就いて」：私は学校をやめてから七、八年間、洋服というものを着た事がない。洋服をきらいなのではなく、いや、きらいどころか、さぞ便利で軽快なものだろうと、いつもあこがれてさえいるのであるが、私には一着も無いから着ないのである。洋服は、故郷の母も送って寄こさない。
ようれい	用例	一件、一例、一つ
ようろ	溶炉・熔炉・鎔炉［溶鉱炉・熔鉱炉・鎔鉱炉］	一基
よーよー	ヨーヨー	一個
よーよー	【知識】「ヨーヨー」は元登録商標。
よぎ	夜着	一枚、一組、一領（りょう）
	※ 第一版で「やぎ」と表記していましたが、「よぎ」の誤りでしたので修正しました。
	作品を見る【参考】夏目漱石「琴のそら音」：寒いとは云え四月と云う時節に、厚夜着（あつよぎ）を二枚も重ねて掛けているから、【参考】佐々木味津三「右門捕物帖へび使い小町」：こればかりは比丘尼にふつりあいななまめかしい夜着が一組み、
よきょう	余興	一席、一つ
よきょう	作品を見る【参考】森鷗外「余興」：なに、そんなに遅くもなるまいよ。余興も一席だから。【参考】横光利一「旅愁」：日ごろの音無しい三島を知っているものらは転げるように笑い出すと、また誰彼かまわず肩を叩き廻って靴を脱がそうとしたが、やがてそれも余興の一つとなると踊りは一層甲板で賑った。
よきんこうざ	預金口座	一口（くち）
よきんつうちょう	預金通帳	一通、一冊
よきんつうちょう	作品を見る【参考】海野十三「英本土上陸作戦の前夜」：タキシード一着、中国服一着、預金帳二冊、ハンカチーフにパン――これだけが仏天青氏の素姓（すじょう）を語る材料
よくそう	浴槽 [→ 風呂桶、→ バスタブ、→ 湯船]	一据（すえ）、一桶（おけ・とう）、一槽、一基
よこあな	横穴 [→ 縦穴]	一洞、一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）、一穴（けつ）、一基 [古墳で]
よこあな	作品を見る【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：富士胎内神秘境へ、一筋通っている横穴の口で、楕円を為（な）した銅の扉が、数人の門番に守られていた。【参考】国枝史郎「神州纐纈城」：ところで今日も存在する入り口に近い一条の横穴――富士講中の籠舎（こもりや）の附近に、その頃女の面作師が一人窃（ひそ）かに籠っていた。
よここう	横坑 [→ 縦坑]	一本
よこぶえ	横笛 [→ 笛、→ 楽器]	一管、一挺［一丁］（ちょう）、一枝（し）、一本
よこぶえ	作品を見る【参考】泉鏡花「薄紅梅」：この人が、塩瀬の服紗（ふくさ）に包んだ一管の横笛を袴腰に帯びていた。

よさんあん

予算案

一件、一本

よしず

葦簀・葭簀

一枚

作品を見る

【参考】正岡子規「九月十四日の朝」：窓の前に一間半の高さにかけた竹の棚には葭簀（よしず）が三枚ばかり載せてあって、

よしぶえ・あしぶえ

葦笛 [→ 楽器]

一茎、一管、一挺［一丁］（ちょう）、一本

作品を見る

【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九四〇年(昭和十五年)」：覚えていらっしゃるかしら、若草に顔を近く、一茎の葦笛をふくうたです。

よせ

寄席

一席、一軒

作品を見る

【参考】夏目漱石「硝子戸の中」：この豆腐屋の隣に寄席（よせ）が一軒あったのを、私は夢幻（ゆめうつつ）のようにまだ覚えている。
【参考】正岡容「初看板」：さらにいけないことには燕花となってすぐ阿部川町（あべかわちょう）の寄席と吉原の中鈴木（なかすずき）という寄席と二軒掛け持ちがついたのですが、この阿部川の楽屋には燕作という前座がいてお客さまのお集まりの前に一番太鼓を入れる。

よだれ

涎

一本、一筋（すじ）、一条（すじ・じょう）

作品を見る

【参考】夏目漱石「吾輩は猫である」：独仙君の山羊髯（やぎひげ）を伝わって垂涎（よだれ）が一筋長々と流れて、蝸牛（かたつむり）の這った迹（あと）のように歴然と光っている。

よだれかけ

涎掛け [→ 涎衣（ぜんい）]

一枚

《参考》涎衣が登場する作品

【参考】森鴎外「伊沢蘭軒」：榛軒は自ら白布を截つて涎衣（よだれかけ）を製し、轎（かご）に上（のぼ）る毎にこれを腮下（さいか）に懸けた。一日（あるひ）侯は急に榛軒を召した。榛軒は涎衣（ぜんい）を脱することを忘れて侯の前に進み出た。上下（しやうか）皆笑つた。榛軒纔（わづか）に悟つて徐（しづか）に涎衣を解いて懐にし、恬（てん）たる面目があつた。是が二つである。

よつでかご

四つ手駕籠 [→ 駕籠、→ 辻駕籠、→ 町駕籠、→ 宿駕籠、→ 山駕籠]

一挺［一丁］（ちょう）、一台、一具（ぐ）

【知識】四つ手駕籠は、江戸時代に町の辻などで客を待って乗せる駕籠として使われ、町駕籠、辻駕籠、宿駕籠とも呼ばれる駕籠。4本の柱を竹で組み、竹で編んだ台をしつらえた簡素なもの。

作品を見る

【参考】三遊亭圓朝　鈴木行三校訂「粟田口霑笛竹」：番頭は何か独り言を云いながら彼方（あちら）へパタリ此方（こちら）へパタリ遣って参ると、五六間先に一挺の四ツ手駕籠が下りている様子、只今では人力ですが、其の頃は駕籠に乗って歩いたもので、正月のことゆえ、ちょっと輪飾（わかざり）が後（うしろ）に附いて居ります。
【参考】林不忘「早耳三次捕物聞書　霙橋辻斬夜話」：音も月も凍（い）てついた深夜の衢（まち）、湯島切通しの坂を掛声もなく上って行く四手駕籠一梃、見えがくれに後を慕って黒い影が尾（つ）けていた。

よっと

ヨット [→ 船]

一艇（てい）、一艘（そう）、一杯・盃（はい）、一隻（せき）

作品を見る

【参考】夏目漱石「満韓ところどころ」：ヨット倶楽部の下に（ただし一艘（そう））と括弧（かっこ）で註がついているのは、新設だからまだ一艘しかないという意味なんだろう。
【参考】堀辰雄「晩夏」：絵はがきによくあるヨットは一隻も出ていなかった。私達を載せたモオタア船だけが湖上にあって、

よぼうせっしゅ

予防接種 [→ 注射]

一本、一回

よぼうちゅうしゃ

予防注射 [→ 注射]

一本、一回

作品を見る

【参考】小酒井不木「死の接吻」：疫病は破竹の勢で東京の各所に拡がった。毒性が極めて強かったためであろう、一回や二回の予防注射は何の効も奏せず、人々は極度に恐怖した。
【参考】宮本百合子「獄中への手紙一九四三年(昭和十八年)」：きのうチブスの予防注射いたしました。私は三回に分けてして貰います。三年ほど前そうして熱を出さずにすみましたから。

よみうり

讀賣・読売

⇒ 瓦版

よみふだ

読み札・読札 [→ 取り札、→ カルタ]

一枚

※歌がるたの読む方の札

よやく

予約

一件、一人（り／たり・にん）、一名

よる

夜

一夜（や・よ）、一晩

作品を見る

【参考】森鷗外「護持院原の敵討」：寺に一夜（ひとよ）寝て、二十九日の朝三人は旅に立った。
【参考】太宰治「困惑の弁」：逢ってくれないならば、にぎりめし持参で門の外に頑張り、一夜でも二夜でも、ねばるがよい。
【参考】国木田独歩「恋を恋する人」：どうせ二晩三晩は宿泊（とまる）のですから急がないでも可（い）いのです。

夜

初更（しょこう）/甲夜（こうや）
二更（にこう）/乙夜（いつや）
三更（さんこう）/丙夜（へいや）
四更（しこう）/丁夜（ていや）
五更（ごこう）/戊夜（ぼや）

【知識】一夜を五等分して表したことがある。現在の午後七時ごろから翌朝の五時ごろまでを五等分し、五更・五夜とした。

【知識】《五更・五夜などと、現在の時刻》

《五更・五夜などと、現在の時刻》
五更・五夜	現在の時刻と辰刻
初更（しょこう）一更甲夜（こうや）	およそ午後7時または8時からの2時間。戌(いぬ)の刻。
二更（にこう）乙夜（いつや）	およそ午後9時または午後10時からの2時間。亥(い)の刻。
三更（さんこう）丙夜（へいや）	およそ午後11時または午前零時からの2時間。子(ね)の刻。
四更（しこう）丁夜（ていや）	およそ午前1時または2時からの2時間。丑(うし)の刻。
五更（ごこう）戊夜（ぼや）	およそ午前3時から午前5時、または午前4時から午前6時ごろ。寅(とら)の刻。

作品を見る

【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　剪燈新話」：そこらを無暗に迷いあるいているうちに、夜はだんだんに暗くなって、やがて初更（しょこう）（午後七時―九時）に近い頃になったらしいのです。
【参考】芥川龍之介「藪の中」：時刻でございますか？　時刻は昨夜（さくや）の初更（しょこう）頃でございます。いつぞやわたしが捉（とら）え損じた時にも、やはりこの紺（こん）の水干（すいかん）に、打出（うちだ）しの太刀（たち）を佩（は）いて居りました。
【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　異聞総録・其他」：獄卒は又その通りにすると、果たして種々の高価の品を見つけ出した。彼はいよいよ喜んで獄内へ酒を贈った。すると、ある夜の二更（にこう）（午後九時―十一時）に達する頃、賊は又もや獄卒にささやいた。
【参考】菊池寛「仇討三態」：二更を過ぎた頃になっても、酒宴の興は少しも衰えなかった。若い草履取や馬丁は、この時だというように、女中に酌をしてもらいながら、ぐいぐいと飲み干した。
【参考】岡本綺堂「世界怪談名作集　牡丹燈記　瞿宗吉」：男やもめの心さびしく、この元霄の夜にも燈籠（とうろう）見物に出る気もなく、わが家の門（かど）にたたずんで、むなしく往来の人びとを見送っているばかりであった。十五日の夜も三更（さんこう）（真夜中の十二時から二時間）を過ぎて、人影もようやく稀（まれ）になったころ、髪を両輪に結んだ召使ふうの小女（こおんな）が双頭の牡丹燈（ぼたんとう）をかかげてさきに立ち、ひとりの女を案内して来た。
【参考】芥川龍之介「報恩記」：所が三更（さんこう）も過ぎた時分、突然茶室の外（そと）の庭に、何か人の組み合うらしい物音が聞えるではございませんか？
【参考】中島敦「名人伝」：様々な噂（うわさ）が人々の口から口へと伝わる。毎夜三更（さんこう）を過ぎる頃（ころ）、紀昌の家の屋上（おくじょう）で何者の立てるとも知れぬ弓弦の音がする。
【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　異聞総録・其他」：ある夜の二更（にこう）（午後九時―十一時）に達する頃、賊は又もや獄卒にささやいた。「わたしは表へちょっと出たいのですが……。四更（午前一時―三時）までには必ず帰ります」
【参考】林不忘「丹下左膳　乾雲坤竜の巻」：「四更（しこう）、傾月（けいげつ）に影を踏んで帰る。風流なようだが、露にぬれた。もうそんな話あ聞きたくもねえや。だがな鈴源、俺が貴様ん所に厄介になってから、これで何月になるかなあ？」
【参考】岡本綺堂「中国怪奇小説集　白猿伝・其他」：その夜は暗い風が吹いた。五更（ごこう）（午前三時―五時）に至るまで寂然（せきぜん）として物音もきこえないので、守る者も油断して仮寝（うたたね）をしていると、たちまち何物かはいって来たらしいので驚いて眼をさますと、将軍の妻はすでに行くえ不明であった。
【参考】国枝史郎「鵞湖仙人」
こうして深夜五更となった。
すべて忍術家というものは、五更と三更とを選ぶものである。
鵞湖仙人の大館は森閑として静まっていた。

よろい

鎧 [→ 甲冑、→ 着背長、→ 具足]

一領（りょう・くだり）、一具（ぐ・よろい）、一帖、一組、一着、一縮（しゅく）

【知識】「一縮」は武具の一揃い。転じて武具を身につけた武者も。［下記作品参照］

※ 文化財では一領という表現が見られる。

『色々威二枚胴具足（七騎の鎧）』
（桃山時代）

〔東京国立博物館蔵〕

作品を見る

【参考】国枝史郎「赤坂城の謀略」：白覆輪（しろふくりん）の太刀、それに鎧一領を副（そ）え、徒者数人に曳き持たせ、正成は天王寺へ参詣し、
【参考】菊池寛「長篠合戦」：無楯とは同じく源家重代の鎧（よろい）八領のうちの一つ、共に武田家の重宝であって、
【参考】吉川英治「私本太平記　みなかみ帖」：上物の鎧（よろい）だけでも三、四十領（りょう）、ほか具足やら腹巻やら、数（かず）と来たら、ちょっと、眩（めまい）がしそうな程のお誂（あつら）えだ。
【参考】岡本綺堂「箕輪の心中」：外記はいよ／＼勃然（むつ）として、床にかざりし鎧櫃より一領の卯花縅（うのはなをどし）の鎧を取り出して來る。
【参考】岡本綺堂「青蛙堂鬼談」：将軍から部下の者一同に鎧一着ずつを分配してくれることになった。
【参考】「太平記　巻二十六」：旁（かたがた）は頓（やが）て打立（うつたつ）て、船上（ふなのうへ）へ御参（ごさん）候べし。」と云捨（いひすて）て、鎧一縮（いつしゆく）して走り出（いで）ければ、一族（いちぞく）五人腹巻（はらまき）取（とつ）て投懸々々（なげかけなげかけ）、皆高紐（たかひぼ）しめて、共に御迎（むかひ）にぞ参じける。
五番の頭人は、只今（ただいま）為立（したて）たる鎧（よろひ）一縮（いつしゆく）に、鮫（さめ）懸（かけ）たる白太刀、柄鞘（つかさや）皆金にて打くゝみたる刀に、虎の皮の火打袋（ひうちぶくろ）をさげ、一様（いちやう）に是（これ）を引く。
【参考】泉鏡太郎「唐模樣」：見（み）よ、頭（かしら）なき其（そ）の骸（むくろ）、金鎧（きんがい）一縮（いつしゆく）して戟（ほこ）を横（よこた）へ、片手（かたて）を擧（あ）げつゝ馬（うま）に跨（またが）り、砂煙（すなけむり）を拂（はら）つてトツ／＼と陣（ぢん）に還（かへ）る。

よろいかぶと

鎧兜

一領（りょう・くだり）、一具（ぐ）、一帖、一組、一着、一縮（しゅく）

※ 文化財では一領という表現が見られる。

よろいど

鎧戸 [→ シャッター]

一枚、一台、一基、一式

よろいどおし

鎧通し [→ 短刀]

一本、一口（ふり・くち・こう・く）、一振（ふり）、一匕（ひ）、一刀、一剣、一柄（へい・え・から・つか）

作品を見る

【参考】小栗虫太郎「黒死館殺人事件」：「鎧通（よろいどお）しは、やはりあの一本だけでした。それから、本庁の乙骨（おとぼね）医師には、御申し付けどおりに渡しておきましたが」と復命すると、それに法水は、尖塔にある十二宮の円華窓（えんげまど）を撮影するように命じてから、その私服を去らしめた。

よんりんくどうしゃ

四輪駆動車 [→ ジープ、→ 車]

一台、一輛・一両

※「ジープ Jeep」は登録商標

● や | ゆ | よ ●

● 目次 | あ | か | さ | た | な | は | ま | や | ら | わ ●

ものの数え方・助数詞
= よ =

= よ =

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