『浮世絵・錦絵』などを見る
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江戸町火消
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- 江戸時代の町火消が用いた
纏 の意匠と名称をまとめるべく取り組みました。 - ところが、纏の名称、つまり何を象ったものなのか、何を基にデザインしたものなのかは、当サイトが現時点で蒐集できている江戸時代から明治初期の錦絵や書物では全く確認できていません。(これは、姉妹ページの 半纏の図柄とその名称 でも同様です)
- また、現時点で纏関連の解説では最大ともいえる「江戸三火消図鑑」(復刻版:1988年〈昭和63年〉刊(原本:1941年〈昭和16年〉刊))でも、その解説を書いた風俗史家の谷峯藏氏は、『纏の形象図の本は幕末までに何冊も刊行され〈略〉ながら、その名称・由来をとどめた記録は一切ない』としています。その上で谷氏は、先人の藤口透吾編「江戸火消年代記」(昭和37年〈1962年〉刊)の解説を引きながら独自の名称を解説しています。また、『この辺で、由緒や拠りどころ、形象を見直し、文法的にも混乱のないよう検討してはどうだろう』とも記し、「江戸三火消図鑑(復刻版)」の本編であり、約120ページに及ぶ「町火消伴纏合印」の中の各組の纏や半纏の図絵の解説では、谷氏が検討した名称が記載されています。
- ここでは、その谷氏の言葉を基に、「江戸三火消図鑑」での谷氏の解説を引用する形で纏の名称を掲載するものです。藤口氏の蒐集の方法、考え方、及び谷氏の詳しい解説などは「江戸火消年代記」「江戸三火消図鑑」で確認されることをお勧めします。
- なお、時代を遡った資料では纏の図柄に若干の違いが見られ、このことについては こちらのページ に記しました。
- このページのでの纏の画像は、国立国会図書館所蔵の「歌川芳虎・江戸の花子供遊び」(安政5年〈1858年〉〜万延元年〈1860年〉)、「
伊呂波組纏鑑 」(慶応2年〈1866年〉)から引用しました。 - 「江戸の花子供遊び」は纏の部分を切り出しています。クリックすると全図を見ることができます。
- 「伊呂波組纏鑑」は、原画での見開き表示を上下一枚表示に加工しています。
田の字
“田”の字については、持場神田に因むという説と、一番組頭・藤田六郎兵衛の田との説がある。
違い重ね源氏車四方
雷鳥帽子に持合い太二つ輪四方
籠目逆さ瓢箪に芥子の花
笠着せ駒
分銅もの字
籠鼓胴
籠目駒にすの字
石目枠枡四方
この纏は塗りではなく白漆たたき、故に石目のような肌合いから。
違い重ね枠分銅に釘抜き
芥子に蛇の目
雪花にさの字
矢羽根
芥子に持合い細三つ輪
芥子に糸枠
本の字
四の字と駒
四谷に因み、篆書の“四”の字。
重ね太枠鱗に駒
団子に六方七輪
駒に鍬形
芥子に三つ巴と駒
丸エの字に駒
平隅切角につなぎ駒
八つ柄杓水車
芥子に重ね違いつなぎ蛇の目
芥子に閻魔 の釘抜きと駒
雷太鼓に駒
釘抜き
蛇の目に打ち出の小槌四方
籠唐人笠に駒
隅立角に本の字
本郷一丁目から六丁目の持場から“本の字”。
厚輪に大の字
鉢巻き臼に駒
毘沙門剣
持合い寸の字に駒
持場の巣鴨に因み、“す”の本字“寸”の背合わせ。
*古く、寸の字を上に配したものが見られる。
重ね違い蛇の目
蛇の目に一の字
蛇の目
天狗の羽団扇
十字分銅にるの字
十番組に因み、“十字分銅”。
芥子に隅切り角にをの字
厚輪に三つ鱗
二つ算木に南の字
大の字
[未詳]
籠目芥子に蛇の目
籠目壺
重ね井筒
蛇の目に籠目芥子
三つ鱗に軍配団扇
[未詳]福包か
おひねりに丸籠
「雲版」は寺で合図などために打ち鳴らす、青銅または鉄で作った雲形のもの。
「雲版・提盤」の家紋
違い鍵に駒