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= 江戸町火消しの半纏に染め抜かれた文字 = |
江戸文字 と呼ばれる字体がある。江戸時代末期から、歌舞伎や寄席、相撲などで用いられた独特の字体の総称で、それぞれ「芝居文字 (通称、勘亭流 )」「寄席文字 (通称、橘流 )」「相撲字 (通称、根岸流 )」などと呼ばれる。また、半纏や提灯、千社札などに使われる「籠字 」と呼ばれる字体もある。- 籠字は、文字の輪郭を取ってその中を塗り込む書法の文字で、ここでは、その派生文字とされる、江戸町火消しの半纏などに使われた
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加護字 」と呼ばれる字体を五十音の一覧として見てみる。 - 加護字とは、『 地の中の文字の周りを余白が囲んで守る形(
覆輪 )で、この余白が火除けにつながるとの縁起を担いで火伏せの神の加護を願い、「籠」ではなく「加護」の字があてられるようになったもの 』とされる。(参考:橘 右橘著「図説 江戸文字入門」 ほか) - なお、加護字で使われる「 お → 」と「 た → 」の字がよく似ている。これは、「お」の字に変体仮名と呼ばれる字体の「 (於)」が使われているためで、また、「え」は「 (江)」が、「か」は「加」が使われている。変体仮名一覧
*このページの江戸町火消しの半纏の画像は、ベルリン州立図書館蔵「江都土産纒雛形」、東京都立図書館蔵「町火消纒装束の図」からの引用で、原画から当該部分を切り取ったいわゆる「部分」です。
*「ひ」は、江戸町火消しのいろは四十八組では使われていない。いろは四十八組では「万」が使われた。
ひ
*「へ」は、江戸町火消しのいろは四十八組では使われていない。いろは四十八組では「百」が使われた。
へ
*「ら」は、江戸町火消しのいろは四十八組では使われていない。いろは四十八組では「千」が使われた。
ら
*「ん」は、江戸町火消しのいろは四十八組では使われていない。いろは四十八組では「本」が使われた。
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