かくもまかり通る「著作権侵害」という犯罪
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このページでの著作権法は、平成19年・2007年時点のものです。今後、改訂があった場合は、総務省の「e-Gov法令検索 」などでご確認ください。
■ ネット上で次のような経験をしたことはありませんか?
- 「このサイトとこのサイト似ていませんか?」「内容がほとんど同じじゃないですか?」
- 「どちらかはコピーですか?」「どちらを信用すればいいのですか?」
- 「この画像、同じじゃないですか?」
現にこのようなことがネット上では起きています。
■ この「みんなの知識 ちょっと便利帳」のコンテンツも例外ではありません。
- 「みんなの知識 ちょっと便利帳」のコンテンツは、オリジナルの編集を行っている「編集著作物」です。しかし、これをほぼそのままコピーし、さも自分で作ったコンテンツであるかのように掲載しているサイトが見受けられます。
- 「著作権法」には “引用” という考え方がありますが、“引用” の範囲を超えて丸々コピーし、ぺたっと貼り付けて自分のサイトとして平気でいる方もいらっしゃるようです。
- そもそも “引用” には、法律と判例により厳密な考え方があって、他人の著作物を簡単に使うことはできないのですが、そんなことにもお構いなしのようです。
著作物の引用・利用と著作権法など
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著作物の引用については、著作権法などで厳密な条件が付けられています。
- ① 著作物を引用する必然性があること。
- ② 質的にも量的にも、自分の著作物が「主」で、引用部分が「従」という主従の関係の条件を満たしていること。
- ③ 引用部分をカギ括弧でくくるなど、自分の文章と引用部分をはっきりと区別すること。
- ④ 出所の明示を行うこと。
【著作権法】
(引用) 第三十二条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
(時事の事件の報道のための利用) 第四十一条
写真、映画、放送その他の方法によつて時事の事件を報道する場合には、当該事件を構成し、又は当該事件の過程において見られ、若しくは聞かれる著作物は、報道の目的上正当な範囲内において、複製し、及び当該事件の報道に伴つて利用することができる。
(出所の明示)第四十八条
(略)著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。
この法律や、これまでの判例などから、著作物を引用するには次のことを満たす必要があるとされます。
・ 自分の研究などにおいて、その引用物について論評を加えるなど、その引用が本当に必要か、それがないと自分の言いたいことが成り立たないか。・ 自分の著作物が、引用部分より少ないといったことはないか。・ 引用した著作物かがはっきりと分かるようになっているか。・ 引用した著作物の著者や題名がはっきりと分かるようになっているか。
(これらのことは、条件を満たしてさえいれば、著作権者の許可を得ることなく他人の著作物を自分の研究などに利用することが出来るということにもなります) - 「みんなの知識 ちょっと便利帳」は『編集著作物』です。
- 掲載データの、著作権法上の “引用” の範囲を超えての転載・転用は固くお断り致します。
■ オープン半年後には、コピーサイトが複数
- 「みんなの知識 ちょっと便利帳」は2002年10月1日にオープンしましたが、半年も経たないうちにその中のコンテンツのいくつかがコピーされ、別のサイトのコンテンツとして掲載されているのが複数見つかりました。
- 直接連絡がつくサイトには削除のお願いをし、連絡がつかないサイトにはサーバー管理会社やプロバイダーに対して、各社の利用規程に照らしての「著作権侵害」の有無の確認を依頼し、確認された場合には削除の手配をしていただくようお願いをしました。
- 個人のサイトであれば問題がないというものではありませんので、個人、法人にかかわらず同様のお願いをしました。
- その結果、削除に応じてくださったサイトがいくつかありました。その中には、著作権の重要性を訴えるページを持つWebサイト制作会社もありました。
- メールアドレスがないサイトで、「お話がしたいのでご連絡を」と掲示板に書き込んだところ、すぐに当該ページが削除され、掲示板のメッセージも削除されるということもありました。先方からの連絡はありませんでしたが、「ご連絡を」と書き込んだだけで趣旨をすぐに理解したということは罪の意識を持っていたということでしょうか。
- サーバー管理会社やプロバイダーが「著作権侵害」を確認し、削除してくださったサイトもありました。
- しかし、連絡を無視したサイトもありました。その中には、コピーしたコンテンツに関することについて、専門に扱っている企業もあります。
■ 近年は、画像の無断使用が…
- 当サイトに「春の七草 」というページがありますが、この「春の七草」の画像の無断使用が近年増えています。
- 「春の七草」の季節になると、ブログのテーマとする方が多く見られ、その中に、『これが七草です』などとして画像を無断で使用しているケースが見かけられるのです。また、Twitter や、Facebook などの SNS にアップロードするケースも多く見受けられます。
- 無断使用の形としては次のようなものがあげられます。
- 画像をダウンロードし、自身のサーバーやブログサーバーへアップロードしたもの。
- パソコンの画面をキャプチャーし、それを切り取りアップロードしたもの。
- 当サイトの画像へ直接リンクを張るもの。(これは、当サイトサーバーへの大きな負荷となっています)
- 画像をダウンロードし、さらにそれを改変したもの。(これは、下記のようなケースで、二重の意味で悪質と言わざるを得ません)
- 上記、右側の画像について、当該サイトが利用するサーバー管理会社へ申し出を行い、該当する 2ページと、画像 1枚がサーバーから削除されました。
- 当該サイトは、画像を無断でサーバーにアップするネット上で最も多い「送信可能化権の侵害」に加えて、画像を改変するという「同一性保持権の侵害」の恐れもある非常に悪質なものでした。
- 画像を無断使用をしているサイトがなぜ分かるのかは、画像検索の技術が進んだためですが、逆に、画像検索が無断使用のきっかけになっているとも言えます。
- 当サイトの「春の七草」の画像は全てオリジナルで、当サイトで採集したものや、商品として販売されている「七草」をデパートやスーパーマーケット、通信販売などで複数購入し、撮影に適するものを選んでいます。また、掲載に耐えられると思える写真が撮れるまで、数年掛かりだったりもします。
- 出版社から借用の依頼が来ることはありますが、ウェブサイトを運営する方からの借用依頼が来たことは1件もありません。つまり、ネット上にある当サイトが作成した画像を使っているサイトは、現時点では全て無断使用ということになります。依頼を正式にお受けした場合は決められた許諾の表示を付けていただくことになりますが、現時点はそのようなケースは1件もありません。
- 前項にも書きましたが、「引用」については厳しく制限されており、『○○から借用』『○○からお借りしました』『○○から引用』『出典○○』などのキャプションを付けても、それだけでは「引用」の要件を満たしたことにはなりません。画像を権利者の許可なく紙面やウェブサイトに掲載することが出来るのは、論文などで本当に「引用」が必要な場合や、その画像そのものが事件の対象になっている場合のみであることは言うまでもありません。
「ちょっと便利帳」のオリジナル画像 *拡大して比較することができます。
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加工したのではないかと思われる画像
(著作権表示も消されています) |
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【報告 2018/07/26 】
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「ちょっと便利帳」の画像を使用していると思われるサイトの例 |
*この中の多くは、ブログツール管理会社やサーバー管理会社が「送信可能化権の侵害」を認め、すでに削除されています。 |
■ 何故、かくも簡単に「著作権侵害」がまかり通るのか
- では、何故、ネット上で「著作権侵害」がまかり通るのでしょうか。
- 答えは簡単です。
- Webサイトは電子データであるからです。
- これが、紙媒体の出版物であれば、それをキャプチャーしてそのまま自分のページに載せるのには少なからず罪の意識が働くのでしょう。
- しかし、簡単にコピーができ、いとも簡単に自分のページとして複製できる電子データの場合は、罪悪感というものが働かないのかも知れません。
■ 著作権を侵害していると考えられるサイトに見解を求める取り組み
- 現在、「みんなの知識 ちょっと便利帳」の著作権を侵害している恐れがあるのではないかと私たちが考えるサイトに対して、その見解を求める取り組みをしています。
- 一方的に削除を要求するのではなく、「みんなの知識 ちょっと便利帳」に非常に似通っていることに関する見解をまず伺おうと思います。
- ただし、「みんなの知識 ちょっと便利帳」に似通っているということだけで見解を求める訳ではありません。
- 私たちは、「似通っている」ことについて見解を伺う根拠を持っています。
- それは、似たようなデータが様々な文献などにあっても、「みんなの知識 ちょっと便利帳」にしか載っていない文言が含まれているからです。
- それは、「みんなの知識 ちょっと便利帳」が独自にまとめた「研究成果物」であり、配列なども独自に考えた「編集著作物」であるからです。
- またそれらは、「みんなの知識 ちょっと便利帳」が、関連する業界や企業などに独自に取材・調査をしたりして文言を練った上で載せているものであるからです。
- その調査の過程が手元に残っているものであるからです。オリジナルであることを主張できるものであるからです。
- 単なるデータには著作権はありません。しかし、それらに独自の見解を加えたり、独自の構成や編集をしたりした物には著作権が発生すると考えられます。このようなことについても見解を求めたいと考えています。
■ 著作権に対して最も敏感でなければならない業種の企業も
- 見解を求めるサイトの中には、前述したように、個人ではなく企業のサイトもあります。
- 著作権に対して最も敏感でなければならないと思われる業種の企業もあります。
- 簡単にコピーができるWebの世界であっても、他人の物を、さも自分が作ったかのような使い方をするのはフェアーではありません。
- ましてや、「著作権に対して最も敏感でなければならないと思われる業種」と書いた企業などにおいては何をか況やです。
- ただし、現時点でそれらの企業名などを公表することは控えたいと思います。それは、後述するように、 "訴える" ことが本旨ではないからです。
■ 著作権の侵害は「犯罪行為」、そして、 その罰則は
- 著作権の侵害は「犯罪行為」です。
- 従って、著作権が侵害された場合の対抗措置が法律で定められています。
- 刑事的な対抗措置としては、権利者が告訴を行うことができ、懲役や罰金の罰則規定が設けられています。
- 民事的な対抗措置としては、故意又は過失によって他人の権利を侵害した者に対し、損害賠償請求、差止請求などを行うことができます。
- 以下に、「著作権侵害の刑事罰」などについて記します。(下記の罰則規定は、平成19年・2007年時点のものです。今後、改訂があった場合は、総務省の「法令データ提供システム」などでご確認ください)
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・平成19年7月1日改正・施行時の著作権法「第八章 罰則」(要約)
- 著作権を侵害した者
「10年以下の懲役」または、
「1,000万円以下の罰金」(懲役と罰金の併科も可)[著作権法第119条] - 企業などの法人等による侵害の場合
行為者を罰するほか、その法人に対して「3億円以下の罰金」[著作権法第124条]
『著作権法(外部リンク) 』
「e-Gov法令検索」総務省行政管理局
《知識》
現行法が制定された昭和45年・1970年には、個人に対する罰則は「3年以下の懲役又は30万円以下の罰金」でした。
これが、平成19年・2007年の法改正では、「10年以下の懲役又は1,000万円以下の罰金(懲役と罰金の併科も可)」に引き上げられました。法人に対する罰金は、平成12年・2000年に「300万円以下」から「1億円以下」に一気に引き上げられ、その後、平成17年・2005年に「1億5千万円以下」、 平成19年・2007年には「3億円以下」に引き上げられています。 - 著作権を侵害した者
- ご存じのように、現時点(2018.08.01)では著作権侵害は親告罪(一部の要件を除く)ですから、公訴を提起するには権利者が告訴をする必要があります。
- しかし、権利を侵害された本人が “告訴” をするという作業の労力は並大抵のものではないと思われます。
- また、救済手段として認められている差止請求権(著作権法第112条)の行使も、かなり大きな損害を被った場合などでなければ現実的には難しい作業であると思われます。
- しかし、であるからといって、「犯罪行為」である著作権侵害が野放しになっていて良いはずはありません。
2018年〈平成30年〉12月30日施行の法改正により、著作権侵害は親告罪でなくなり、被害者から処罰を求める意思表示(告訴)がなくても処罰の対象とされるようになった。
■ コピーに怒りを覚えているからではありません
- ここで、今回の取り組みをご理解頂くために、その理由のいくつかを記します。
- 今回このような取り組みを始めたのは、「コピーをして使われている」ことに対して単に怒りを覚えているからではありません。
- また、著作権法を大上段に振りかざしているわけでもありません。
- では、その理由はと言いますと…
- 「みんなの知識 ちょっと便利帳」は、紙媒体のように固定されてしまった媒体ではない利点を生かし、日々新しい情報を載せる努力をしています。
- 間違いや不具合があればそれを修正する作業を日々行っています。
- 紙媒体では、一旦世に送り出してしまうと、たとえ間違いが見つかってもそれを知らせることは容易ではありません。
- 現に、2004年に出版されたある著作物の著者が、その後の著作物で、前著での調査の不備を認めるといったことがありましたが、ネット上には2004年版の内容が数多く引用され残っています。
- こうしたことを避けるためにも、「みんなの知識 ちょっと便利帳」の内容を自分のサイトに載せてでも多くの人に役に立てて欲しいと思った方は、「みんなの知識 ちょっと便利帳」の内容をそのままコピーするのではなく、リンクをして最新の情報を多くの方に知らせて頂きたいのです。
- コピーをしてそのままにしておく状態を続け、間違いの修正や新しい情報の更新のためのメンテナンスに責任を持っていただけないのであれば、データを “使われた” 側としても不本意です。ぜひ、そのような状態だけは避けて頂きたいのです。
■ 皆様からのご指摘や情報の提供で成長
- 「みんなの知識 ちょっと便利帳」も完璧ではありません。日々、ご利用の皆様からのご指摘や情報の提供で成長しています。
- 今回の取り組みも、「みんなの知識 ちょっと便利帳」の長年の利用者からの、『ちょっと便利帳のデータをコピーしたようなサイトがある』というご指摘がきっかけでした。長年のご利用があったからこそお分かりになったのでしょう。
- 「みんなの知識 ちょっと便利帳」が作った、 “どこにもない表現の文言” で検索すると、それらはいとも簡単に見つかりました。色を変えてあったり、配列を変えてあったりとなかなか “巧妙” なサイトもありますが、配色もそのままコピーしてあるサイトも見つかりました。
- こうしたサイトに対して見解を求める取り組みを始めた訳ですが、連絡先を明記していないサイトもあります。そうした場合はサーバー管理会社やプロバイダーを探すことになり、手間も時間もかかります。ぜひ、そのようなサイトにおかれましては、このページをご覧いただき、自主的な改善をされるよう期待をしております。
■ このページを削除できる日が、一日も早く来ることを願って
- このページをネット上から削除できるのはいつになるでしょうか。それは、状況が改善された日なのですが、その日が一日も早く訪れることを祈って作業を進めてまいります。
- ここに、改めて皆様のご協力に感謝申し上げつつ、違法なコピーなどがなくなる日が来るよう心から願うものです。
■ 「みんなの知識 ちょっと便利帳」のご利用について
2011.08.01 みんなの知識委員会
2018.08.01 みんなの知識委員会
2018.12.30 みんなの知識委員会