作 家
|
作 品
|
森鷗外 |
【堺事件】 次は細川藩の留守居馬場彦右衛門、同藩の隊長山川亀太郎、浅野藩の重役渡辺競(きそう)の三人である。陣笠小袴(こばかま)で馬に跨(またが)り、持鑓(もちやり)を竪(た)てさせている。次に兵卒数人が行く。次に大砲二門を挽(ひ)かせて行く。次が二十挺の駕籠である。駕籠一挺毎に、装剣の銃を持った六人の兵が附く。二十挺の前後は、同じく装剣の銃を持った兵が百二十人で囲んでいる。後押(あとおさえ)は銃を負った騎兵二騎である。次に両藩の高張提灯(たかはりぢょうちん)各十挺が行く。次に両藩士卒百数十人が行く。 |
正岡子規 |
【寒山落木 卷一】 |
佐々木味津三 |
【右門捕物帖 毒を抱(いだ)く女】 「何よりたしか、よろしゅうござる。いかにも力お貸し申そうが、手配のてはずは?」 「今よりただちに早馬飛ばさば、じゅうぶんにまだまにあいまするはず、一騎か二騎か、火急に三島へ飛ばして、宿止(しゅくど)めするよう、お計らいくだされい」 「口上は?」 「江戸より急ぎのご宝物、ご通行とお触れくださらばけっこうでござる」 「心得た。二騎すぐに行けいッ」 深夜のやみにぶきみなひづめの音をのこして、関所用意の馬が、火急の命をうけた両士をのせながら、一気に三島めざしつつ駆け降りました。 |