作 家
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作 品
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佐々木味津三 |
【右門捕物帖へび使い小町】 厚漉(あつず)きの鳥の子紙に、どうしたことか裏にも表にも変な文句が書いてあるのです。しかも、その裏なる文字がひととおりでない奇怪さでした。 「−−寝棺(ねかん)、 三個。 経帷子(きょうかたびら)、 三枚。 水晶数珠(すいしょうじゅず)、三連。 三途笠(さんずがさ)、三基。 六道杖(どうづえ)、 三杖(じょう)。 右まさに受け取り候(そうろう)こと実証なり 久世大和守(やまとのかみ)家中 小納戸頭(おなんどがしら) 茂木甚右衛門(じんえもん)」 それすらが容易ならざるところへ、表の文字はさらに数倍の奇々怪々たるものでした。 |
岡本綺堂 |
【中国怪奇小説集稽神録】 「こいつ、妖術をもって人を惑わす奴だ」 背を打たせること二十杖(じょう)の後、首枷(くびかせ)手枷(てかせ)をかけて獄屋につながせ、明日かれを殺すことにしていると、その夜のうちに劉は消えるように逃げ去って、誰もそのゆくえを知ることが出来ませんでした。 |
穂積陳重 |
【法窓夜話】 太守もここに至って大いに怒り、誓ってかの腐儒をして我命に屈従せしむべしというので、ハネフィヤを捕えて市に出し、笞(むちう)たしむること日ごとに十杖、もって十日に及んだが、なお固く執(と)って動かなかったので、さすがの太守も呆れ果てて、終にこれを放免してしまった。 |