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玉石混淆/玉石混交
ぎょくせきこんこう
価値のあるものとないもの、良いものと悪いもの、すぐれたものとつまらないものとが入りまじっていること。
作家
作品

正岡子規

【歌よみに与ふる書】

 香川景樹かがわかげきは古今貫之崇拝にて見識の低きことは今更申すまでも無之候。俗な歌の多き事も無論に候。しかし景樹には善き歌も有之候。自己が崇拝する貫之よりも善き歌多く候。それは景樹が貫之よりえらかつたのかどうかは分らぬ。ただ景樹時代には貫之時代よりも進歩してゐる点があるといふ事は相違なければ、したがって景樹に貫之よりも善き歌が出来るといふも自然の事と存候。景樹の歌がひどく 玉石混淆ぎょくせきこんこうである処は、俳人でいふと蓼太りょうたに比するが適当と被思おもわれ候。蓼太は雅俗巧拙の両極端をそなへた男でその句に両極端が現れをり候。

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和辻哲郎

【古寺巡礼】

 本尊の姿の釣り合いは、それだけを取って見れば、恐らく美しいとは言えないであろう。腕肩胴などはしっかりできていると思うが、腰から下の具合がおもしろくない。しかしあの数の多い腕と、火焔をはさんだ背光の放射的な線と、静かに迂曲うきょくする天衣と、そうして宝石の塊りのような宝冠と、――それらのすべては堂全体の調和のうちに、奇妙によく生きている。前にこの美しさがわからなかったのは豊かなものの全体を見ないで、ただ局部にのみ目をとめたためかと思われる。推古の美術は多くを切り捨てる簡素化の極致に達したものであるが、天平の美術はすべてを生かせることをねらって部分的な玉石混淆ぎょくせきこんこうを恐れないのである。

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岸田國士

【わが演劇文化の水準】

 一口に「新劇」といつても、その名称が曖昧な如く、実は、玉石混淆の状態、同じ劇団でも、出来不出来が甚だ多いのであるから、その点まだまだ安全保証附の「商品」とはいひ難い。ただ、一昔前のやうに、「新劇」は退屈なものと自ら許してゐるやうな態度はなくなつた。異論もあるが、目下の「新劇」は、概して、今日までのわが国に欠けてゐた「現代劇」への方向を取りつつあることは否めないのである。

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柳宗悦

【日本民藝館について】

技巧の勝ったもの常に優れた作だとは云えません。技巧と美しさとは必ずしも一致してはいないからです。また稀な品や完全な品を非常に大事にする人がありますが、それ等のものが必ずしも常に美しいとは限りません。珍しいものは本筋のものでなかったり、完全なものが冷たかったりする例は実におびただしいのです。ですからそういう立場で、ものを選ぶということは基礎が弱いのです。その結果はどうかというと、必ず選択が玉石混淆に陥るのです。立派なものの傍らに見るに堪えない品が ならんでいる例は余りにも多いのです。

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佐々木邦

【苦心の学友】

「学校でも若様のお遊び相手ははあなたが吟味ぎんみする。玉石混淆ぎょくせきこんこうですから、その中からしかるべき人を選んでください。おわかりかな?」

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宮本百合子

【獄中への手紙 一九三八年(昭和十三年)】

 ここで、私は何をかくかという前に、何ものであるかという問いを、自分のものとして自身に向けて、入念に、そして専念に一つ大掃除をやりましょう。私は自分の低さで、あなたに引っぱられるための者として存在しているのではないのですものね。私のよりしゃんと、より豊富に生きようとするそのところでこそ結ばれているのですもの。バタリコ、バタリコ歩くなどはもっての外です。自分の描くものに甘えずに、実質的な成長をとげてゆくことは、絶えざる力漕りきそうを要します。極めて現実的な、よく研究され、整理された、真の敏感さが必要とされる。比重の変化ということについても、今は、それの新しい変化への方向にとりかかっているよろこびと確信との上で、ひねくれずに承認いたします。
 初めて手紙を書くようになってから今日まで、恐らく私の書くことの内容、色彩、随分変って来ていることでしょう。様々の高低、様々の揺れ、そして様々の玉石混淆ぎょくせきこんこうをもって。或ときは空語と知らない空語をも交えつつ。

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吉川英治

【随筆 宮本武蔵】

 宮本武蔵の生涯の逸話だけをここに拾ってみる。古人の逸話というものの中には、口碑、伝説、史片、曲歪、真偽さまざまであるが、その玉石混淆ぎょくせきこんこうのうちに、自らその人の真のすがたられるものでもある。それと、古人の在世中から死後にかけて、世間の輿論的な人物評価が漂っている点もあるので、逸話の集録だけを読んでも、そこに一つの伝記がうかがえるかと思う。

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野村胡堂

【笑う悪魔】

 熊谷三郎兵衛はそれっ切り立ちすくんでしまったのです。多少玉石混交ではあったにしても、兎も角正貨準備か何んかの積りで、半分は思惑気で買い集めた夥しい美術骨董品の中には、世に得難い宝や、万金を積んでも手に入れることの出来ない品は、十や二十では無かったのです。

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風巻景次郎

【中世の文学伝統】

定家にいたっては『毎月抄まいげつしょう』の中に、未熟なうちから『万葉』をまねしてはいけないとさえいっている。それらを綜合して考えると、当時の京都貴紳の間においては、たとえ『万葉』がたしなまれても、それがいつも博識を結果するにとどまって、ただちによい「詩」を創める養分にも刺戟剤にもなり得ない事情が存在していたことが分るのである。それをいち早く直覚していたのはやはり俊成であって、『古来風体抄』の中にも、『万葉』の歌は玉石混交だから、よほど取捨が必要である、決して『万葉』だからといって頭から信仰してはならないといっている。俊成の言はあくまで主体的であって、詩人の言である。

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Last updated : 2022/11/23