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金城鉄壁
きんじょうてっぺき
作家
作品

寺田寅彦

【蒸発皿】

 以上は言わばたわいもない春宵しゅんしょうの空想に過ぎないのであるが、しかし、ともかくもわれわれが金城鉄壁と頼みにしている 頭蓋骨ずがいこつを日常不断に貫通する弾丸があって、しかもほんの近ごろまではだれ一人夢にもそれを知らずにいたというだけは確かな事実なのである。しかもその弾丸の本性はまだだれにもわからないのである。

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北村透谷

【一種の攘夷思想】

 世界万邦の思想は、相接引するの時となれり、東西南北の区劃は政治地図の上にこそ見れ、内部文明には斯かる地図なからんとす、この好時代に生れて、思想界に足を投ずるの栄を得たるもの、誰か徒為いたづらに旧思想を墨守し、狭隘けふあいなる国家主義を金城鉄壁あがめ、己れと己れの天地を蠖屈くわくくつせまきに甘んぜんとするものぞ。

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内田魯庵

【灰燼十万巻 (丸善炎上の記)】

 はて、解らん。何の事ッたろう。何度読直しても『今朝店焼けた』としか読めない。金城鉄壁ならざる丸善の店が焼けるに決して不思議は無い筈だが、今朝焼けるとも想像していないから、此簡単な仮名七字が 全然さっぱり合点のみこめなかった。
 且此朝は四時半から目が覚めていた。火事があったら半鐘の音ぐらい聞えそうなもんだったが、出火の報鐘しらせさえ聞かなかった。うして焼けたろう? 怎うしても焼けたとは思われない。

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久坂葉子

【落ちてゆく世界】

 夏のこととは、野球場でアイスキャンデーをうりあるくとはりきって、いよいよ、そのアルバイトの初めの日、いさんで西宮へ出かけた信二郎は、からのキャンデー箱を肩からつけて二三歩あるいたなり、もう動けなかったという話であります。「それみろ」父は申しました。信二郎は今年新制大学にはいりました。一人前に角帽をかぶっているのに、末子で、いつまでたっても一人でどんどん事をはこぶことが出来ません。
「母様にはときふせてあげましょう。父様は、金城鉄壁だけれど、何とかなるでしょう」
「ダンケ。頼むよ」

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泉鏡花

【天守物語】

夫人 ああ、それもそう、何よりさきに、貴方をおかくまい申しておこう。(獅子頭を取る、母衣ほろを開いて、図書の上におおいながら)この中へ……この中へ――
図書 や、金城鉄壁
夫人 いいえ、柔い。
図書 おおせの通り、真綿よりも。
夫人 そして、しっかり、私におつかまりなさいまし。

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葛西善蔵

【贋物】

 寝間の粗壁あらかべを切抜いて形ばかりの明り取りをつけ、藁と薄縁うすべりを敷いたうす暗い書斎に、彼は金城鉄壁の思いかで、 こもっていた。で得意になって、こういったような文句の手紙を、東京の友人たちへ出したりした。彼ら五人の親子は、五月の初旬にG村へ引移ったのであった。

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小林多喜二

【工場細胞】

「……通信によれば、君は貴地で労働者の研究会を組織することに成功したと云うではないか。僕はすっかり嬉しくなっている。然かも××鉄工所の労働者が七名も参加しているとは何んと素晴しいことだ。たしかに、その××鉄工所は貴地に於ける一番大きな工場だ。大したもんだ。タッタ七名! 誰がそんな軽蔑した言葉を発するのだ。若し我々が何千名と云う工場で、而も懐柔政策と弾圧とで金城鉄壁のような工場に、一人でもいゝ資本の搾取に反対して とうとする労働者を友人とすることが出来たら、我々はもうそれだけで、この工場の半ばを獲得したも同様なのだ。

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浜尾四郎

【彼が殺したか】
 そうだ、そうして同時に、鹿爪らしい顔をして居る世の法律家達に――この中には俺を何とかして救おうと空しき努力をしてくれた気の毒なあの弁護士も含まれるのだが――彼等の金城鉄壁と頼む法律というものの無力さを示してやる事が出来る。
 証拠証拠と二言目にはさがしまわる。それがなければ、不正を罰する事が出来ない。而もそれらしきものが見えれば、自信を以て何人をも殺す事の出来る彼等。その彼等に、この素晴らしい俺の脚本の仕組がわかるだろうか。

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佐々木味津三

【旗本退屈男 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男】

 こればかりは防ぎようがない。わざわざ駕籠先に馬の胸前を飾りつけさせたのは、実にその飛び道具の襲撃を避けるためでした。まことや金城鉄壁、天下もひれ伏す葵の御定紋が、その切れ端たりとも駕籠の先にかかったならば、もう只の駕籠ではないのです。上将軍家のお召し駕籠も同然なのです。

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中里介山

【大菩薩峠 農奴の巻】

 飛び出して走る分にはなんでもない。逃げ走ることは商売同様だから、それはなんでもないが、出ればすっかり網が張ってある。いま飛び出してはあぶない。あれから、こうして、ここに隠れていれば、もはや金城鉄壁。そこでこいつとしては、久しぶりでのうのうと足腰を伸ばしていたところへ、またしてもこの邪魔者――蒲団の中で 忌々いまいましがったが、結局、狸をきめ通すよりほかはない、と観念しているうちに、珍しい、これはまた、江戸で見知りのある下谷の長者町の道庵先生だな、と気がつくと、この際、苦笑いが鼻の先までこみ上げて来ました。

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Last updated : 2022/11/23