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挙動不審
きょどうふしん
作家
作品

太宰治

【春の盗賊】

私は口が下手へただから、そんないかめしい役所へ出て、きっと、へどもどまごついて、とんちんかんのことばかり口走り、意味なく叱責しっせきされるであろう。そうして、私には何となく、挙動不審の影があらわれて、あらぬ疑いさえ被り、とんでもない大難が、この身にふりかかるかもわからない。きっと、そうだ。私は、何かにつけて、めぐり合せの悪い子なのだ。運のわるい男なのだ。

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菊池寛

【ある抗議書】

 ところが、時運到来と申すのでございましょうか。大正五年の十月でした。犯人坂下鶴吉さかしたつるきちは――私は、その時初て姉を殺した兇悪な人間の名を知りました――警視庁の手に依って逮捕されました。なんでも挙動不審の為に拘引されたのですが、訊問の結果、多くの兇行を自白しました。その多くの兇行の中でも私の姉を殺した事件が、丁度烏の黒い身体の中でも、その兇悪な眼が一番怪しい光を放ったように、あの事件が一番恐ろしい光彩を放って居りました。

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谷譲次

【字で書いた漫画】

「どうしたんだろう。へんなやつだね。」
「ええ。よほどの変りものなのね、きっと。」
 さて――その唯一の通行人は「挙動不審」とあって 拘引こういんされ、審問の結果「交通妨害」のかどで見事に処罰されました。
 あめりか当代人気作家ジョウジ・エイドの作風にしたがえば、ここにはどうしても彼のいわゆる俚諺ことわざなるものが必要だ。曰く。
 みだりに足を使うことは文明への冒涜ぼうとくである。

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織田作之助

【夜光虫】

「怪しい!」
 と、思ったのである。
 もっとも、その男が地下鉄の中で掏ったところを目撃したわけではない。が、何となく態度や表情がおかしいと、ピンと来たのだ。いわゆる挙動不審というやつである。
 しかし、つけて行きながら、本当に掏ったのだ――という自信はなかった。いわば無責任な尾行であった。いや、もしかしたら、無気味な尾行かも知れない。

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伊丹万作

【雑文的雑文】

 映画のことなら何でもよいから見計いで書けという命令であるが、私は天性頭脳朦朧、言語不明瞭、文章曖昧、挙動不審の人物であるからたちまちはたとばかりに当惑してしまう。

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海野十三

【蠅男】

「あれはなんだネ、池谷与之助てえのは」
 と、検事が署長にたずねた。
「その池谷与之助ですがな。さっき怪しい奴が居るいうてお知らせしましたのんは。夜になって、この邸にやってきよりましたが、主人の室へズカズカ入ったり、令嬢糸子さんを隅へ引張って耳のところでささやいたり、そうかと思うと、会社の傭人を集めてコソコソと話をしているちゅう挙動不審の男だすがな」
「フーム、何者だネ、彼は」

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平林初之輔

【江戸川乱歩】

 御大典の当時、全国の警察が警戒網を布いて、怪しい挙動風体の者はいちいち検挙拘引していた頃のこと、伊勢の方面へ旅行中であった、江戸川乱歩が突如その筋の取り調べを受けたということである。というのは彼は、昼間のうちは寝ていて、夜になるとうろうろ歩きまわるので挙動不審だというので宿の者が警察へそっと密告したためだったそうである。

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岡本綺堂

【西瓜】

それにしても、なぜ最初に伊平を怪しんで呼びとめたかと訊くと、唯なんとなくその挙動が不審であったからであると彼等は答えた。江戸馴れない山出しの中間が道に迷ってうろうろしていたので、挙動不審と認められたのも無理はないと八太郎は思った。しかもだんだん話しているうちに、番人のひとりは更にこんなことを洩らした。

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寺田寅彦

【初冬の日記から】

「その男になにか見覚えになる特徴はなかったか」と裁判長が夕刊売りに尋ねる。その瞬間に、よほどのぼんやりでない限りのすべての観客のおのおのの大きくみはった二つの眼が一斉にこの不幸な犯人の左の顋下の大きな痣に注がれるのはもとより予定の通りである。その際に、もしかこれが旧劇だと、例えば河内山宗俊こうちやまそうしゅんのごとく慌てて仰山ぎょうさんらしく高頬たかほのほくろを平手で隠したりするような甚だ拙劣な、友達なら注意してやりたいと思うような挙動不審を犯すのであるが、ここはさすがに新劇であるだけに、そういう気の利かない失策はしない。

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中里介山

【大菩薩峠 恐山の巻】

 米友としては全く予想外の乱暴に出逢ったものですが、飛びついた方は理由なしにかかったのではない。「御用!」「捕った!」の合図でもわかる通り、これはたしかに職分を以て、この町の民の安寧のために、特に不穏な時節柄を警戒すべく巡回の役向のお手先である。今、密行中に、路上にうずくまる挙動不審の男を、相当以前から物蔭にかくれて動静をうかがい、いよいよ挙動不審を確めたから、そこで、旋風の如く おどりかかって、引捕えるべく飛びかかったものに相違ないが、それを曲者にいなされて、捕えらるべきものがここに踏みとどまって、捕うべき者が遥か彼方へ投げられて、そうして起きも上れない体でした。

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Last updated : 2022/11/23