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虚虚実実/虚々実々
きょきょじつじつ
作家
作品

織田作之助

【夜光虫】

 小沢が中之島公園の図書館の前へ駈けつけた時は――。
 豹吉を取り巻いている隼団の連中を兵古帯のお加代をはじめ青蛇団の連中が取巻き、龍太の拳銃とお加代の拳銃が虚々実々阿呍あうんの呼吸をはかりながら、今にも火花を散らそうとしていた。

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直木三十五

【大阪を歩く】

 それから、又、私は、堀江の「すまんだ」へ行ってみてもいいし、新町橋の四つ目屋へ、買物をしに行ってもいい(これは、いい土産になる)。或は又、京都の、肥後ずいきより、大阪のそれの方が、何んなに、文化的であるか(私が、こういう事を書いたからとて、直に、私の品性を評されては困る。エロ時代だから、大衆作家らしくこうした品物まで研究していると、一寸、向学心を広告したまでで、決して、私が、机の抽出へ入れている訳ではない。第一、私は、机をもっていないのだから)。或は又芝居裏の女郎がいかに「洋食弁当」を好くか? そして、それが、何んなに、特種なものであるか? とか――つまり、微に入り、細に亙り、大阪の文化性を論じ、たちまち女郎の弁当に移り、千変万化、虚々実々、上段下段と斬結ぶつもりであったが――雨である。

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宮本百合子

【文学と地方性】

ごくつづめた言葉でそれをエロティックな要素と表現すると、「若い人」が『三田文学』に連載されやがて一般の興味をひきつけた時代には、そのエロティシズムも、少女から脱けようとしている特異な江波の生命の溢れた姿態の合間合間が間崎をとらえる心理として描かれており、皮膚にじっとりとしたものを漲らせつつも作者の意識は作品としてその虚々実々を執拗に芸術として描き出そうと力一杯の幻想も駆使している。

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斎藤緑雨

【かくれんぼ】

酔えば三郎づれが鉄砲の音ぐらいにはびくりともせぬ強者つわものそのお相伴の御免こうぶりたいは万々なれどどうぞ御近日とありふれたる送り詞を、契約に片務あり果たさざるを得ずと思い出したる俊雄は早や友仙ゆうぜんそでたもと眼前めさき隠顕ちらつき賛否いずれとも決しかねたる真向まっこうからまんざら小春が憎いでもあるまいと遠慮なく発議者ほつぎしゃり込まれそれ知られては行くもし行かぬも憂しとはらのうちは一上一下虚々実々発矢はっしの二三十もならべてたたかいたれどその間に足は記憶おぼえある二階へあがり花明らかに鳥何とやら書いた額の下へついに落ち着くこととなれば六十四条の解釈もほぼ定まり同伴つれの男が隣座敷へ出ている小春を幸いなりもらってくれとの命令いいつけ

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石原莞爾

【戦争史大観】

 墺軍主力はラウジッツ方面よりザクセンに作戦し、西南方より前進して来た帝国軍(神聖ローマ帝国に属する南ドイツ諸小邦の軍隊)と協力してザクセンを狙い、虚に乗じて一部はシュレージエンを攪乱した。大王は寡兵をもって常に積極的にこれに当ったが、ダウンの作戦また頗る巧妙で虚々実々いわゆる機動作戦の妙を発揮した。

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岡本かの子

【富士】

 女は、自分の前に佇った男は、身体の割に、手足が長くて、むくつけき中に逞しさを蔵している。獣のように毛深い。嫌だなと思うほど、女をとろかす分量のものをもっている。女は生れ付きの女の防禦心から眼をわきへ外らした。しかし身体だけは、ちょっと腰を前横へ押出して僅かなしなを見せた。池のほとりの桔梗きちこうの花のつぼみをまさぐる。
 しばらく虚々実々、無言にして、天体の日月星辰を 運行めぐる中に、新生の惑星が新しく軌道を探すと同じ叡智が二人の中に駈けめぐった。

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林不忘

【丹下左膳 乾雲坤竜の巻】

「この不具の石、名もところも素姓も洗ってある。水にて洗えば土は流れて、石の大小善悪もすべて知れ申し候……じゃ、サ、泰軒、いかがいたす?」
 迫るがごとき語調とともに、碁によせて事を語る越前守忠相。
 奉行なりゃこそ、そうしてまた泰軒が私交の親友なればこそ、こうして公私をわけながら一つにって、何もかも知りつくした二つの胸に智略戦法の橋を渡す――虚々実々きょきょじつじつ烏鷺談議うろだんぎがくりひろげられてゆくのだった。

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吉川英治

【私本太平記 八荒帖】

 興にのッて、言いたい放題を、道誉は腹いせに言いちらす。しかし師直は辛抱づよく彼のさかなになりながらも、折々、道化どうけにことよせては、辛辣しんらつに相手を揶揄やゆの手玉に取り、しかも決して怒らせない。
 見ようによれば、これは当代武家極道の両雄が、一方は於呂知おろちを主将とする妓陣ぎじん、一方は白龍を将とする妓陣、二つにわかれて、はいたてとし、舌を矢として、虚々実々の婆娑羅合戦を展じたものといえなくもない。
 なにしろ男女ともみな泥酔した。この宵、妓家のたくわえの大きな酒甕さけがめは、幾壺いくこをカラにしたことか。

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Last updated : 2022/11/23