『近世流行商人狂哥絵図』に見る
「江戸時代の行商人と売り声」
= 曲亭馬琴 =

朝鮮の弘慶子ちょうせんのこうけいし
近世流行商人狂哥絵図・朝鮮の弘慶子
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 ・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)

《近世流行商人狂哥絵図》


朝鮮の弘慶子



ちやうせんのふ こうけいし
しやっくや つかえに
きんみやうだ
ホホホ
けふは大ぶん
うれるはへ
おらんたのふくりんたうめに
うりまかされては
ならぬてや
 ・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)

《近世流行商人狂哥絵図》


朝鮮の弘慶子

ちょうせんのこうけいし


朝鮮のふ 弘慶子こうけいし
しやくや つかえ
きんみょうだ
ホホホ
きょうは大分だいぶん
売れるわえ
オランダの福輪糖ふくりんとうめに
売り負かされては
ならぬでや
  • 弘慶子こうけいしは朝鮮の装束で薬や菓子を売り歩いた行商人。
    「太田南畝・半日閑話」より(国立国会図書館蔵)
    太田南畝
    『半日閑話』
  • 太田南畝の雑記帳「街談録」を基に後人が編纂した『 半日閑話はんにちかんわ』の「弘慶子、福輪糖、与寒平膏薬」の項目に、「今年(注:安永五年)朝鮮の弘慶子といへる薬を売者あり。其の様すぼき竹の笠を着て壺を二ツ肩にかけ行く。去年より流行すともいふ。又阿蘭陀の福輪糖といへる菓子を売る大に行はる。其さま弘慶子を売るものに似て、壺を二ツかたげたり。菓子は煎餅に胡麻を入れたるものにて大きさは粟焼の如し。売声:阿蘭陀の・・・・ふくりん糖・・・・<句> コリリ、<句>うまい/\/\。一日のうちに数十人来たらざる事なし」 という記述と行商人の図が載っている。
  • この「近世流行商人狂哥絵図」の弘慶子は、オランダの福輪糖ふくりんとうめには負けないぞと言っている。
『朝鮮の弘慶子』(曲亭馬琴・近世流行商人狂哥絵図)
・原文/翻刻(歴史的仮名遣い。*変体仮名は現用に置き換え)
ちやうせんのふ こうけいし
しやっくや つかえに きんみやうだ
ホホホ
けふは大ぶん うれるはへ
おらんたのふくりんたうめに
うりまかされては ならぬてや
・読み下し(現代仮名遣い・漢字交じり・振り仮名)
朝鮮のふ 弘慶子こうけいし
しやくや つかえに きんみょうだ
ホホホ
きょうは大分だいぶん 売れるわえ
オランダの福輪糖ふくりんとうめに
売り負かされては ならぬでや

近世流行商人 きんせいりゅうこうあきんど 狂哥絵図 きょうかえず は、曲亭馬琴きょくていばきん (明和4年6月9日(1767年7月4日) - 嘉永元年11月6日(1848年12月1日)/江戸時代後期の読本作者。代表作は『椿説弓張月』『南総里見八犬伝』)の作品です。天保6年・1835年 に刊行されたもので、江戸時代の行商人の姿と売り声を記しています。

 「二十三番狂歌合」「流行商人絵詞二十三番狂歌合」「近世商人狂歌合」などとも呼ばれます。

 画像は国立国会図書館所蔵によります。このページでは、画像を明るくするために当サイト独自の色彩補正を行っており、国立国会図書館が公開している原画とは色調が若干違います。


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Last updated : 2024/06/29