絵心経・般若絵心経
~絵で読む般若心経~
盛岡系絵文字の解読

 般若心経を絵で表したこの「絵心経」は、天保年間(1830年代) に、盛岡藩の城下、盛岡(現在の岩手県盛岡市)で創案された「盛岡系舞田屋版」とされるもの。(画像提供:岩手県立博物館)
 当時は義務教育などはなく文字の読めない人もいたため、誰でも般若心経に触れられるようにして民衆の心の安寧を図る目的のほか、明るくユーモラスな庶民の読み物としても流布したと考えられる。
 印刀で描き出された写実的な絵文字は、この時代に流行した判じ絵”   の趣も感じられる。
[参考:監修 佐藤勝郎 トリョー・コム 1973年刊]
 このページでは、絵文字・判じ絵の一つ一つの読み方、意味などを見てみる。
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絵心経 絵文字・判じ絵の解読・

《注記》  次の二つの絵(左側)に関し、先人の様々な解説には見られなかった点について、当サイトの見解を示しておきたい。
『守貞漫稿』での「按摩」
国立国会図書館蔵
 「ぼ・ぼう」と読むであろうこの絵について、『僧侶・手に持った棒』『坊』『お坊さん』などと解説するものが多く見られるが、これは「目の不自由な按摩さん」であると思われる。江戸時代の生活などを記した『守貞漫稿  』という文献に同様の図が見られ、特徴が似ている。按摩の職業につく人は目の日自由な人が多かったため、「盲(もう・ぼう)」の字を当てたのではないかと思われる。『守貞漫稿』では、『諸国盲人、これを業とする者多し。あるいは盲目にあらざるもあり』としている。
九曜紋の一つ『銭九曜」
中央に穴があり銭の形
 「く」と読むであろうこの絵について、『黒星九つ』『点が九つ』などと解説するものが多く見られるが、これは家紋の「九曜紋(くようもん)」と解釈できるのではないかと思われる。「九曜紋」は仏教との結びつきが深く、それぞれの星に仏尊と真言を当てて、「九曜曼荼羅」とする信仰などもあったとされる。
《参考》
《般若絵心経 絵文字の解読 PDF版》
般若心経
[仏説]摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得以無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多故心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切顚倒夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪即説呪曰
掲諦掲諦波羅掲諦波羅僧掲諦菩提薩婆訶
般若心経
 最初の[仏説]は、神道では省略される。また、仏教でも宗派などによって省略して唱えられる。

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Published : 2024/07/08 Last updated : 2024/08/02