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阿鼻地獄
あびじごく
  1. 仏教で、八大地獄のうち最も苦しい地獄。
  2. 語義1より、特に災難な環境。
作家
作品

太宰治

【人間失格】

 つまり、わからないのです。隣人の苦しみの性質、程度が、まるで見当つかないのです。プラクテカルな苦しみ、ただ、めしを食えたらそれで解決できる苦しみ、しかし、それこそ最も強い痛苦で、自分の例の十個の禍いなど、吹っ飛んでしまう程の、凄惨せいさん阿鼻地獄なのかも知れない、それは、わからない、しかし、それにしては、よく自殺もせず、発狂もせず、政党を論じ、絶望せず、屈せず生活のたたかいを続けて行ける、苦しくないんじゃないか? 

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坂口安吾

【教祖の文学 ――小林秀雄論――】

 花鳥風月を友とし、骨董をなでまはして充ち足りる人には、人間のごうと争ふ文学は無縁のものだ。小林は人間孤独の相と云ひ、地獄を見る、と言ふ。
あはれあはれこの世はよしやさもあらばあれ来む世もかくや苦しかるべき(西行)
花みればそのいはれとはなけれども心のうちぞ苦しかりける(西行)
風になびく富士の煙の空にきえて行方も知らぬ我が思ひかな(西行)
ほのほのみ虚空にみてる 阿鼻地獄行方もなしといふもはかなし(実朝)
吹く風の涼しくもあるかおのづから山の蝉鳴きて秋は来にけり(実朝)
 秀歌である。たしかに人間孤独の相を見つめつゞけて生きた人の作品に相違なく、又、純潔な魂の見た風景であつたに相違ない。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28