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愛別離苦
あいべつりく
  1. 親子・兄弟(姉妹)・夫婦・恋人同士などで愛し合う者と生別、死別する苦しみや悲しみ。仏教でいう四苦八苦のひとつ。
作家
作品

岡本かの子

【富士】

もしこの上にして育たぬようだったら、山よ、わたしは諦める。だが、山よ、出来得べくはなるけ育てて呉れ。翁はこどもを山の方に捧げ、ひょこひょこひょこと三つお叩頭じぎをして、置いて帰った。愛別離苦の悲しみと偉大なものに生命を賭ける壮烈な想いとで翁の腸は一ねじり捩れた。


「わしゃ、偉大なものへ生命を賭けることは大好きなのじゃよ。わしは最愛のこどもでそれをした。その愛別離苦の悲しみや壮烈な想いで、わしの腸はこんなに螺の貝のように捻じ巻いたのじゃないか」と山の祖神の翁は負けん気の声を振り立てていった。「だが、親子の縁は切り度くないもんじゃよ」
  とその言葉の下から縋り声で寄り戻した。

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泉鏡花

【春昼】

いや、結構ですとも。恋で死ぬ、本望です。この太平の世に生れて、戦場で討死うちじにをする機会がなけりゃ、おなじ畳の上で死ぬものを、こがれじにが洒落しゃれています。
 華族の金満家きんまんかへ生れて出て、恋煩こいわずらいで死ぬ、このくらいありがたい事はありますまい。恋はかなう方がさそうなもんですが、そうすると愛別離苦あいべつりくです。
 ただ死ぬほどれるというのが、かねめるよりかたいんでしょう。」

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三遊亭圓朝
鈴木行三校訂・編纂

【菊模様皿山奇談】

翌朝よくあさ板橋まで送る。下役の銘々めい/\多勢おおぜいぞろ/\と渡邊織江の世話になった者が、祖五郎お竹を送り立派な侍も愛別離苦あいべつりくで別れをおしんで、互に袖を絞り、縁切榎えんきりえのきの手前から別れて岩吉は帰りました。祖五郎お竹等は先ず信州上田の在で中の条村という処へ尋ねてかんければなりません。

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  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
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Last updated : 2024/06/28