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哀別離苦
あいべつりく
- 親子・兄弟(姉妹)・夫婦・恋人同士などで愛し合う者と生別、死別する苦しみや悲しみ。仏教でいう四苦八苦のひとつ。(愛別離苦)
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作家
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作品
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【文芸的な、余りに文芸的な】
僕も亦正宗氏のように如何なる社会組織のもとにあっても、我々人間の苦しみは救い難いものと信じている。あの古代のパンの神に似たアナトオル・フランスのユウトピア(「白い石の上で」)さえ
仏陀の夢みた寂光土
ではない。生老
病死は哀別離苦と共に必ず僕等を苦しめるであろう。僕は確か去年の秋、ダスタエフスキイの子供か孫かの餓死した電報を読んだ時、特にこう思わずにはいられなかった。
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【芥川龍之介氏を弔う】
玲瓏、明透、その文、その質、名玉山海
を照らせる君よ。溽暑蒸濁
の夏を背きて、冷々然として獨り涼しく逝
きたまいぬ。
倏忽にして巨星
天に在り。光を翰林に曳きて永久
に消えず。然りとは雖
も、生前手をとりて親しかりし時だに、その容を見るに飽かず、その聲
を聞くをたらずとせし、われら、君なき今を奈何
せん。おもい
秋深く、露は涙の如し。月を見て、面影に代ゆべくは、誰かまた哀別離苦
を言
うものぞ。高き靈よ、須臾の間
も還
れ、地に。君にあこがるゝもの、愛らしく賢き遺兒
たちと、温優貞淑
なる令夫人とのみにあらざるなり。
辭つたなきを羞
じつゝ、謹で微衷
をのぶ。
昭和二年八月
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【恋愛というもの】
男と女の恋が成り立ってから半年程のちでした。男が朝鮮へ行かなければならなくなりましたのは、男女の哀別離苦の情、目もあてられぬほどのものでありました。しかし、その悲哀にも男女おのずからの差はありました。
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【自由画稿】 大山鳴動して一鼠が飛び出したといったようなときの笑いは理知的であり、校長先生の時ならぬくしゃめが生徒の間に呼び起こす笑いなどには道徳的の色彩がある。喜怒愛憎の高潮に伴なう涙は理知や道徳などとは関係の薄い情緒的のものであるが、哀別離苦の焦心の涙にはよほど本能的なものがあって、純粋な肉体の苦痛によるものとかなりまで相通ずるものがありそうに思われる。
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【大菩薩峠 みちりやの巻】 この連中は、人生の離合集散も、哀別離苦も、さのみ問題にはしていない。きょうあって、あすはなき命と、覚悟はきまっている、そうして、あすは
鴉がかッかじるべえ、ともいわない。感傷がましい言葉が、あえて彼等の口の端に上るということを知らないほど、無感覚に出来ているらしい。
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【法窓夜話】 ヌーマ王は女神エジェリヤの切なる寵愛を受けて、しばしばかのカメーネの林中にて人目を忍ぶ会合を行い、ここにて礼法の制定について種々女神の教えを受けておったのであったが、人生限りあり、歓楽遂に久しからずして、ヌーマ王は 竟に崩御した。女神エジェリヤは始めて人界の哀別離苦を知り、天にあこがれ地にかこちて、幾夜この森中に泣き明した。
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Last updated : 2024/06/28