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悪鬼羅刹
あっきらせつ
  1. 悪鬼や羅刹、あらゆる恐ろしい魔物。
作家
作品

芥川龍之介

【俊寛】

おれはそう思うたら、今でも不思議な気がするくらい、ありとあらゆる罵詈讒謗ばりざんぼうが、口をいてあふれて来た。もっともおれの使ったのは、京童きょうわらべの云う悪口あっこうではない。八万法蔵はちまんほうぞう十二部経中じゅうにぶきょうちゅう 悪鬼羅刹あっきらせつの名前ばかり、矢つぎ早に浴びせたのじゃ。が、船は見る見る遠ざかってしまう。あの女はやはり泣き伏したままじゃ。おれは浜べにじだんだをみながら、返せ返せと手招ぎをした。

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折口信夫

【翁の発生】

御嶽精進を経て、始めて男となると言ふ信仰は、近代に始まつた事ではない様で、山地に居させ、禁欲・苦役の後、成年戒を授けた昔の村里の規約が、形を変へ て入つて来てゐます。男だけの山籠りで、女子は結界厳重な事も、女人禁制の寺方を学んだのではなく、固有の秘密結社の姿なのでした。山の神・山人がおにと感じられて来たのに対して、天狗を想像する様になりました。古代のおには、後世の悪鬼羅刹などでなく、巨人と言ふだけの意義でした。大方、赤また黒またなど言ふ先島サキジマまれびとと、似た扮装をしたものであつたのでせう。

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葉山嘉樹

【井戸の底に埃の溜つた話】

 自分の家の井戸の底には、埃が溜つてゐる事も何も忘れ去つて、泥んこの水の中を、四つん匍ひになつて匍ひ廻り、こねまはして、「水が飲みたあい」と怒鳴りながら帰つた時は、おふくろが、洗濯を思ひ出さざるを得ない、悪鬼羅刹の形相に化し終つてゐるのである。

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  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

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Last updated : 2024/06/28