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悪因悪果
あくいんあっか
  1. 悪い行為をすると、必ず悪い結果が降りかかる。
作家
作品

宮沢賢治

【二十六夜】

先刻人間に恨みを返すとの議があった節、申した如くじゃ、一の悪業によって一の悪果を見る。その悪果故に、又新なる悪業を作る。斯の如く展転して、 ついにやむときないじゃ。車輪のめぐれどもめぐれども終らざるが如くじゃ。これを輪廻りんねといい、流転るてんという。悪より悪へとめぐることじゃ。継起してついおわることなしと云うがそれじゃ。いつまでたっても終りにならぬ、どこどこまでも悪因悪果、悪果によって新に悪因をつくる。な。 うじゃ、うかとてもあるまいじゃ。

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国枝史郎

【一枚絵の女】

 いやそうではないそうではない! ……そんな小さな問題ではない! ……宗教おしえの道へ入ってみて、人間は一切平等だという、真理まことをわしは知ることが出来た。犬神だのとっつきだのと、同じ日本の人間を、差別視するということの、不合理であるということも知った。わしはあの時あのおきたと、夫婦になればよかったのだ。わしがおきたと夫婦になっていたら、おきたはこんなあばずれ女に、決してなってはいなかっただろう! ……因果応報! 悪因悪果! わしは快く殺されよう!)
 そこで彼は大声で叫んだ。
「わたしは快く死にまする! さあさあお斬りくださいまし!」

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夢野久作

【鼻の表現】

 善因善果、悪因悪果、悔い改めよの、心を入れ換えよの、やれ神罰の、仏罰の、天の怒り地のたたり、親罰、子罰、嬶罰かかあばちのと、四方八方からの威し文句の宣伝ビラが昔から到る処ふりかれておりますが、近頃の人間はとんと相手にしなくなりました。あたかも往来のちり同様、ハイカラ風の吹き散らすに任せ、文化の雨がタタキ流すに任せております。

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久生十蘭

【金狼】

あたしがこれから暴露バラしにゆく。……ねえ、あたしのような小供を利用して強盗を働くのは間接正犯といってね、よしんばあたしは助かっても、君は絶対に助からないよ。……あたしが手を合せてたのんだとき、そいつをきいてくれてたらこんな羽目にはならなかったんだ。善因善果、悪因悪果、早く絞首台へ追いあげられて、 青洟あおばなをたらして往生しろ。……じゃそろそろ出かけようか。言いたいだけを根っきりしゃべったんだから、さぞききにくいこともあったでしょう。かんにんしてちょうだいね

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狩野亨吉

【安藤昌益】

 自然の作用として見らるるものに互性活眞の外に進退の考へがある。是は因果法に代るもので、通横逆の三つの形ちに現れることは前に引用したところにも見えてゐる。是は善因善果惡因惡果の如き殆ど自明の理とは事かはり甚だ了解し難いものである。のみならず彼の五行論と出入して複雜を極め、到底通俗の解述を許さない。

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宮武外骨

【一円本流行の害毒と其裏面談】

次に利己一遍の有象無象が、自衛上の已むなきに出たとしても、発頭者の無謀をマネて其罪悪を拡大し、其害毒を増大せしめたのは、共に不埒の暴挙である、其暴挙であるが故に、悪竦の手段を講ぜねばならず、卑劣の窮策を廻らさねばならぬハメに陥りやがて悲哀を招き煩悶を来たして、終には没落するに到るのである、これ皆無謀行為の自業自得、考慮なき暴挙の悪因悪果として、当然の成行であらねばならぬ、以下条を追って其実証実例を列記する

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吉川英治

【宮本武蔵 火の巻】

「どのつら下げて、親類などへ、のめのめと」
「恐れ入りました、今に、祖先へも郷土へも、詫びをするつもりではおりますなれど」
「……なれど、今さら、国許くにもとへも帰れぬのであろうが、悪因悪果というもの、無二斎どのも、地下で泣いておろうわい」
「……長座いたしました。叔母御、おいとまいたします」

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Last updated : 2024/06/28