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悪魔調伏
あくまちょうぶく
  1. 仏教で、人間に悪い影響を及ぼす化け物を、神へ祈って人間の考えに応じさせること。
作家
作品

岡本綺堂

【玉藻の前】

 禍いが却って福となった烏帽子折りの少年は、それから泰親の門に入って、天文を習った。卜占うらないを学んだ。さすがは泰親の眼識めがねほどあって、年にもして彼の上達は実に目ざましいもので、明けてようよう十九の彼は、ほかの故参の弟子どもを乗り越えて、やがては安倍晴明以来の秘法という悪魔調伏ちょうぶくの祈りをも伝えらるるほどになった。彼は泰親が秘蔵弟子の一人であった。

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佐々木味津三

【右門捕物帖 のろいのわら人形】

「ちと承りたいことがござる。当山は悪魔退散邪法調伏ちょうぶく修法すほうをつかさどる大道場のはずゆえ、さだめしご坊たちもその道のこと詳しゅうご存じであろうが、ただいま江戸にてうしの時参りに使われる場所は、どことどこでござる」
「なるほど、そのことでござりまするか。丑の時参りは、てまえども悪魔調伏の正法を守る者にとりましては許すことのかなわぬ邪法でござりますゆえ、場所も所も知らぬ段ではござりませぬ。まず第一は練塀小路の妙見堂、つづいては柳原のひげすり 閻魔えんま、それから湯島坂下のまた稲荷いなり、少しく飛びまして本所四ツ目の生き埋め行者、つづいては日本橋本銀町もとかねちょうの白旗金神こんじんなぞ五カ所がまず名の知れたところでござります」

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Last updated : 2024/06/28