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栄枯盛衰
えいこせいすい |
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作家
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作品
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幸田露伴 |
【ねじくり博士】
畢竟(ひっきょう)は螺旋的だから運動が千殊万差の異様をなして長く続くのサ。ソコデ人間の世界に生れて来るのも単に螺旋的にヒョコリと出て来るのサ、そうして人間の意思動作もすべて螺旋的にぐるぐるまわッているのサ。社会の栄枯盛衰も螺旋的にぐるぐるまわッているのだよ。
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国枝史郎 |
【高島異誌】
「栄枯盛衰の移り変りの如何に劇(はげ)しく恐ろしいかという事を、汝其処に居て見るがよいわ!」僧がポンポンと手を拍った。 と其刹那高楼の四方から焔々たる大火燃え上ったが、忽ち館は烏有に帰した。 |
紫式部 |
【源氏物語 匂宮】
右大臣は、「昔の人の上で見ても、生きている時に心をこめて作り上げた家が、死後に顧みる者もないような廃邸になっていることは、栄枯盛衰を露骨に形にして見せている気がしてよろしくないものだから、せめて私一代だけは六条院を荒らさないことにしたいと思う。近くの町が人通りも少なく、寂しくなるようなことはさせたくない」 |
中里介山 |
【大菩薩峠 山科の巻】
「かくの通り、衣食足って礼節は、本来ビタの地(じ)にあることなんでげす、現に殿様の御身の上の栄枯盛衰にかかわらず、かくまで忠義の志をかえぬことによって充分に御賢察が願いたい――衣も足り、食も足り、懐ろ工合の方も、当節は異人館出入りのために外貨獲得てやつが成功いたしやして、至極豊かでござりやす、かくて最後に来(きた)るものが風流――その風流の御相談に参じやした」
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相馬愛蔵 |
【私の小売商道】
分相応を第一とするとともに、栄枯盛衰はあざなえる繩の如し、時に貧しくとも驚かず、貧乏負けせぬが必要だとともに、富貴に処して得意がらず、余裕をもって善事に奉仕すべきであります。
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岡本かの子 |
【小町の芍薬】
君助は楽しんで、伝説の小町の研究に入つて行つた。草紙洗小町、雨乞小町などといふいはゆる七小町の類から六歌仙の一人としての歌仙小町、それから人生の栄枯盛衰にかけてあはれ深く説きなした玉造小町、業平東下りの条の髑髏の小町などまで、およそ絶世の美女の上に空想される詩的構想を、あらゆる角度から伝説は充たしてゐる。そしてこれ等の空想の翼は、かなり小町の歌と世に通つてゐるものから飛翔してゐるのに気付いて、今度は彼女の歌の研究に入つて行つた。
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国枝史郎 |
【弓道中祖伝】
この一党は何物なのであろう? いわば野武士と浪人者と、南朝の遺臣の団体(あつまり)なのであった。応仁の大乱はじまって以来、近畿地方は云う迄もなく、諸国の大名小名の間に、栄枯盛衰が行なわれ、国を失った者、城を奪われた者が、枚挙に暇ないほど輩出した。
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宮本百合子 |
【午市】
小関の家から廓(くるわ)の中心まで、十町とはない位であった。従って、日が落ちると下駄の木地屋をやっている店を片づけ、晩酌でもすますと気が向き次第、ぶらぶらと、おふゆの云う通り、当もなく、あっちこっち覗いて歩き廻るのだろう。景気のよしあしに詳しいのも無理はない。よい案内者に違いないが、一方では、風俗問題だの国民の道徳問題だのと頭を悩す人達があるかと思えば、この小関のように、自分一人で、その土地の栄枯盛衰にあずかっているように、馴染深い親密な態度で向っている者もある。おせいは著しい人心の対照を感じずにはいられなかった。
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