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永久不変
えいきゅうふへん |
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作家
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作品
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折口信夫 |
【貴種誕生と産湯の信仰と】
一体、神或は貴人には、誕生といふことはなく、何時も生き、又何時も若い。たゞ時々に休みがあり、又休みから起きかへつて来るのである。此意味は、天子並びに其他の貴い職分及び地位は、永久不変の存在であるから、人格として更迭はあつても、神格としては死滅といふことはない。昔の天皇或は貴人の長寿といふことに就て考へて見ても、譬へば、武内宿禰の長命、或は伊勢の倭姫命の長命なども、其考へ方が反映してゐるのである。
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寺田寅彦 |
【研究的態度の養成】
たとえば太古では世界は地(土)、水、火、風の四からなりたっていると考えたが、その後化学的元素というものが確定され、漸次に新元素が発見され今は八十余の元素がいろいろ組合わされてあらゆる物質を構成していると考うるようになった、つい近頃までは元素は永久不変なものと考えられていたが、ラジウムのような物質が発見され研究された結果、元素もまた変化し得る事が明らかになり、同時に元素の原子の内部の構造も考えなければならぬようになった、
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紫式部 |
【源氏物語 桐壺】
桐壺の更衣は身分と御愛寵とに比例の取れぬところがあった。お傷手(いたで)が新女御の宮で癒(いや)されたともいえないであろうが、自然に昔は昔として忘れられていくようになり、帝にまた楽しい御生活がかえってきた。あれほどのこともやはり永久不変でありえない人間の恋であったのであろう。
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宮本百合子 |
【婦人作家は何故道徳家か? そして何故男の美が描けぬか?】
プレハーノフの女弟子、ソヴェト同盟のマルクス主義機械論的修正派の最も有名な代表者アクセリロードは、「トルストイの創作を批評するのにもスピノザの哲学を分析する際にも、彼女は永久不変の道徳法から出発している。彼女は、新カント派と多くの論戦を交えたが、弁証法を軽視し、その思惟が機械的だったことは、結局道徳律の問題において彼女を敵の陣営――彼女が一生涯それらと闘ったその敵の陣営に導いた。」
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戸坂潤 |
【道徳の観念】
だが修身の特色は、この徳目を永久不変な人間性の元素と見立てることだ。これは道徳内容の(形式だけのではない)固定化を意味する。この徳目を社会にまで及ぼしたものが、国民道徳や公民道徳なのである。国民や公民の徳目は云うまでもなく絶対不動な人間性と絶対不動な国民的伝統とに根ざしていなくてはならないとされる。
そして道徳を道徳規範や道徳律として強調しようという常識は殆んど凡ての場合、その規範乃至道徳律が永久不変な内容でなければならぬと仮定している。――かくて徳目道徳主義の常識は、一般に道徳の絶対化、道徳の形而上学化、と必然的な連関を有つのである。 だが注意すべきは、仮に道徳規範や道徳律が永久不変な形而上学物と考えられずに、歴史的に変化発展するものと想定されているような場合でも、この想定は多くは単なる想定に止まるものであって、実質的には道徳律を変化発展するものとは考え得ていないのだ、という点である。 常識で云う所謂道徳は、例えば人間の社会生活の規範(実は階級規範と云った方が理論的に正確なのだが)というだけのものではない。それが仮に永久不変な人間の規範であってもまだ所謂道徳ではない。それが絶対化され神聖化され、かくて完全に神秘性を与えられた時初めて、世間でいう所謂道徳(この常識的な道徳観念)となるのだ。 |
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