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英姿颯爽
えいしさっそう
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作家
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作品
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【吾輩は猫である】
しかしシーザーの鼻を鋏でちょん切って、当家の猫の顔へ安置したらどんな者でございましょうか。喩えにも猫の額と云うくらいな地面へ、英雄の鼻柱が突兀として聳えたら、碁盤の上へ奈良の大仏を据え付けたようなもので、少しく比例を失するの極、その美的価値を落す事だろうと思います。御母堂の鼻はシーザーのそれのごとく、正しく
英姿颯爽たる隆起に相違ございません。しかしその周囲を囲繞する顔面的条件は如何な者でありましょう。無論当家の猫のごとく劣等ではない。
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【旅日記 東海道線】
小蒸気に飛乗つて鳳山丸に乗り付けデッキへ上つて見ると、サルンと覚しき室の前に、ゴタ/\と集つた人影が見える。或は背広、フロック、袴羽織思ひ/\の服装で、誰が誰やら一寸は薩張り分らなかつたが、能く見ると其中に霜降の背広に黒の山高帽を冠り、鼻眼鏡をかけた英姿颯爽の一偉丈夫がある。出迎への人々交る/\其前へ出て敬しく叩頭するので、正面の僕にも直ぐ其と知れた。
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【小説 不如帰】
山木が車赤坂氷川町なる片岡中将の門を入れる時、あたかも英姿颯爽たる一将軍の栗毛の馬にまたがりつつ出で来たれるが、車の駆け込みし響にふと驚きて、馬は竿立ちになるを、馬上の将軍は馬丁をわずらわすまでもなく、韁を絞りて容易に乗り静めつつ、一回圏を画きて、戞々と歩ませ去りぬ。
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【支倉事件】
宮木判事は当時少壮有為の司法官だった。本事件審理後彼は長く欧米に遊び、親しくかの地の司法制度を研究して、帰朝後現に司法省内の重要なる椅子を占め、尚外務書記官を兼ねているのでも分る通り英姿颯爽、温容を以て人に接し、辞令企まずして巧で、加うるに頭脳明晰眼光よく紙背に徹する明のある人だったが、刑事裁判に長たることはこの支倉事件を以て始めとして且つ終りだった。
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Last updated : 2024/06/28