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依怙贔屓
えこひいき |
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作家
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作品
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徳田秋声 |
【仮装人物】
しかし庸三が採点に苦心した結果、依怙贔屓(えこひいき)でない程度で、「地上の虹(にじ)」と題した彼女の作品が、どうにか二等くらいに当選すべき運命にまで漕(こ)ぎつけた時になって、栗原夫人の名をつかったことが暴露した結果、それも到頭闇(やみ)へ葬られてしまった。
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幸田露伴 |
【五重塔】
去年使ふてやつた恩も忘れ上人様に胡麻摺り込んで、強(たつ)て此度(こんど)の仕事を為(せ)うと身の分も知らずに願ひを上げたとやら、清吉の話しでは上人様に依怙贔屓(えこひいき)の御情(おこゝろ)はあつても、名さへ響かぬのつそりに大切(だいじ)の仕事を任せらるゝ事は檀家方の手前寄進者方の手前も難しからうなれば、大丈夫此方(こち)に命(いひつ)けらるゝに極つたこと、
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部上】
一、荷物送り出しの節、心安き牛方にても、初めて参り候(そうろう)牛方にても、同様に御扱い下され、すべて今渡(いまど)の問屋同様に、依怙贔屓(えこひいき)なきよう願いたきこと。
この寛斎からも、半蔵は牛方事件の成り行きを聞くことができた。牛方仲間に言わせると、とかく角十の取り扱い方には依怙贔屓(えこひいき)があって、駄賃書き込み等の態度は不都合もはなはだしい、このまま双方得心(とくしん)ということにはどうしても行きかねる、今一応仲間のもので相談の上、伏見屋まで挨拶(あいさつ)しようという意向であるらしい。 |
太宰治 |
【秋風記】
私は、顔をあからめた。それでも、きざに、とりすまして、その三種類の外国煙草を、依怙贔屓(えこひいき)なく、一本ずつ、順々に吸ってみる。
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坂口安吾 |
【悲願に就て ――「文芸」の作品批評に関聯して――】
中尾課長はただの課長の最も世俗的な概念であるし、そのうえ横山属の立場からしか課長の正体をつきとめていないのは作者の勝手な依怙贔屓である。課長にとりいる才子でも主人公の横山属でもみんな常識的ないわば公式の羅列のようで生き生きと読者の魂に訴えてくるものがない。だから洋服も洋服という言葉でしかなかった。
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岡本綺堂 |
【籠釣瓶(かごつるべ)】
女房もそばから口を添えて、何分これが店じゅうの者にも知れ渡ってしまったのであるから、お光一人のためにこの掟を破ると他の者の取締まりが付かない。依怙贔屓(えこひいき)をするなどという陰口もうるさい。
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中里介山 |
【大菩薩峠 めいろの巻】
「まあ、お聞きなさい、人の惜しがるものでも、惜しがらないものでも、火はああして平等に灰にしてしまいます」「平等という言葉は、左様な時に用うべき言葉ではありません」 「それでも、火には依怙贔屓(えこひいき)というものが絶対にないではございませんか、焼けるものと、焼けないものとは、火の力の度の加減があるのみで、この地上で、火に焼けないものとて、何一つもありません」 「いいえ、あります、あります」 |
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