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円頂黒衣
えんちょうこくい |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)】
延暦寺は平氏に対して平なる能はざる幾多の理由を有したりき。平氏が兵糧米を山門領に課せるが如き、厳島を尊敬して前例を顧みず、妄に高倉上皇の御幸を請ひたるが如き、豈其の一たるなからむや。反平氏の空気は山門三千の、円頂黒衣の健児の間にも充満したり。
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幸田露伴 |
【運命】
王の事を挙ぐるの時、道衍の年や既に六十四五、呂尚(りょしょう)、范増(はんぞう)、皆老いて而(しこう)して後立つと雖(いえど)も、円頂黒衣の人を以て、諸行無常の教(おしえ)を奉じ、而して落日暮雲の時に際し、逆天非理の兵を起さしむ。嗚呼(ああ)又解すべからずというべし。
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長谷川時雨 |
【芳川鎌子】
またある日、ある宗教家に面会したおり、ふとその夜の論難を語ると、その人はこういった。もとよりその円頂黒衣の人は洒脱(しゃだつ)な気さくな人であったが、こともなげにその解決をつけてしまった。
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福田英子 |
【妾の半生涯】
人道以外に堕落(だらく)して、同じく人倫(じんりん)破壊者の一人(いちにん)なりしよし聞きし時は、妾も覚えず慄然(りつぜん)たりしが、さりながら、素(も)と鋭敏の性なりければ、能(よ)く獄則を遵守(じゅんしゅ)して勤勉怠(おこた)らざりし功により、数等を減刑せられ、無事出獄して、大いに悔悟(かいご)する処あり、遂(つい)に円頂黒衣(えんちょうこくい)に赤心(せきしん)を表わし、一、二度は妾が東京の寓所にも来りし事あり、また演劇にも「島津政懺悔録(しまずまさざんげろく)」と題して仕組まれ、自ら舞台に現われしこともありしが、その後(のち)は如何(いか)になりけん、消息を聞かず。
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国枝史郎 |
【血ぬられた懐刀】
「孫七郎様」と云う声が聞こえてきた。優しくて穏かではあったけれど、威厳のある老女の声であった。つと立ちいでた人物がある。 円頂黒衣鼠色の衣裳、手に珠数をつまぐっている。眉長く鼻秀で、額は広く頤は厳しい。澄んではいるが鋭い眼、頬に無数の皺はあるが、かえって顔を高貴にしている。 |
夢野久作 |
【白くれない】
われと解(ほど)きし赤縄(えにし)の糸の、罪に穢(よご)れ、血にまみれつゝめぐり/\て又こゝに結ぼるゝこそ不思議なれ。御身は若衆姿。わが身は円頂黒衣。罪障、悪業に埋もれ果つれども二人の思ひに穢れはあらじ。可憐(いとし)の女(ひと)よと手を取らむとすれば、若衆姿の奈美女、恥ぢらひつゝ払ひ除(の)け。心急(せ)き給ふ事なかれ。
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