ご利用について
参考書
四字熟語  を     表示  件
このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
得手勝手
えてかって
作家
作品

夏目漱石

【吾輩は猫である】

鼻子はこれで寒月に関する大抵の質問をえたものと見えて、「これははなはだ失礼を致しました。どうか私の参った事は寒月さんへは内々に願います」と得手勝手えてかってな要求をする。寒月の事は何でも聞かなければならないが、自分の方の事は一切寒月へ知らしてはならないと云う方針と見える。

青空文庫で読む  

夏目漱石

【創作家の態度】

こうなると漸々主観的価値が増してくるのみならず、解剖の結果全く得手勝手な象徴でないと云う事も証明ができます。このくらいならばまだ、大した事はありません。第二段第一段とつながっているくらいのものでありますが、層々展開して極端に至ると妙な現象に到着します。

青空文庫で読む  

菊池寛

【真珠夫人】

 金力と云つたものが、丸切り奪はれてゐる父が、黄金魔と云つてもよいやうな相手から、赤児の手を捻ぢるやうに、苛責いぢめられる。さう思つて来ると、瑠璃子はやるせない憤りと悲しみとで、胸が一杯になつて来た。金さへあれば、どんな卑しい者でもが、得手勝手なことをする世の中全体が、憤ろしく呪はしく思はれた。

教育家とか思想家などと云ふ人達が、晏然として手をこまぬいてゐるのですもの。女性ばかりに、貞淑であれ! 節操を守れ! 男性を弄ぶな! そんなことを、幾何いくら口を酸くして説いても、わたくしはそれを男性の得手勝手だと思ひますの。男性の我儘だと思ひます。丁度此の青木さんのノートが、男性の我儘を示してゐるやうに。


人が虎を殺すと狩猟と云ひ、紳士的な高尚な娯楽としながら、虎が偶々人を殺すと、兇暴とか残酷とかあらゆる悪名を負はせるのは、人間の得手勝手です。我儘です。

青空文庫で読む  

正岡子規

【読書弁】

近欲チカヨクは遠大の利にあらざるは万々承知なれども、其近欲に迷ふて一年も早く書を読みたきは感情の然らしむる所、自分ながら又已むを得ざるなり。斯く言はゞ或はそは汝が我儘なり、得手勝手といはれんかも知らざれども、其我儘も中々に得手勝手ならざる所以を以前の議論にあてはめて論ぜんとす。


 客又曰く、君何ぞ得手勝手なるや。君の一身は是君の所有にして君の所有にあらず。君は君の家を思はざるか。余黙然。君は君の先人の名を揚ぐるを喜ばざるか。

青空文庫で読む  

有島武郎

【親子】

「それほど父に向かって理屈が言いたければ、立派に一人前の仕事をして、立派に一人前の生活ができたうえで言うがいい。何一つようし得ないで物を言ってみたところが、それは得手勝手というものだぞ

青空文庫で読む  

伊藤左千夫

【野菊の墓】

「何も十枚ばかりの蓆が惜しいではないけれど、一体私の言いつけをおろそかに聞いているから起ったことだ。もとの民子はそうでなかった。得手勝手な考えごとなどしているから、人の言うことも耳へ這入はいらないのだ……」

青空文庫で読む  

岡本かの子

【河明り】

「どうも、近代的の愛というものは複雑ですな。もう、僕等の年代の人間には、はっきりは触れられんが……」
 旧詩人の社長は、よく通りかかりの旅客が、寄航したその場だけ、得手勝手なことを頼み、あとはそれなりになってしまう交際に慣れているので、私が娘を連れて、こちらに来た用向きを話し出すと、始めは気のない顔つきをしていたが、だんだん乗り出して来た。

青空文庫で読む  

宮本百合子

【獄中への手紙 一九四五年(昭和二十年)】

 波瀾の中で一人で気をもんだのだから仕方もないとトガめませんけれども、得手勝手ねえ。そして自分の得手勝手を対手の側に理由づけるところが気に入りません。切符は駄目だったのよ、どうする? 困ったというところを、「まさか行こうと思ってるなんて思いもしなかったから」というのよ。

青空文庫で読む  

堺利彦

【婦人の天職】

婦人が夫に仕うるということも、やはりただ一時の現象にして、遠き過去にもそのことなく、現在にはなおしばらくそのこと残れりといえども、将来には必ず消えてなくなるべきものなり。さればかようなることを天職などと称して、しいて婦人を縛りつけんと欲するは、実に不都合窮まる男子の得手勝手と言わざるべからず。


しかるに天下かつてこの事なきを見れば、この料理天職説も畢竟ひっきょうは男子の得手勝手より婦人に塗りつけたるものにして、婦人は男子の意を迎えんがため、もしくは知らず知らず男子の意を受けて、ついに自らしか言うに至りたるものなるべし。

青空文庫で読む  

尾崎放哉

【俺の記】

 人間と云ふ者は、得手勝手な者だな、と、俺はつく/″\思つた。得手勝手と云ふ事は、欲目と云ふ事だ。贔負目ひいきめと云ふ事だ。贔負目と云ふのは、善い事が悪う見えたり、悪い事が善く見えたりする事だ。自分がえらく思へたり、露西亜が自分で強く見えたり、月が太陽より大きく見えたり、星が笑つて居る様子に見えたり、菫が泣いてる様に思つたり、昼よりも夜が明るく見えたり、西瓜が幽霊と思へたり、汽車よりも自動車が早い様に思へたりするのも、皆、此の得手勝手から生ずるのだと思へば、得手勝手も、中々詩的な物だと、俺は一人考へて居たのであつた。

青空文庫で読む  

豊島与志雄

【猫先生の弁】

 犬の先生――「猫という奴は、どだい、利己主義者で、忘恩の徒で、話にならん。何か物がほしい時には、にゃあにゃあじゃれついて、媚びへつらうが、用が無くなれば、知らん顔をして、そっぽ向いて、呼んでも返事をしない。あんな得手勝手な奴はありません。」

青空文庫で読む  

山中貞雄

【五題】

 実は先日、僕の住んで居る鳴滝村のホン屋連中が数名協同してシナリオを一本書き上げた時の事です。各人、随分得手勝手な、無責任極まる与太を飛ばしましたが、結果に於ては出来上ったシナリオが想像以上に明るく面白く、ギャグなぞも案外垢抜けのした奴がありました。

青空文庫で読む  

末弘巌太郎

【役人の頭】

いやしくも団体生活をなす以上、とにかくそのおかげをこうむっているものとみねばならぬ。したがって常識上誰しも知っていてしかるべき法律を知らずにおりながら、ひとたびその適用を受けると、不平を唱えるというがごとき得手勝手は道徳上もまたこれを許しがたい。しかしさらばといって、法の不知は当然道徳上非難さるべきことのように考えるのは非常な誤謬であると、私は考えます。

青空文庫で読む  

三宅花圃

【藪の鶯】

内地雑居になるとどうだのこうだのとおっしゃるのヨ。私はあんまりくやしくなりましたけれども。いつかあなたの作文ネー。私は暗誦あんしょうしておりますヨ……。聖賢の教えも得手勝手に取りなして聞く時は。身を乱だすこともあるべし。いやしきしずが小歌も心をとめて聞く時は。おしえにならざるはなし。

青空文庫で読む  

南方熊楠

【神社合祀に関する意見】

わが国は木造の建築を主とすれば、彼方ごとき偉大耐久のもの少なし。故に両大神宮を始め神社いずれも時をもって改造改修の制あり。欧米人の得手勝手で、いかなる文明開化も建築宏壮にして国亡びて後までも伝わるべきものなきは真の開化国にあらずなどいうは、大いに笑うべし。

青空文庫で読む  

高田保

【貸家を探す話】

 しかし、奥さんと御相談なさらずにお決めになつてもよろしいのですか? 何んのこつた。家主さんのしかしはそんなしかしであつたのか、私は笑つた。いや、私んとこでは私が主人ですよ、すると長者さんは、いかにも長者らしく顔をしかめて、それはいけませんよ、男といふものは外へ出て得手勝手ができるのだから、せめて家のこと位は奥さんの御勝手を認めておやりなさい。

青空文庫で読む  

水上瀧太郎

【貝殼追放 先生の忠告】

投書雜誌と交互になれ合つて、田舍の投書家に媚びる事を專門にする賣名專門の徒、黨同伐異を事とし、わけもわかりもしない癖に白痴脅こけおどかしの知つたかぶりで、一押二押三押で押の強味で横行してゐる輩、役人役者芝居者を取卷いて飮んでゐる連中、嫉妬深くて奸譎で、得手勝手で愚癡つぽく、數へれば數へる程面白くない卑賤民の仲間のかくいふ先生もその一人に過ぎないのであつた。

青空文庫で読む  

夢野久作

【暗黒公使(ダーク・ミニスター)】

「私が狭山です。何の御用ですか」
 と私はその顔を見上げながら、私一流の厳格な態度で訊ねた。
 実をいうとこの時に私は、この少年に対して一種の不安と不愉快とを感じ始めていた。これは非常に得手勝手な話であるが、つまり私はこの少年のために、前に述べたような孤独な生活の安静を妨げられるような事になりはしまいかというおそれを十分に感じ始めていたからで、さもなくともこの少年が、私に与えた驚きと疑いは、今まで実験の事で一ぱいになっていた私の頭を掻き乱すに十分……十二分であったからである。

青空文庫で読む  

中里介山

【大菩薩峠 道庵と鯔八の巻】

不直ふちよくの所業は権家へ立入り賄賂わいろを以て奸吏を暗まし、公辺を取拵とりこしらへ、口銭と名付け大利を貪り、奸吏へ金銭を差送り、糸荷を我が得手勝手に取扱ひ、神奈川関門番人並に積問屋共へ申合せ、所謂いはゆる世話料受取り、荷物運送まで荷主に拘はらず自儘取扱ひ、不正の口銭貪り取候事、

青空文庫で読む  

小栗虫太郎

【黒死館殺人事件】

勿論探偵作家にありがちな、得手勝手きわまる空想には違いない。けれども降矢木の三事件には、少なくとも聯鎖を暗示している。それに、小さな窓を切り拓いてくれたことだけは確かなんだよ。

青空文庫で読む  

 
  • それぞれの四字熟語の詳しい意味などは、辞典や専門書でお確かめください。
  • このサイトの制作時点では、三省堂の『新明解 四字熟語辞典』が、前版の5,600語を凌ぐ6,500語を収録し、出版社によれば『類書中最大。よく使われる四字熟語は区別して掲示。簡潔な「意味」、詳しい「補説」「故事」で、意味と用法を明解に解説。豊富に収録した著名作家の「用例」で、生きた使い方を体感。「類義語」「対義語」を多数掲示して、広がりと奥行きを実感』などとしています。

おすすめサイト・関連サイト…

Last updated : 2024/06/28