|
■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
抜苦与楽
ばっくよらく |
|
作家
|
作品
|
---|---|
幸田露伴 |
【連環記】
むかし呂洞賓(りょどうひん)という仙人は、仙道成就しても天に昇ったきりにならずに、何時迄も此世に化現遊戯(けげんゆげ)して塵界(じんかい)の男女(なんにょ)貴賎を点化したということで、唐から宋へかけて処処方方に詩歌だの事跡だのを遺して居り、宋の人の間には其信仰が普遍で、既に蘇東坡(そとうば)の文にさえ用いられているし、今でも法を修(しゅ)して喚べば出て来ると思われている。我邦でも弘法大師は今に存在して、遍路の行者とまでも云えない世の常の大師まいりをする位の者の間にも時によりて現われて、抜苦与楽転迷開悟の教を垂れて下さるという俗間信仰がある。いや其様(そん)なことを云うまでもなく、釈迦(しゃか)にさえも娑婆往来(おうらい)八千返(はっせんぺん)の談(はなし)があって、梵網経(ぼんもうきょう)だか何だったかに明示されている。
|
|