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万物流転
ばんぶつるてん |
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作家
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作品
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辻潤 |
【「享楽座」のぷろろぐ】
浅草の塔が火の柱になってその灰燼から生まれたのが 青臭い“La(ラ) Variete(ヴリエテ) d'Epicure(デピキュウル)”なのだ 万物流転の悲哀を背負って タンバリンとカスタネットを鳴らす 紅と白粉の子等よ! 君達の靴下の穴を気にするな!! ひたすら「パンタライ」の呪文を唱えて 若き男達の唇と股とを祝福せよ 怪しくもいぶかしいボドビルが そこから生まれ落ちるだろう |
牧野信一 |
【吊籠と月光と】
「不安は事物に対するわれらの臆見がもたらすものであって、本来の事物に不安の伴うものではない。愚人にのみ悲劇が生ずる。俺はオデイセイに従って、森を抜け出た野獣の如くに、専(もっぱ)ら俺自体の力を信じて行こう。」とBは、万物流転説を遵奉するアテナイの大言家の声色(こわいろ)を唸(うな)りながら未練も残さずに出て行った。不安も悲劇も自信も僕にとっては馬耳東風(ばじとうふう)だ。あまりBの様子ぶった態度が滑稽(こっけい)だったから、 「馬鹿な自信を持ってかえって不安の淵(ふち)に足を踏み入れぬように用心した方が好(い)いだろうよ。この弓をやろうじゃないか、腹の空(す)いた時の用心に――」 |
オマル・ハイヤーム |
【ルバイヤート】
本書に収めた一四三首はペルシア語の原典から直接訳したもので、テクストにはオマルの原作として定評のあるものだけを厳選し、また最近のイランにおける新しい配列の仕方に従って、「解き得ぬ謎(なぞ)」、「生きのなやみ」、「太初(はじめ)のさだめ」、「万物流転(ばんぶつるてん)」、「無常の車」、「ままよ、どうあろうと」、「むなしさよ」、「一瞬(ひととき)をいかせ」の八部に分類した。もちろんハイヤームが最初の写本を友人に示した当時にはこのような配列順序にはよらなかったであろう。
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高神覚昇 |
【般若心経講義】
地下鉄道と船喰虫! なんの因縁もなさそうです。しかし実は、因縁がないどころか、たいへん深い因縁があるのです。おもうに、因縁によってできている一切の事物、五蘊の集合、物と心の和合によって、成り立っている、私どもの世界には、何一つとして、永遠に、いつまでも、そのままに、存在しているものはありません。つねに変化し、流転しつつあるのです。仏陀は「諸行無常」といいました。ヘラクライトスは「万物流転(バンタ・ライ)」といいました。万物は皆すべて移り変わるものです。何を疑っても、何を否定しても、この事実だけは、何人も否定できない事実です。咲いた桜に、うかれていると、いつのまにやら、世の中は、青葉の世界に変わっています。
一度足を洗った水は二度と帰らぬ水です。だが、それはひとり河の水ばかりではありません。私どももまた、つねに変化し移りかわっているのです。昨日の私は、もう今日の私ではありません。今日の私は、もはや明日の私でもありません。したがってこの「万物流転」と「相対依存」とは、まさしく因縁という母胎から生まれた、二つの原理であるわけです。縦(時間的)から見れば万物流転、横(空間的)から見れば相対依存、この二つの原理は、実に疑うことのできない、宇宙の真理です。 因縁の体験 さてこの因縁が、どんなに重要な意味をもっている語(ことば)であるかは、すでに、しばしば反覆(くりかえ)し説いてまいりましたが、要するに、縦から見ても横から見ても、内から見ても、外から見ても、「仏教の根本思想」は、所詮この「因縁」の二字につきるのです。もちつ、もたれつという「相対依存(いぞん)」の関係も、万物は移り変わるという「万物流転」の原理も、ことごとくみなこの「因縁」という母胎から生まれてくる真理であることは、すでに述べたとおりです。 |
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