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万世不易
ばんせいふえき |
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作家
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作品
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福沢諭吉 |
【女大学評論】
何が故に男は天の如く高くして女は地の如く低きや。男女、性を異にするも其間に高低尊卑の差なし。若し其差別ありとならば事実を挙げて証明せざる可らず。其事実をも言わずして古の法に云々を以て立論の根拠とす、無稽に非ずして何ぞや。古法古言を盲信して万世不易の天道と認め、却て造化の原則を知らず時勢の変遷を知らざるは、古学者流の通弊にこそあれ。
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上田敏訳詩集 |
【海潮音】
神を信じ、その愛とその力とを信じ、これを信仰の基として、人間恩愛の神聖を認め、精進の理想を妄(もう)なりとせず、芸術科学の大法を疑はず、又人心に善悪の奮闘争鬩(そうげき)あるを、却て進歩の動機なりと思惟(しい)せり。而(しか)してあらゆる宗教の教義には重(おもき)を措(お)かず、ただ基督の出現を以て説明すべからざる一の神秘となせるのみ。曰(いは)く、宗教にして、若(も)し、万世不易(ふえき)の形を取り、万人の為め、予(あらかじ)め、劃然(かくぜん)として具(そな)へられたらむには、精神界の進歩は直に止りて、厭(いと)ふべき凝滞はやがて来(きた)らむ。人間の信仰は定かならぬこそをかしけれ、教法に完了といふ義ある可(べ)からずと。
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穂積陳重 |
【法窓夜話】
ベンサムが「フラグメント・オン・ガヴァーンメント」の第一版を出した時、故(ことさ)らに匿名を用いて出版した。しかるに、今まで法律家の金科玉条と仰がれたブラックストーンの学説を縦横無尽に駁撃し、万世不易の真理とまで信ぜられていた自然法主義および天賦人権説に対(むか)って反対の第一矢を放ったる耳新しき実利主義と、この卓抜なる思想にふさわしい流麗雄渾なる行文とは、忽(たちまち)にして世人の視線を聚(あつ)め、未だ読まざるものはもって恥となし、一度読みたるものは嘖々(さくさく)その美を嘆賞し、洛陽の紙価これがために貴しという盛況を呈した。
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陸羯南 |
【近時政論考】
民権は国権と関係を相なすものにして、民権は国権ありてしかる後安く、国権鞏固ならざればすなわち民権もまた安きことあたわざるなり云々と。しかして帝政派の宣言にいわく、「内は万世不易の国体を保守し公衆の康福権利を鞏固ならしめ、外は国権を拡張し各国に対して光栄を保たんことを冀(こいねが)い云々」と。さればその二派は国権と民権とを併せ重んじ、二者を別にしてその先後を立てざることほとんど同一なるを見るべし。 然りといえども帝政論派もまた政界に功なしというべからざるなり、当時世の風潮は民権自由の説に傾きいわゆる末流の徒は公然言論をもって王室の尊厳を犯すあるに至る、そのいまだかかる粗暴に至らざる者といえども世の風潮を憚(はばか)りて明らかに日本帝国の国体を言うことをあえてせず。当時民間の政論家をもって自任する者は日本の旧慣を弁護することを憚り、わずかに英国の例を藉(か)りてもって西洋風の勤王論を口にするあるのみ。実に当時の政論家は国体論または忠君論を禁物となしたるありさまなり。この時に当たり断然起ちて万世不易の国体を説き王権論を説き欽定憲法論を説きたるものはひとり帝政論派なり。 |
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