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罵詈讒謗
ばりざんぼう |
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作家
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作品
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芥川龍之介 |
【俊寛】
康頼もそれを見ているのは、仏弟子(ぶつでし)の所業(しょぎょう)とも思われぬ。おまけにあの女を乗せる事は、おれのほかに誰も頼まなかった。――おれはそう思うたら、今でも不思議な気がするくらい、ありとあらゆる罵詈讒謗(ばりざんぼう)が、口を衝(つ)いて溢(あふ)れて来た。もっともおれの使ったのは、京童(きょうわらべ)の云う悪口(あっこう)ではない。八万法蔵(はちまんほうぞう)十二部経中(じゅうにぶきょうちゅう)の悪鬼羅刹(あっきらせつ)の名前ばかり、矢つぎ早に浴びせたのじゃ。
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田中英光 |
【オリンポスの果実】
しかし、これは、人間の本能的な弱さからだと、ぼくには許せる気になるのでしたが、同時に、誰でもが持っている岡焼(おかや)き根性とは、いっても、クルウの先輩連が、ぼくに浴(あ)びせる罵詈讒謗(ばりざんぼう)には、嫉妬(しっと)以上の悪意があって、当時、ぼくはこれを、気が変になるまで、憎(にく)んだのです。
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福沢諭吉 |
【女大学評論】
本文は女大学の末章にして、婦人を責むること甚だしく、殆んど罵詈讒謗(ばりざんぼう)の毒筆と言うも不可なきが如し。凡そ婦人の心さまの悪しき病は不和不順なる事と怒り恨む事と謗る事と妬む事と智恵浅き事となり、此五の病は十人に七、八は必ずあり、婦人の男子に及ばざる処なりと宣告したれども、此宣告果して中(あた)るや中らざるや遽(にわか)に信じ難し。言行和らぎて温順なるは婦人の特色にして、一般に人の許す所なり。
女は愚にして目前の利害も知らず、人の己れを誹(そし)る可きを弁えず、我家人の禍となる可き事を知らず、漫(みだり)に無辜(むこ)の人を恨み怒り云々して其結果却て自身の不利たるを知らず、甚しきは子を育つるの法さえも知らざる程の大愚人大馬鹿者なるゆえに、結論は夫に従う可しと言う。罵詈讒謗(ばりざんぼう)至れり尽せり。我輩は姑(しばら)く記者の言うがまゝに任せて、唯その夫たる者の人物如何を問わんと欲するのみ。 |
木下尚江 |
【火の柱】
「元来を言へば長谷川君、初め篠田如き者を迂濶(うくわつ)に入会を許したのが君の失策である、如何(どう)だ、彼(あ)の新聞の遣(や)り口(くち)は、政府だの資産あるものだのと見ると、事の善悪に拘(かゝは)らず罵詈讒謗(ばりざんばう)の毒筆を弄(もてあそ)ぶのだ、彼奴(きやつ)が帰朝(かへ)つて、彼の新聞に入つて以来、僅(わづ)か二三年の間に彼の毒筆に負傷(けが)したものが何人とも知れないのだ、私(わし)なども昨年の春、毒筆を向けられたが――
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宮本百合子 |
【禰宜様宮田】
半(なかば)夢中になって、彼をまるで猫や犬のように罵り散らしながら、自分の前かけや袖口を歯でブリブリと噛み破る。訳が分らないで怒鳴りつけられたり擲(ぶ)たれたりして、恐ろしそうに竦(すく)んでいる子供達の肩を撫でてやりながら、禰宜様宮田は、黙然としてその罵詈讒謗(ばりざんぼう)を浴びていた。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 不破の関の巻】
かれ一石、これ一石と下ろしながら、人間界の碁打ちをコキ下ろしている罵詈讒謗(ばりざんぼう)を聞いていると、なかなか面白い。伝うるところによると、近来、武州八王子あたりから天狗小僧なるものが出現して、遠く美濃尾張あたりまでの聯珠界を風靡(ふうび)しているということだが、それだ!
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