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廃仏毀釈
はいぶつきしゃく |
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作家
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作品
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島崎藤村 |
【夜明け前 第一部上】
同時代に満足しないということにかけては、寿平次とても半蔵に劣らなかった。しかし人間の信仰と風俗習慣とに密接な関係のある葬祭のことを寺院から取り戻(もど)して、それを白紙に改めよとなると、寿平次は腕を組んでしまう。これは水戸の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)に一歩を進めたもので、言わば一種の宗教改革である。古代復帰を夢みる国学者仲間がこれほどの熱情を抱(いだ)いて来たことすら、彼には実に不思議でならなかった。彼はひとり言って見た。
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坂口安吾 |
【明治開化 安吾捕物 その十三 幻の塔】
肌を見せてはならぬ曰くインネン大有りのベク助だが、まさかその秘密が見ぬかれたワケではあるまい。とは云え、この寺の奴らときては油断のならぬ曲者ぞろいだ。 今はなくなったが、芝で七宝寺といえば相当な寺であった。ところが、維新の廃仏毀釈に、この寺が特に手痛く町民の槍玉にあげられたが、それは住職の三休が呑む打つ買うの大ナマグサのせいであった。 |
相馬愛蔵 |
【一商人として ――所信と体験――】
蚕種製造家として郷里に落着くとともに、私の周囲には自然近辺の青年たちが集って来るようになった。都会に憧れ、新しい知識を求めてやまぬ田舎の若者たちにしてみれば、私が東京の学校を卒業して帰ったというだけで充分興味があったのであろう。私はこれらの青年に基督(キリスト)の話をし、禁酒をすすめた。若者たちはみなよく聴いてくれて、彼らはついに畑仕事の間にもふところに聖書を入れているまでになった。信州は維新当時廃仏毀釈の行われた所であるだけに、外来の新宗教の入り易い点があった。近村にはすでにメソヂスト派の牧師がおり、土地で名の知られている青年三沢亀太郎氏もすでに信者になっていた。 後代仏教が既成宗教として種々の弊害を生じ、従来の信望を失い、また廃仏毀釈の憂き目に逢って、一時仏教の勢力は全く地を払った時代もあったにかかわらず、何の時代でも文化の上に仏教の恩恵に預らないことはなかったといって差支えないくらい、日本国民の魂には深く何ものかを植えつけられて来ました。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 白骨の巻】
ここに至ると、神楽師(かぐらし)の仮面は、遠慮なく剥落(はくらく)してしまい、「モシ、われわれが天下を取った暁には、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)を断行する」 とさけびました。 この男は仏教そのものも多少は知っているし、また仏教そのものが日本の文明に寄与した功績も多少心得ているらしいが、現在の仏寺と、僧侶の腐敗をもかねて、大いに憤慨していたものらしい。これよりいくらもたたない後に現われた維新の政府が、かなり無遠慮に廃仏毀釈を実行したのも、一部分の責めは坊主が負わなければなりますまい。七兵衛はその時、おだやかにこういいました。 |
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