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白砂青松
はくしゃせいしょう
はくさせいしょう
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作家
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作品
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【もの思う葦 ――当りまえのことを当りまえに語る。】
健康とそれから金銭の条件さえ許せば、私も銀座のまんなかにアパアト住いをして、毎日、毎日、とりかえしのつかないことを言い、とりかえしのつかないことを行うべきでもあろうと、いま、白砂青松の地にいて、籐椅子にねそべっているわが身を抓っている始末である。住み難き世を人一倍に痛感しまことに受難の子とも呼ぶにふさわしい、佐藤春夫、井伏鱒二、中谷孝雄、いまさら出家遁世もかなわず、なお都の塵中にもがき喘いでいる姿を思うと、――いやこれは対岸の火事どころの話でない。
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【東上記】
ようやくにして新橋行のに乗り込む。客車狭くして腰掛のうす汚きも我慢して座を占むれば窓外のもの動き出して新聞売の声後になる。右には未だ青き稲田を距てて白砂青松の中に白堊の高楼蜑の塩屋に交じり、その上に一抹の海青く汽船の往復する見ゆ。
東の方は村雨すと覚しく、灰色の雲の中に隠見する岬頭いくつ糢糊として墨絵に似たり。それに引きかえて西の空麗しく晴れて白砂青松に日の光鮮やかなる、これは水彩画にも譬うべし。雨と晴れとの中にありて雲と共に東へ/\と行くなれば、ふるかと思えば晴れ晴るゝかと思えばまた大粒の雨玻璃窓を斜に打つ変幻極まりなき面白さに思わず窓縁をたたいて妙と呼ぶ。車の音に消されて他人に聞えざりしこそ仕合せなりける。
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【松浦あがた】
鎮守府の佐世保(北松浦にあり)、石炭の唐津、しかも後者は白砂青松、おほくえやすからざる遊覧地なるをや、啻に遊覧地なるのみならず、その近傍は上代及近世に亙りて、歴史の上に関はるもの尠からず、また山光といはず、水色といはず、乃至、一茎の撫子、一羽のかち烏(肥前の特産)にも、飄霊の精気活躍するを看れば悉く詩歌のこころに洩るるはあらじ。
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【加利福尼亜の宝島 (お伽冒険談)】
「有難い仕合せに存じます」
そこで矢来は取り払われ波平かの浪華の海、住吉の入江が見渡された。頃は極月二十日の午後、暖国のこととて日射し暖かに、白砂青松相映じ、心ゆくばかりの景色である。
太刀取りの武士が白刃を提げ、静かに背後へ寄り添った。
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【丹下左膳 乾雲坤竜の巻】
いく手に不動山の天害が屏風のごとくにふさぎ、はるかに瞳をめぐらせば、三箱の崎。舟尾の浜さては平潟に打ち寄せる浪がしらまで、白砂青松ことごとく指呼のうち――。
野火のけむりであろう、遠く白いものが烟々として蒼涯を区切っている。
「絶景! 絶景!」
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【新書太閤記 第八分冊】
何騎かは、馬の背を降りた。或いはまた、ふたたび畦道まで戻って、遠く、葭のない先の方へ迂回を試みた。
葭のあるのは、町はずれの、この附近だけであって、柳ヶ崎のてまえになると、松原つづきとなり、白砂青松の渚である。
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Last updated : 2024/06/28