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煩悶焦慮
はんもんしょうりょ
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作家
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作品
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【趣味の遺伝】 その晩は疲労のため寝る事だけはよく寝た。しかし朝になって授業が面白く出来ないのは昨日と変る事はなかった。三日目に教員の一人を捕まえて君白山方面に美人がいるかなと尋ねて見たら、うむ沢山いる、あっちへ引越したまえと云った。帰りがけに学生の一人に追いついて君は白山の方にいるかと聞いたら、いいえ森川町ですと答えた。こんな馬鹿な騒ぎ方をしていたって始まる訳のものではない。やはり平生のごとく落ちついて、緩るりと探究するに若くなしと決心を定めた。それでその晩は
煩悶
焦慮もせず、例の通り静かに書斎に入って、せんだって
中からの取調物を引き続いてやる事にした。
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【二葉亭四迷の一生】
文壇的野心の欝勃としていた当初は
左
も
右
く、自分の文学的才能を危ぶみ出してからは唯一の生活手段とするつもりの文学に全く絶望して、父の渋面、母の愚痴、人生問題の紛糾疑惑、心の
隅
の
何処
かに
尚
だ残ってる政治的野心の
余燼
等の不平やら未練やら慚愧やら悔恨やら疑惑やらが三方四方から押寄せて来て、あたかも
稲麻
竹葦
と包囲された中に
籠城
する如くに
抜差
ならない
煩悶
苦吟に
苛
まれていた。
二葉亭の日記の数節を引いて、その当時の煩悶焦慮を二葉亭自身をして語らしめよう。
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【霊訓】
問『酔漢の躯に憑るとは何の意義か?』
悪霊の憑依――地縛の霊魂は、依然として彼等生前の情慾と、性癖の大部分をそのまま保有して居る。彼等の体的欲望は、毫も消えた訳ではないが、ただその欲望を満足せしむべき機関がない。そこが彼等の大いに
煩悶
焦慮する点である。凡そ世に充たされざる渇望ほどつらいものはない。で、彼等は何とかしてこの苦痛を医すべく、昔馴染の魔窟に出入して、恰度自分に誂向きの犠牲者を捜し出し、人知れずその体内にくぐり込んで、酒色の慾を満足せんとするのである。即ち外面的に観れば、それは人間の乱行であるが、内面的に観れば、それは地縛の悪霊の跳躍なのである。
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Last updated : 2024/06/28