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便佞諂諛
べんねいてんゆ
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作家
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作品
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【二葉亭四迷の一生】
高橋健三は官報局の局長室に坐している時でも従五位勲何等の局長閣下でなくて一個の処士自恃庵主人であった。浜田は簡樸質素の学究、古川は卓落不覊の逸民、陸は狷介気を吐く野客であった。而して玄関番は高田屋嘉兵衛、幸太夫に継いでの露国探険者たる一代の奇矯児寿安老人であった。局長といい課長といい属官というは職員録の紙の上の空名であって、堂々たる公衙はあたかも自大相下らざる書生放談の下宿屋の如く、局長閣下の左右一人として吏臭あるものはなく、煩瑣なる吏務を執るよりはむしろ詩を品し画を評し道徳を説き政治を談じ、大は世界の形勢より小は折花攀柳の韻事まで高談放論珍説贅議を闘わすに日も足らずであった。
二葉亭はこの中に投じた。虚文虚礼
便佞
諂諛
を賤しとして仕官するを欲しなかった二葉亭もこの意外なる自由の空気に満足して、局長閣下と盛んに人生問題を論じて大得意であった。左に右くこの間は衣食の安定を得たので、思想を追究するあたかも餓ゆるが如き二葉亭は安心して盛んに読書に没頭した。殊にダーウィン、スペンサー等の英国進化論を専ら研究したが、本来ヘーゲルの流れを汲む露国の思想に養われていたから、到底これらの唯物論だけでは満足出来ないで、終にコントに走って爰に初めて一道の曙光に接する感があった。恐らく二葉亭の思想の根本基礎を作って終生を支配したのはコントのポジティヴィズムであったろう。
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Last updated : 2024/06/28