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平凡陳腐
へいぼんちんぷ
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作家
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作品
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【墨汁一滴】
『日本』へ俳句寄稿に相成候諸君へ申上候。筆硯益御清適の結果として小生の枕辺に玉稿の山を築きこの冬も大約一万句に達し候事誠に御出精の次第とかつ喜びかつ賀し奉り候。しかるところ玉稿拝読致候に御句の多き割合に佳句の少きは小生の遺憾とする所にして『日本』の俳句欄も投句のみを以て填め兼候場合も不少候。選抜の比例を申候はんに十分の一以上の比例を取り候は格堂寒楼ら諸氏の作に候。その他は百分の一に当らざる者すら有之候。多作第一とも称すべき八重桜氏は毎季数千句を寄せられ一題の句数大方二十句より四、五十句に及び候。されどその句を見るに徒に多きを貪る者の如く平凡陳腐の句も剽窃の句も構はずやたらに排列せられたるはやや厭はしく感じ申候。また一題百句など数多寄せらるる人も有之候。一題百句は第一期の修行として極めて善き事なれどその中より佳句を抜き出す事は甚だ困難なるべく、ましてその題が火燵、頭巾、火鉢、蒲団の類なるにおいては読まずしてその句の陳腐なること知れ申候。
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Last updated : 2024/06/28