|
■このサイトに登録されている四字熟語を検索します。平仮名での検索や一文字からの検索、絞り込み検索などもできます。
変幻出没
へんげんしゅつぼつ |
|
作家
|
作品
|
---|---|
中里介山 |
【大菩薩峠 道庵と鰡八の巻】
それは、甲府の破獄以来のことを知ったものには、指して言いさえすればすぐわかることなので、あの時、牢屋を破った主謀者、後には偶然、駒井能登守邸にかくまわれた奇異なる武士、また甲州街道では馬を曳いてがんりきを追い飛ばした馬子、ここでは土を担いだり石を運んだりさまざまに変幻出没するけれど、要するに同一の人で、あのとき南条といわれて通った浪士らしい男であります。 |
中里介山 |
【大菩薩峠 勿来の巻】
もし、舟の中のあのおじさんが、このおじさんでないとしたならば、ここにいるこのおじさんは誰だ?マドロス君と言い、この七兵衛と称するおじさんと言い、今日は実に、解しきれない変幻出没――さすがの茂太郎が当惑しきって、 「おじさん、いつここへ戻って来たの」 「たった今……」 |
国枝史郎 |
【首頂戴】
暁星五郎という大盗が、関東関西を横行したのは、それから間もなくのことであった。火術を使うという評判であった。影の形に添うように、美人が付いているという評判でもあった。
(緑林黒白ニ曰ク)大盗暁星五郎、ソノ本名白須庄左衛門、西国某侯遺臣ニシテ、幕府有司ニ含ム所アリ、主トシテ大名旗本ヲ襲フ、島原ノ遊女花扇、是ト馴染ンデ党中トナリ、変幻出没ヲ同ジウス、星五郎強奪度無シト雖モ、ヨク散ジテ窮民ヲ賑ス、云々。 兎まれ大岡越前守が、この暁星五郎なる賊を、幾度か捕えようとして躊躇(ちゅうちょ)したことは、事実らしいということである。 |
岡本綺堂 |
【中国怪奇小説集 稽神録】
軍将の陳守規(ちんしゅき)は何かの連坐(まきぞえ)で信州へ流されて、その官舎に寓居することになりました。この官舎は昔から凶宅と呼ばれていましたが、陳が来ると直ぐに鬼物(きぶつ)があらわれました。鬼(き)は昼間でも種々の奇怪な形を見せて変幻出没するのでした。しかも陳は元来剛猛な人間であるのでちっとも驚かず、みずから弓矢や刀を執って鬼と闘いました。それが暫く続いているうちに、鬼は空ちゅうで語りました。 |
|